作成日
:2023.09.15
2024.04.06 11:26
出金拒否が行われていると話題になっていた、新興海外FX業者のFX Fair(エフエックスフェア)がついに営業停止を発表しました。今後は、トレーダーが口座に入れていた資金を分割出金で返金していくとしています。
全額出金を目指しているが資金繰りの悪化によりすぐにはできない状況なので、まずは一部の出金を行うとのことです。実質的な経営破綻の対応のようにも見え、利用者の間に動揺が広がっています。
また、9月25日までに仮想通貨であるテザー(USDT)のウォレットアドレスと必要書類を用意して申請しなければ、一部出金も一切行われません。このような厳しい条件から仮想通貨取引の経験がないユーザーからは負担が大きいという声も上がっています。
FX Fair(エフエックスフェア)には以前から「怪しい」「出金できない」という評判がありました。一方で、2023年8月まではトラブルなく出金できたとの声もあり、評価はバラバラでした。
しかし、8月15日に出金までの日数が25営業日に延長されて以来、不信に感じるユーザーが急増しました。最終的に9月初旬に、全額での出金ができないため分割出金を行うという告知が行われ、FX Fairは実質的に営業を停止しています。
FX Fairの出金拒否騒動は以下のような経緯をたどりました。
2023年7月に、新興海外FX業者のAssassinFX(アサシンエフエックス)が提供していたコピートレードサービスで不自然なロスカットが相次ぎ、詐欺を疑う声が上がりました。
ロスカットが発生する直前に勧誘を行っていた複数のトレーダーがそれまでの10倍ほどのロットで取引が行い損益をアピールしたり、コピー元が異なるにも関わらず多くのユーザーがほぼ同時にロスカットされたりする現象が発生したために詐欺が疑われています。
またAssassinFXとFX Fairは表向き別の海外FX業者として運営されていましたが、取引サーバーのIPアドレスが同じであることが判明し、同じ業者なのではないかと話題になりました。
取引サーバーとは、顧客の注文を処理するサーバーのことです。この取引サーバーのIPアドレスは、MT4やMT5から確認できます。
FX FairはAssassinFXとの関係について、料金を支払ってもらうことで自社の取引環境を貸し出す「ホワイトラベル」の関係にあるだけで、資本関係などはないと説明しました。
しかし、両社の公式サイトのデザインやスペックなどが似ていることなどから、実質的に同じ運営元なのではないかと疑う声も強いです。これがFX Fairへの批判が強まるきっかけになりました。
FX Fairは、口座開設ボーナスや入金ボーナスなど豪華なボーナスキャンペーンを頻繁に開催していました。
出金までにかかる日数の延長が発表される前日の8月14日まではTwitterでも積極的に告知が行われており、口座保有者のメールアドレス宛てにもプロモーションのメールが連日送られていました。
出金のめどが立たない状況を把握しながらボーナスのプロモーションをし続けたことに対して、新規の入金を出金分に充てる自転車操業をするつもりだったのではないかとの見方も出ています。
FX Fairは8月15日に、それまで最大5営業日に設定していた出金までにかかる日数を、最大25営業日に変更しました。
FX Fairは出金日数を延長した理由について、FX Fair内で不正トレードが横行している対策として、本人確認書類の取引内容の審査を厳格にするためだと説明しています。
現在、不正トレードが弊社内で横行している都合上、お客様の取引内容及び本人確認書類の審査を再度厳格に行っております。そのため、お客様への出金処理の所要時間が1〜25営業日前後となります。
FX Fair - より引用
しかし、これをそのまま信じるユーザーは少なく、FX Fairへの不信感が強まる結果になりました。
8月18日には、FX Fairの収納代行法人の銀行口座が一時的に凍結され、銀行経由の入金ができなくなる旨が発表されました。FX Fairによると、FX Fairに不信感を抱いたユーザーの代理人からの通知が原因だということです。
ユーザーの代理人からの通知により、当社収納代行法人の銀行口座が一時的に凍結されました。これに伴い、銀行経由の入金は現在一時的に受付を停止しております。
FX Fair 公式X - より引用
FX Fairは9月初旬、顧客への全額出金のめどが立たないため、分割出金で対応することを発表しました。
現在、 お客様への出金完了期間が未定となっている一方、 弊社はお客様の出金申請の全額を出金させていただく前提として尽力しております。
出金完了までの具体的な見通しが立つまで、期間を要することが見込まれますため、一時的に分割出金としてお客様に資金を返還することを決定いたしました。
FX Fair のメール- より引用
FX Fairが全額出金をできない理由として、以下の6点を挙げています。
FX Fairは、AssassinFXの詐欺疑惑の風評被害により、「MetaQuotes社からモバイルアプリケーションのライセンス剥奪」と「出金申請の殺到」が起き、運営に大きな影響があったと主張しています。
モバイルアプリケーションはすでに利用できなくなっていますが、9月25日からはPC版のMT4・MT5のライセンスもMetaQuotes社により停止されるそうです。
FX FairはMetaQuotes社によってライセンスが停止されたと主張していますが、信憑性には疑問が残ります。過去にMetaQuotesの判断でライセンスが停止された前例は少ない上に、原因とされるAssassinFXの事件はコピートレードのロスカットであり、明確に詐欺と判定することが難しいためです。FX Fairは日本人顧客が主な利用者だったため、7月にAssassinFXが話題になってから、MetaQuotesを契約解除に動かすほどの証拠を英語で提供した日本人がいるという状況もやや不自然とも考えられます。
また顧客からの苦情により銀行口座が凍結したため、出金に支障が生じたとしています。原因の記載はありませんが、分別保管先である日本国外の銀行口座でも出金手続きが一時停止しているとのことです。
さらに、自社の仮想通貨ウォレットがハッキングを受けたために出金のための資金がなくなったとも主張しています。海外FX業者の出金遅延の理由としてよく使われる、不正トレードや利用規約違反の横行による不正出金も、全額出金ができない理由として挙げられています。
利用者の立場からすると、通常ありえないことばかりが起きている状況で、「計画的な資金持ち逃げの言い訳」にしか見えないでしょう。
海外FX業者は通常、顧客の資金を運営資金とは区別する「分別保管」を採用しているので、経営破綻をしたとしても出金ができなくなる事態にはなりません。FX Fairも分別保管を採用しているとアピールしていたので、運営を停止したとしても本来出金はできるはずです。単純に「運営資金が不足して営業を停止した」というだけでは出金ができない理由にはならないため、仮想通貨ウォレットのハッキングや銀行口座での出金手続き停止など、大がかりな理由をつけなくてはならなかったのかもしれません。
FX Fair(エフエックスフェア)の出金拒否の流れは、GEMFOREX(ゲムフォレックス)との共通点が多いといわれています。
明確な証拠はないものの、同じグループの仕業なのではないかと疑う人もいます。
GEMFOREXでは、2022年12月ごろに出金遅延が大きな問題となり、5月31日にはサービスを停止していました。サービス停止の理由として、利用者の不正利用や決済代行会社による資金の持ち逃げ・未払いが挙げられています。
分別保管がきちんとされていれば、経営破綻(倒産)をしたとしても出金できない事態にはならないはずです。しかし、GEMFOREXは決済代行会社による持ち逃げ・未払い、FX Fairは仮想通貨ウォレットのハッキングを理由に挙げ、外部の要因によって資金繰りが悪化したと主張しています。
また、出金ができない旨を発表する前に不正トレードを理由に出金遅延を発表していたことや、分割での出金を採用している点も同じです。
FX FairとGEMFOREXが同じグループであるという噂も出ていますが、はっきりとした根拠はありません。
これについて、FX Fairと契約して宣伝活動を行っていた会社がユーザーの問い合わせに対して、「GEMFOREXと同グループ」と回答したことが噂のソースになっているようです。
この会社は公式サイトで、FX Fairより「弊社が他社の運営先と同じであるという事実はございません」との指摘が来た旨を紹介し、「現在そのような記載は行われておりません。」と回答しています。
「他社の運営先と同じ」という記載が、AssassinFXのことを指している可能性もありますが、いずれにせよFX Fairに運営先が同じ会社があるということは現在は記載されていないようです。
FX Fair(エフエックスフェア)は9月初旬に返金スキームを発表しました。現段階で返金に利用できる資金を利用者の間で分配し、後日準備が出来次第全額の返金を行う予定だということです。
この返金スキームは、仮想通貨のテザー(USDT)で行われるため受け取り手続きが複雑であることや、25日までに申請を行わなければ一切返金が行われない点などが批判されています。
テザーとは、米ドルに価値が連動したステーブルコインです。ほかの仮想通貨のように価値の大きな変動が発生しにくいため、ウォレット間の資金移動などに利用されています。
FX Fairが返金に応じるのは「元金」のみで、トレードで得た利益は対象外です。そして以下の2つの方法で計算された「元金」のうち低い方が出金対象となります。
例えば、200万円入金してすでに200万円出金し、口座残高が100万円のケースだと、①は0円、②は100万円なので、低い方の0円が「元金」になります。このため、口座残高が100万円でも出金することはできません。
また、当初の返金は全額ではなく、利用者間で分配される形式です。返金を申請した人数によって返金金額は変動するため、現時点でどの程度の返金があるかは明らかにされていません。
初回の分配は2023年10月10日前後を予定しているとのことです。
FX Fairの返金は仮想通貨のテザー(USDT)で行われます。そのため、ERC20のUSDTを受け取ることができるウォレットを申請期日までに用意することができます。
ERC20とはテザーが発行されている規格のことです。ERC20のテザーは、イーサリアムブロックチェーン上で発行されています。仮想通貨は通常、1つの仮想通貨が1つのブロックチェーン上で発行され、ブロックチェーンが異なれば送金などの対応は基本的にできません。テザーのような広く利用されている仮想通貨は複数のブロックチェーン上で発行されていますが、互換性はないため、ブロックチェーンが異なるものを間違って送金しないようにする必要があります。
ERC20のUSDTはメジャーなので、Bybit(バイビット)などの大手仮想通貨取引所のウォレットであればほとんど対応しています。
ただし、仮想通貨取引所のウォレットはERC20以外の規格にも対応しているため、ウォレットアドレスをFX Fairに申請する際に、ほかの規格のアドレスと間違えないように注意する必要があります。
BybitでUSDTのウォレットアドレスを取得する方法は、以下で紹介しています。
分割出金を受け取るには、以下の3点をそろえて9月25日までに申請フォームを提出しなければいけません。
分割出金の申請フォームは9月15日前後に利用者に送付されるそうなので、申請ができる期間は約10日と限られています。
提出期限である25日を過ぎると一切返金ができないため、厳しい条件となっています。
仮想通貨取引が未経験の人向けに、大手仮想通貨取引所のBybit(バイビット)におけるUSDTウォレットアドレスの取得方法を紹介します。
また、受け取ったテザー(USDT)を日本の銀行口座で受け取りたい場合、一旦BybitなどのUSDT対応のウォレットに資金を移動させなければいけません。ウォレットに移動させた後、別の仮想通貨に両替をして別途国内取引所に送金します。
仮想通貨取引所には、日本国内で営業する取引所と、海外で営業する取引所があります。国内取引所は日本の銀行経由での入出金に対応するなど利便性は高いですが、テザーには対応していません。
Bybitの口座(アカウント)をまだ持っていない人は、以下の記事を参考に口座を開設しててください。口座開設だけでは利用できる機能が制限されますので、同時に本人確認(KYC)レベル1も完了させておくようにしましょう。
口座開設とKYCレベル1に必要なものは以下の通りです。
段階 | 必要なもの |
---|---|
口座開設 | メールアドレスまたは電話番号 |
KYCレベル1 |
・本人確認書類
・カメラ付きのPC、スマホ
|
口座の開設が完了したら、以下の手順でマイページよりUSDTのウォレットアドレスを取得できます。
口座開設後にBybitにログインし、右上の「資産」にカーソルを合わせます。
メニューが表示されますので、「入金」をクリックします。
入金したい通貨に「USDT」、チェーンタイプに「ERC20」を選択し、「確認しました」ボタンをクリックします。
入金アドレスの文字列とQRコードが表示されます。どちらも同じもので、第三者に入金アドレスを伝える目的では文字列の方が利用されることが多いです。FX Fairに入金アドレスを文字列で連絡する場合は、「コピー」ボタンをクリックしてください。
FX Fairからの返金を銀行口座で受け取りたい場合、少し複雑な手続きが必要になります。
Bybitから直接銀行口座に出金することはできませんので、以下の手順を行ってください。
銀行への日本円出金に対応している国内取引所はUSDTに対応していないため、このような手順が必要になります。
GEMFOREX(ゲムフォレックス)の大規模な出金拒否を筆頭に、2022年以降、新興海外FX業者による出金拒否やコピートレードのトラブルが相次いでいます。
FX Fair(エフエックスフェア)との関係が疑われているAssassinFX(アサシンエフエックス)だけでなく、ZAIX(ザイクス)でも不自然なコピートレードで大きな損失が発生しています。また、豪華なボーナスで急速に知名度を高めたHAST FOREX(ハストフォレックス)は、出金拒否や利益の取り消しなどが多発し、最終的には営業を停止しました。
ここまで大規模な被害が出るケースは過去数年で珍しく、最近は特に海外FX業者関連のトラブルが大きくなっています。
不誠実な運営をする海外FX業者同士に何かしらのつながりがある可能性もありますし、何もつながりがなくても、トラブルの事例をまねて模倣犯的に行っているのかもしれません。
新興の海外FX業者は豪華なボーナスを提供したり、インフルエンサーを使って積極的に勧誘を行ったりすることがあります。しかし海外FX業者に慣れていない方は、まずはExness((エスネス)やTitan FX(タイタンエフエックス)、XMTrading(エックスエムトレーディング)といった運営歴の長い海外FX業者を利用することをおすすめします。
作成日
:2023.09.15
最終更新
:2024.04.06
海外FX歴5年。海外FX20社以上のアカウントを保有し、実際にサービスを利用して執筆を行う。長期トレードがメインで、スワップの有利なブローカーを愛用している。仮想通貨・原油等のCFD取引や各ブローカーのボーナスの仕組みにも詳しい。
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