作成日
:2023.07.12
2023.08.31 00:12
コピートレードサービスを提供している海外FX業者のAssassinFX(アサシンエフエックス)で、同時多発的に強制ロスカットが執行されました。
コピー元が異なるユーザーの口座で、同じようなタイミングでロスカットされた上に、コピー元の口座を運営していたトレーダーのSNSアカウントが一斉に非公開・削除されたため、詐欺の疑いもあります。
AssassinFXが詐欺を疑われている理由や不審な点をまとめました。
2023年7月の夕方頃に、AssassinFX(アサシンエフエックス)のコピートレードユーザーの口座でほぼ同時に強制ロスカットが執行されました。ユーザーによってコピーしている口座は異なりますが、ほぼ同じような時間帯に執行されたようです。
正確な被害者数は不明ですが、1,500~1万人で総額は数十億円にのぼるとする情報もあります。今回の騒動に巻き込まれたユーザーの間では、動揺が広がっています。SNSで「出金を申請しているがあきらめている」といったユーザーによる悲観的な投稿も見受けられます。
一部では集団訴訟を起こそうとする動きもあるようです。
コピートレードとは、特定のトレーダーの取引をリアルタイムでコピーして、自分の口座で実行できるサービスです。成績の良いトレーダーをフォローすれば、FXに慣れていない方でも、安定して利益をあげられる可能性があります。
公式サイトによると、AssassinFX(アサシンエフエックス)はセントヴィンセント・グレナディーン諸島で設立された会社であるとされています。AssassinFXのサイトでは狭いスプレッドとハイレバレッジ、FX銘柄が豊富である点をアピールしています。
公式サイトには記載されていませんが、AssassinFXではコピートレードサービスも提供しており、TwitterやInstagramなどのSNS上で、インフルエンサーによる勧誘が行われていたようです。
勧誘を行っていたインフルエンサーは、先出しトレーダーと呼ばれる人達で、自身のポジションや利益確定水準などを公開しているトレーダーです。公開されている取引の成績を見て、コピートレードを始めた人が多いようです。
今回の強制ロスカットが話題になる前から、AssassinFX(アサシンエフエックス)は詐欺業者なのではないかと疑う意見も少なくありませんでした。AssassinFXが詐欺業者といわれている理由を解説します。
以前からSNS上では、AssassinFXで出金拒否が発生しているとする投稿が見られました。
海外FX業者から資金を出金する際に、出金ルールに対する理解不足が原因で出金拒否になるケースもあります。通常、メジャーな海外FX業者であれば不正行為などの規約違反がない限り、サポートに詳細を確認して対応すれば出金できます。
しかし、AssassinFXでは出金拒否後にサポートに問い合わせても、一切返信がないとする投稿が見受けられます。詳細な時期は不明ですが、SNS上では2023年に入ってから出金拒否の投稿が目立つようになりました。
加えて、一般的なコピートレードでは、コピーする側が任意のタイミングでコピーを中止できます。AssassinFXでは、コピー元の口座を運用している先出しトレーダーに連絡して、コピーを中止しなければならない仕様になっているようです。
仕組み上、先出しトレーダーがコピー停止の申請を無視することもできるため、コピーする側にとって非常に不公平なシステムといえるでしょう。実際、コピーの停止を依頼している最中に今回のトラブルに巻き込まれたユーザーもいるようです。
ユーザーに不利なシステムや出金拒否の多さから、詐欺業者だと疑う人が増えているのです。
AssassinFXへ勧誘を行っていた先出しトレーダーは、SNS上で大きな利益をあげていることをアピールしていました。本当に継続的に利益を出していたのであれば、取引量やポジションを適切にコントロールしてリスクを調整する方法を知っているはずです。
しかし、勧誘を行っていた複数のトレーダーが7月3日ごろから一斉に無謀な取引を始めたとされています。中にはそれまでの10倍のロット数で取引を開始し、強制ロスカットが執行されたケースもあったようです。
ロットとは、FXで売買される通貨数量の単位のことです。一般的にロットとは、製品の最小製造単位、出荷単位のことであり、例えばある製品10個をまとめて1ロットと数えるといった形で使用されます。FXでも同様で、1万通貨や10万通貨をまとめて1ロットと数えます。
FXにおいて取引量やポジションのコントロールは、基本中の基本といえるスキルです。さらに1人だけではなく、勧誘を行っていた複数の先出しトレーダーが同じようなタイミングで無謀な取引を開始したとされています。
示し合わせたように強制ロスカットが執行されているため、事前に計画されていた取引だったのではないかと疑われているのです。
AssassinFXでは強制ロスカットが執行される直前まで、入金ボーナスキャンペーンを開催していたとする情報もあります。ロスカット執行前に可能な限り資金を集めようとしていたのではないかと疑われています。
ボーナスを提供している海外FX業者では、スプレッドを広めに設定してボーナス分のコストを回収しているケースが多いです。一方で、低スプレッドを売りにしている海外FX業者ではボーナスを提供していない会社が多いです。
低スプレッドをアピールしているAssassinFXが、ボーナスの提供を始めた点もやや不自然といえるでしょう。
勧誘を行っていた先出しトレーダーの中には、融資を受けて入金することを勧めていたトレーダーもいるようです。FXは資金を失うリスクがある金融商品です。そのため、失っても生活に支障が出ない金額で始めるのが基本です。
コピートレードでは仕組み上、コピー元の口座を運用しているトレーダーは、コピーするユーザーが資金を投入するほど多くの手数料を得られるため、より大きな金額でコピーしてもらいたいと考えること自体は不自然ではありません。
しかし、ユーザーに借金を勧めてまでコピーさせるのは、やり過ぎと感じている人も多いようです。強制ロスカットの件も相まって、詐欺で得られる金額を増やすためだったのではと疑われています。
強制ロスカット以降、AssassinFXへ勧誘していた先出しトレーダーは、一斉に情報発信を停止しています。該当するトレーダーのSNSアカウントは、非公開もしくは削除されているようです。
仮に今回の件が本物の詐欺だった場合、目的を達成したため一斉にSNSでの発信をしていたものと考えられます。最後に勧誘していたトレーダーが一斉に沈黙したことで、ユーザーが詐欺なのではと疑いを強めている状況です。
AssassinFX(アサシンエフエックス)には、FX業者として不審な点もいくつか見られます。
先述の通り、AssassinFXはセントヴィンセント・グレナディーン諸島で設立された会社であるとされています。海外FX業者の中には、セントヴィンセント・グレナディーン諸島の金融監督機関の了承を受けてサービスを提供している会社も多いです。
AssassinFXのサイトのメニューには、「金融ライセンス」という項目がありますが、クリックしても「法的文書」というページが表示されるだけで、ライセンス番号などは掲載されていません。
セントヴィンセント・グレナディーン諸島の金融サービス庁のWebサイトで、AssassinFXが金融ライセンスを取得しているかどうか確認してみましたが、ライセンスは取得していないようです。
金融ライセンスの有無や金融監督機関の了承は、海外FX業者の信頼性をチェックする際の重要な項目です。金融ライセンスの種類にもよりますが、ライセンスを取得している会社であれば、ブローカーとして一定の基準を満たしていると判断できます。
有名な海外FX業者が金融ライセンスを取得している点を考慮すると、AssassinFXは信頼性の低いブローカーといえるでしょう。
AssassinFXのホームページにも不審な点があります。AssassinFXの公式サイトのフッター部分には、AssassinFXは海外のブローカーであり、日本の金融庁の認可を受けておらず、日本居住者向けのサービスは提供していない旨が記載されています。
しかし、ホームページは英語と日本語表示に対応しています。日本居住者向けのサービスは提供していないとしながらも、日本語ページも用意されている点は不自然といえるでしょう。
先に解説したようにAssassinFX(アサシンエフエックス)は、信頼性が低いと思われる海外FX業者です。不審な点も見受けられるため、利用は避けるべきでしょう。
2023年に入ってからGEMFOREXやZAIXなど、一部のFX業者でのトラブルが報告されています。
海外FX業者は金融庁による規制を受けないため、国内FX業者よりも自由度の高いサービスを提供できる一方で、信頼性の面にやや不安があります。信頼性の高い会社を利用しなければ、今回のようなトラブルに巻き込まれる可能性もあります。
海外FX業者を利用する方は、実績のあるブローカーを選びましょう。
作成日
:2023.07.12
最終更新
:2023.08.31
短期が中心のトレーダーや中長期が中心のトレーダー、元プロップトレーダー、インジケーターやEAの自作を行うエンジニアなどが在籍。資金を溶かした失敗や専業トレーダーに転身した経験など、実体験も踏まえてコンテンツを制作している。
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