作成日
:2023.07.31
2024.07.10 15:31
ボリンジャーバンドのエクスパンションは、レンジ相場からトレンド相場へ移行する際に出現しやすいシグナルです。エクスパンション出現後に大きなトレンド相場に発展するケースも珍しくありません。
しかし、騙しを避ける方法を知らなければ、損切りの回数が増えることもあるので注意が必要です。この記事では、ボリンジャーバンドのエクスパンションの騙しを避ける方法をいくつか紹介します。また、騙しになるパターンやエクスパンションの概要も解説します。
ボリンジャーバンドには、スクイーズとエクスパンション、バンドウォークと呼ばれる3つの状態があります。
画像引用:TradingView
それぞれの状態の特徴をまとめると、以下の通りです。
スクイーズ | バンド幅が狭くなり収束している状態 |
---|---|
エクスパンション | バンド幅が拡大している状態 |
バンドウォーク | +1σや+2σ(下落時は-1σや-2σ)に沿って価格が動いている状態 |
強い上昇トレンドや下降トレンドが発生する直前、バンド幅はスクイーズの状態であることが多いです。価格がどちらかに大きく動き始めると、バンド幅も拡大していきエクスパンションが出現します。
エクスパンションの出現後は、そのままトレンド相場に移行しやすいため、エクスパンションと同時にエントリーして大きな利益を狙おうとする人も少なくありません。特に、ローソク足の終値がボリンジャーバンドの2α(下落時は-2α)の外側に出た場合は、ブレイクした方向の動きがそのまま続く可能性があります。
スクイーズからエクスパンションへ移行する流れに乗ることができれば、トレンド相場の初動からエントリーができるため、大きな利益を期待できます。
ところが、ボリンジャーバンドの幅が拡大し始めても、騙しになるケースも珍しくありません。エクスパンションを狙って取引したい人は、騙しを避ける方法を把握しておくことが大切です。
エクスパンションの騙しを避けるために、ローソク足の終値が+2σや−2σを明確にブレイクしているか確認しましょう。スクイーズの時は買いと売りの勢いが拮抗している状態です。
ローソク足の終値が確定する前にブレイクした方向へエントリーしても、ブレイク前の価格まで押し戻される可能性があります。一時的に+2σや−2σをブレイクした後、終値がボリンジャーバンドの範囲内に押し戻された場合、以下のようにヒゲのついたローソク足が出現します。
画像引用:TradingView
このチャートでは、一時的に+2σを超えて上昇したものの、終値は+1σと+2σの範囲内に押し戻されています。つまり上方向の動きは騙しだったということです。その後の動きを見ると、逆に-2σを大きく下方向にブレイクしてそのまま下落していきました。
ローソク足の終値が+2σや−2σをブレイクした場合は、ブレイク方向の勢いが強くなったことが明確になるため、上のチャートのように大きく下落しやすくなるのです。終値を確認してからエントリーすれば、ローソク足の確定を待たずにエントリーする場合よりも、損切りを減らせるでしょう。
ボリンジャーバンドのエクスパンションを狙ってトレードする場合は、直前の値動きを見た上でエントリーするかどうか判断しましょう。直前の値動きがレンジ相場かつスクイーズの期間が長いほどエントリーの信頼性は高くなります。
例えば、以下のチャートを見ると、ボリンジャーバンドがエクスパンションする前のドル円は、112〜116円前後と小さい値動きです。バンド幅が狭くスクイーズの期間も長いので、レンジ相場だということがわかります。
エクスパンションした後のトレンドも大きく伸びる可能性があります。実際、2022年3月11日に上方向へブレイクした後は、130円近くまで上昇していきました。
画像引用:TradingView
ただし、エクスパンションが出現する直前の値動きがいつもスクイーズ期間が長い綺麗なレンジ相場とは限りません。下のチャートは騙しの例です。
画像引用:TradingView
5月4日〜5日の間に下方向のエクスパンションが出現しています。直前の値動きを見るとバンド幅は狭いですが、スクイーズ期間は長くないためエントリーには慎重になるべきです。
実際に−2σを超えて大きく下落していたのにもかかわらず、値動きは長く続きませんでした。すぐに元の価格まで押し戻されています。
別の例も紹介しましょう。2月に入ってすぐにエクスパンションが出現していますが、直前の値動きはスクイーズの状態ではありません。
画像引用:TradingView
エクスパンション出現後は、大きく下落することなく上昇しています。このように、スクイーズの期間が短い場合やバンド幅が狭くない場合にエントリーしても、騙しに遭う可能性が高くなります。
エクスパンションでの騙しを避けたい場合は、長期足と同じ方向のエクスパンションのみエントリーしましょう。
長期足のトレンドやレンジは、短期足の値動きに大きな影響を与えます。よって、長期足と同じ方向のエクスパンションが出現した場合のみエントリーすることで騙しを避けられます。
以下のチャートはポンド円の1時間足です。4月28日の4時にエクスパンションが出現しています。
画像引用:TradingView
次に1時間足の長期足にあたる日足のチャートを見てみましょう。
画像引用:TradingView
日足のチャートを見ると上昇トレンド中です。加えて4月25日にトレンドラインで反発しているため、上昇を再開し始めていると判断できます。今回の1時間足のエクスパンションは上昇方向のため、エントリーしても良さそうです。
長期足と逆方向のエクスパンションが出現した場合は、騙しを避けるためにエントリーを見送りましょう。例えば以下のチャート(1時間足)を見ると、レンジ相場かつ長いスクイーズの後にエクスパンションが出現しているので、そのまま上昇方向に乗りたくなります。
画像引用:TradingView
しかし、1時間足でエクスパンションが出現した時期(2022年11月30日13時)を長期足のチャートで見ると下降トレンド中です。
画像引用:TradingView
長期足とは逆方向のエクスパンションでのエントリーには慎重になるべきです。実際に、エクスパンション出現後、ほとんど上昇せずに大きく下落しています。
ボリンジャーバンドを使用する際は、1σや2σのラインを表示するのが一般的ですが騙しも多いです。長期のボリンジャーバンド(期間50)と短期のボリンジャーバンド(期間20)を表示させて、以下のように騙しを回避する方法もあります。
上昇時は期間50の2σを期間20の2σが上に抜いたら買い推奨です。下降時は期間50の-2σを期間20の-2σが下に抜いたら売り推奨となります。
以下のチャートには、期間50のボリンジャーバンド(青色のライン)と期間20のボリンジャーバンド(黄色のライン)を表示させています。
画像引用:TradingView
2022年11月10日13時にエクスパンションが出現していることがわかります。ボリンジャーバンドを見ると、期間50の-2σを期間20の-2σが下に抜いていることを確認できるため、売り推奨です。
一方で、以下のようなチャートで上方向へのエクスパンション出現を根拠に買うのは推奨できません。
画像引用:TradingView
理由は期間20のボリンジャーバンドはスクイーズしていますが、2つのボリンジャーバンドの2σがクロスしていないためです。実際にその後の値動きを見ても、ほとんど上昇していないことがわかります。
この方法はあまり知られていない方法ですが、エントリーを1テンポ遅らせることで、騙しに遭う可能性を抑えられるでしょう。
ボリンジャーバンドにエクスパンションが出現し、トレンド相場へ移行する場合、移動平均線(ボリンジャーバンドのセンターラインでも良い)も同じ方向を向きます。
しかし、移動平均線の向きがほとんど横向きに近い場合は、騙しを避けるためにエントリーを控えた方が良いでしょう。なぜなら、トレンド相場に移行するほど勢いが強くないため、騙しに遭う可能性があるからです。
以下のチャートでは、下方向のエクスパンションが出現しています。移動平均線は若干下を向いていますがほぼ横向きに近いため、もう少し様子を見てからエントリーした方が良いでしょう。
画像引用:TradingView
このチャートでもエクスパンションの出現後に下落は止まっています。
ボリンジャーバンドがエクスパンションしてトレンド相場へ移行する場合、MACDとシグナルが既にクロスしていることが多いです。
MACDとは、移動平均線を発展させたテクニカル指標で、長期と短期の2本の指数平滑移動平均線(EMA)の差を算出したものです。EMAの差そのものを示すMACDと、その移動平均であるシグナルで構成され、MACD単独の数値や、MACDとシグナルの交差により、トレンドや売買のタイミングを読み取ることができます。
エクスパンションが出現したら、MACDとシグナルがクロスしているか確認した上でエントリーすることで、騙しを回避できる可能性があります。
エクスパンションの方向 | MACDのシグナル | 動きやすい方向 |
---|---|---|
上昇方向の
エクスパンション
|
MACDがシグナルを下から上へ抜ける(ゴールデンクロス) | 上昇方向へ |
下落方向の
エクスパンション
|
MACDがシグナルを上から下へ抜ける(デッドクロス) | 下落方向へ |
上昇方向のエクスパンション
MACDのシグナル |
MACDがシグナルを下から上へ抜ける
(ゴールデンクロス)
|
---|---|
動きやすい方向 | 上昇方向へ |
下落方向のエクスパンション
MACDのシグナル |
MACDがシグナルを上から下へ抜ける
(デッドクロス)
|
---|---|
動きやすい方向 | 下落方向へ |
以下のチャートを見てみましょう。上昇方向にエクスパンションが出現した際に、MACDとシグナルを見るとゴールデンクロスが発生しています。
画像引用:TradingView
ボリンジャーバンドとMACDの2つのテクニカル指標が上昇方向を示唆しているため、そのまま上昇する可能性は十分あります。一方で、必ずしもこの方法で騙しを避けられるわけではないので注意が必要です。
下のチャートは、MACDとボリンジャーバンドの組み合わせで騙しが発生した事例です。
画像引用:TradingView
MACDのデッドクロスが出現後に下方向のエクスパンションが出現しても、下落が続かないケースもあります。
ボリンジャーバンドのエクスパンションに限らず、レンジ相場からのブレイクが成功する確率は高くありません。特に短期足では、エクスパンションの出現回数が多くなるため、何度も騙しに遭う可能性があります。
画像引用:TradingView
エクスパンション出現後は、価格が伸びてもすぐに逆行するケースも珍しくありません。騙しを避けるには、ほかに明確な根拠があるケースを除いて、4時間足以上でエントリーした方が良いでしょう。
サポートラインやレジスタンスラインのブレイクと、ボリンジャーバンドのエクスパンションを組み合わせる方法も有効です。
過去に何度も価格が反転している高値・安値の水準は、サポートラインやレジスタンスラインとして機能していると考えられます。価格がエクスパンションを伴ってサポートライン・レジスタンスラインをブレイクした場合、ブレイクの方向に動きやすくなるでしょう。
以下のチャートを見ると、上昇方向のエクスパンションが出現しており、さらにレジスタンスラインもブレイクしています。
画像引用:TradingView
結果的にそのまま上昇しています。一方で、上昇方向のエクスパンションが出現したものの、明確にレジスタンスラインを突破していないようなケースでは、エントリーするべきではありません。
画像引用:TradingView
上昇方向のエクスパンションで買いたいのであれば、騙しを避けるために少なくとも左にある上ひげを超えてからにしましょう。
ボリンジャーバンドを活用してトレンド相場の初動を捉えるために、エクスパンション出現後にエントリーしようと考える人も多いのではないでしょうか。しかし、闇雲にエントリーするだけでは、騙しによる損切りの回数が増えてしまいます。
そこで騙しを避けるために、ほかのインジケーターと併用したり長期足と同じ方向のエクスパンションが出現した場合のみエントリーするといった工夫が必要です。トレンド相場で利益を狙いたい人はエントリーする条件を絞って、騙しを回避するよう努めましょう。
作成日
:2023.07.31
最終更新
:2024.07.10
短期が中心のトレーダーや中長期が中心のトレーダー、元プロップトレーダー、インジケーターやEAの自作を行うエンジニアなどが在籍。資金を溶かした失敗や専業トレーダーに転身した経験など、実体験も踏まえてコンテンツを制作している。
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