作成日
:2023.06.21
2023.09.30 13:01
2023年6月6日以降、海外FX業者のZAIX(ザイックス)を利用しているユーザーの口座残高が突如マイナスになるケースが相次いでいます。ZAIXはコピートレードサービスを提供している海外FX業者で、Instagram上でインフルエンサーを起用したプロモーションに力を入れていた模様です。
そのため、今回の騒動に巻き込まれたトレーダーも、Instagramユーザーが多いようです。6日以降も同様の状況が続いており、SNSでは出金を拒否されたとする投稿も見受けられます。
今のところZAIXによる公式発表はありません。現在までに明らかになっている騒動の内容をまとめました。
海外FX業者のZAIX(ザイックス)を利用しているユーザーの口座残高が突如マイナスになったという投稿が、SNS上で相次いでいます。残高がマイナスになったユーザーは1人ではなく、複数いるようです。
2023年6月6日以降、「保有中のポジションが、突然ロスカットになった」とする投稿が見受けられます。6月5日に発表されたISM非製造業景況指数の発表後に、ロスカットが執行されたようです。当日のISM非製造業景況指数の発表直後は、ドルが売られ価格が動いています。
画像引用:TradingView
確かにマーケットが静かな時間帯と比較すると大きな値動きではありますが、経済指標発表後の値動きとしては決して極端な値幅というわけではありません。そのため、ロスカットが執行されたことを不審に感じたユーザーも多いようです。
SNS上では、「出金を申請しても承認されない」とする投稿も見受けられます。出金申請を行ったものの、キャンセルされたユーザーもいるようです。
また、出金申請の時点では口座に残高があったものの、出金拒否のメールが届いた後に残高がなくなったケースもあるようです。一方で日時は不明ですが、出金できたとする投稿もあるため、SNS上では混乱が広がっています。
ZAIX(ザイックス)の公式サイトでは、本店はトロントにあるとされています。
商号 | 株式会社ZAIX取引所(ZAIX Ltd.) |
---|---|
金融商品取引業者登録番号 | M21780294号 |
会社設立 | 2019年10月 |
本店所在地 | 165 Yonge StToronto, ON M5C 2L7, CA |
加入協会 | 加金融庁特定金融情報室(FINTRAC) |
事業内容 |
外国為替取引業
仮想通貨および暗号通貨取引業
|
会社の設立は2019年とされており、FXブローカーとしては比較的新しい会社であることがわかります。
一見すると金融ライセンスを取得しているブローカーのように見えますが、FINTRACのライセンスはあくまでも犯罪やマネーロンダリングに関与していないことを証明するライセンスであり、メジャーな海外FX業者が取得しているような金融ライセンスとは性質が異なります。
また、公式サイトにはマレーシアとセーシェル共和国に支店を設置していることが記載されています。
マレーシア支店 | Second Floor, Paragon, (Suite no. 4), Jalan Mustapha, 87000 Labuan F.T.,Malaysia |
---|---|
セーシェル共和国支店 | Vistra Corporate Services Centre, Suite 23, 1st Floor, Eden Plaza, Eden Island, Mahé, Republic of Seychelles |
支店のあるマレーシアのラブアン島とセーシェル共和国はいずれも租税回避地として知られている地域です。
WHOISとは、Webサイトやサービスに利用されているドメインやIPアドレスの所有者情報を検索できるサービスです。WHOISでは、ZAIX公式サイトの所有者情報は以下のようになっています。
登録名 | Technology Department |
---|---|
登録組織 | ZAIX Limited |
住所 | Vistra Corporate Services Centre, Suite 23, 1st Floor, Eden Plaza, Eden Island, Mahé, Republic of Seychelles |
電話番号 | +60.88338330 |
登録住所はセーシェル共和国支店の住所になっています。しかし、登録されている電話番号にはマレーシアの国番号である60で登録されています。
セーシェルで金融ライセンスを取得して、日本向けのサービスを提供しているということであれば、他にも似たような方法で運営されている海外FX業者もあるため、珍しいことではありません。
しかし、上記の住所で検索すると、金融取引の助言や財務・会計サービス等を提供する別会社がヒットします。詳細は不明ですが上記の住所は、他の悪質な海外FX業者と同じという情報もあります。
また、電話番号だけマレーシアの番号で登録されている点もやや不自然といえるでしょう。
カナダやマレーシア、セーシェル共和国でサービスを提供していることを謳うZAIXですが、公式サイトは日本語のみの対応となっています。日本向けにサービスを提供している大手の海外FX業者では、表示言語を日本語以外の外国語に切り替えられるようになっているケースが多いです。
ZAIXの公式サイトは多言語化されておらず、言語の切り替えもできない仕様になっています。この点を不審に感じているユーザーも多いようです。
海外FX業者と詐欺業者の公式サイトのクオリティに大きな差がないこともあります。そのため、Webサイトがしっかり作られていたとしても、信頼できる業者かどうかを判断することはできません。
しかし、一定のサービス運営歴があり、ユーザーを獲得できている海外FX業者であれば、公式サイトに相応のアクセスがあります。Webサイト分析ツールであるSimilar Webで、有名海外FX業者とZAIXのアクセス数を比較してみましょう。
大手海外FX業者のExnessの公式サイトの月間アクセス数は、2,110万アクセスとなっています。
画像引用:Similar Web
同じく有名な海外FX業者のTitan FXのアクセス数は、15万3,400アクセスです。
画像引用:Similar Web
一方、ZAIXの公式サイトのアクセス数は、2,900アクセスと極端に低くなっています。
画像引用:Similar Web
ZAIXが真っ当なブローカーだった場合、アクセス数を見る限りではかなり厳しい経営状況にあることが推測されます。2019年に設立された海外FX業者が、上記のアクセス数で運営を続けている点も不自然といえるでしょう。
ZAIXのWebサイトでは、ニュース・ブログ記事を公開しています。ニュースやテクノロジー、ライフスタイルなど、複数のカテゴリーが設けられていますが、コンテンツは5月16日~5月31日のマーケット情報のみです。また、5月15日以前の記事は確認できません(6月20日時点)。
加えて、Myforexがマーケット情報の記事に掲載されているコンテンツを調査したところ、他社サイトのコンテンツが使用されていることが分かりました。2023年5月26日のマーケット情報では、オーストラリアの小売売上高を取りあげています。
画像引用:ZAIX
記事では、小売売上高の推移をグラフで掲載していますが、まったく同じグラフがTRADING ECONOMICSというサイトに掲載されています。
画像引用:TRADING ECONOMICS
上記画像の右下には、「TRADINGECONOMICS.COM」という文言が存在します。ZAIXに掲載されている画像は、その文言を除くように切り取られていると見受けられ、その点も不自然だと言えます。
さらに、ZAIXオフィスビルとされる写真にも不審な点があります。
ZAIXの公式サイトには、カナダのトロントにあるとされるオフィスビルの写真が掲載されています。Googleストリートビューでは、記載されている住所で写真と同じビルを確認できます。
画像引用:ZAIX
SNS上では公式サイトに掲載されている本店の写真と、ストリートビューの写真がまったく同じであることを指摘する投稿も見受けられます。現在、公式サイトでは写真の下に、引用元としてGoogleストリートビューのリンクが記載されています。
元々記載されていたのか、ユーザーの指摘を受けて後から引用元を追記したのかは不明ですが、「以前の会社情報から内容が変更されている気がする」という投稿もあるようです。
後から追加したものだとすれば、元々ストリートビューから引用したことにしておいて、疑いの目を逸らそうとしている可能性も考えられます。
ZAIX(ザイックス)は、インフルエンサーを起用したマーケティングを積極的に展開していました。特にInstagram上で一部のインフルエンサーが、ZAIXのコピートレードで大きな利益を上げていることをアピールして、ユーザーを煽るような投稿を繰り返していた模様です。
口座残高のマイナスが話題になった直後に、該当するインフルエンサーのアカウントは削除されています。上記のインフルエンサーの投稿を見てコピートレードを始めた主婦や初心者が被害に遭っているようです。SNS上では500万円を失ったことを報告するユーザーも見受けられます。
LINEのオープンチャット上では、該当するインフルエンサーを特定しようとする動きもあるようです。
海外FX業者を専門的に扱っている主要な海外FX紹介サイトでは、ZAIX(ザイックス)の情報を見つけられませんでした。サイトによって運営方針の違いはありますが、大手の海外FX紹介サイトでは、基本的に信頼性の高いブローカーのみを紹介しています。
そのため、紹介サイトのおすすめランキングの上位にランクインしている海外FX業者は、どのサイトも同じような会社になっているケースが多いです。
チェック体制の甘いランキングサイトでは、怪しい点のある業者を紹介してしまっている可能性もありますが、複数のサイトでランキング上位に入っているブローカーであれば、信頼できるFX業者である可能性が高いです。
「海外FX」で検索して、上位表示されている海外FX紹介サイトをチェックしてみたところ、ZAIXをおすすめしているサイトは見つけられませんでした。知名度が低く、情報も少ないため、信頼性に関しては元々高くない海外FX業者であるといえるでしょう。
今回の騒動が本物の詐欺だった場合、海外FX初心者をピンポイントで狙ったものと考えられます。
今回のZAIX(ザイックス)の騒動に関して、SNS上では「出金を依頼したら一応承認はされた」という投稿も見受けられます。しかし、実際に出金が完了したというユーザーは見つけられませんでした。
「このまま出金されるか様子を見た上で対応する」というユーザーも多いようですが、利用は控えるべきでしょう。今のところZAIXから公式な発表はなく、事態の把握が難しい状況ですが、ZAIXには不審な点も見られます。
豪華なボーナスやハイレバレッジなど、国内FXにはない魅力も多い海外FXですが、業者選びを間違えると予期せぬトラブルに巻き込まれる可能性もあります。
これから海外FXに挑戦する方は、サービス運営歴の長いメジャーなFX業者を選んだ方がよいでしょう。
作成日
:2023.06.21
最終更新
:2023.09.30
短期が中心のトレーダーや中長期が中心のトレーダー、元プロップトレーダー、インジケーターやEAの自作を行うエンジニアなどが在籍。資金を溶かした失敗や専業トレーダーに転身した経験など、実体験も踏まえてコンテンツを制作している。
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