作成日
:2023.05.19
2024.06.29 00:25
FXで利益をあげるためには、市場のトレンドや価格変動を予測する精度を高めていくことが重要です。そのためには、チャート分析が欠かせません。
しかし、相場においてはブルトラップやベアトラップといった、トレーダーが行うチャート分析を欺く現象がしばしば起こります。これらの現象をうまく見分けて対処することが、FXで成功するための鍵となるでしょう。
当記事では、ブルトラップやベアトラップが発生するメカニズムから見分け方まで掘り下げて解説します。トレーダーが警戒すべきブルトラップとベアトラップの特徴を理解して、今後のトレードに生かしましょう。
まずは、ブルトラップ・ベアトラップとはどのような値動きなのか説明します。
ブルトラップとは、市場参加者の多くが価格が上昇すると予想するような動きが発生した後に、実際には価格が下落してしまう現象です。チャート分析に基づいて素直に買いでエントリーした多くのトレーダーは、損失を出すことになってしまいます。
ちなみに「ブル」とは、強気相場を示す投資に関する専門用語です。これを踏まえてブルトラップを言い換えると、「強気相場と見せかけたトラップ(罠・落とし穴)」ということになります。
このトラップに引っかかってしまうと、そのまま下落が加速、大きく進行して、大きな損失につながることもあります。ブルトラップは、トレーダーにとって非常に厄介な現象といえるでしょう。
「ブル」は、英語で雄牛を意味する "bull" からきています。雄牛は、角を持ち上げるような動きで攻撃を行うことから、相場が上昇することを期待する強気な投資家や状況を指す言葉として使われるようになりました。
一方でベアトラップは、市場参加者の多くが価格が下落すると予想するような動きが発生した後に、実際には価格が上昇していく現象です。こちらもチャート分析に基づいて素直に売りエントリーしたトレーダーが、軒並みやられてしまうような動きをします。
なお「ベア」とは、弱気相場を示す相場の専門用語です。そのため、ベアトラップは「弱気相場と見せかけたトラップ」ということになります。このトラップに引っかかってしまうと、やはり強い上昇に巻き込まれて大きな損失を出すことになるかもしれません。トレードする際には、ベアトラップにも注意することが大切です。
「ベア」は、英語で熊を意味する "bear" からきています。熊は、前脚で獲物を押さえつけるように攻撃を行うことから、相場が下落することを期待する弱気な投資家や状況を指す言葉として使われるようになりました。
ブルトラップやベアトラップのような現象が起こる背景には、トラップに引っかかったトレーダーの行動があります。ここでは、ブルトラップが発生した相場においてトレーダーがどう動くのかに注目してみましょう。
ブルトラップの初期段階は、テクニカル分析的には上昇トレンドの発生を示すようなチャートとなり、多くのトレーダーが買いエントリーしてポジションを抱えた状態です。しかし、その後に買いで参入するトレーダーが続かず、相場は反転して下落を始め、彼らのポジションには含み損が発生していきます。
すると、含み損に我慢できなくなったトレーダーが、イグジットの売りを出し始めます。つまり、トラップに引っかかったトレーダー自身のイグジット注文が、反対方向への動きを後押しする原動力になってしまうのです。
下落すればするほど上昇トレンドをあきらめるトレーダーが出てきて、下落が大きく進行してしまうこともあります。ブルトラップとベアトラップという現象を考える上で、このメカニズムは非常に重要なポイントといえるでしょう。
ブルトラップやベアトラップの典型的なパターンとしては、以下のような例が考えられます。
では、それぞれについて実際のチャート事例を使って見ていきましょう。
下のチャートは、USDJPYの1時間足チャートです。前半は順調に上昇する相場ですが、後半は流れが変わって一気に下落する相場へと変わっていっています。
このチャートを見てみると、強い上昇を続ける中で、赤いラインで引いたAの高値ラインをBでブレイクして、さらなる上昇をうかがわせる動きとなっています。しかし、ブレイク後は一気に反転下落となり、そのままCで直近安値を割り込むと、そのまま大きく下落するブルトラップとなりました。
もともと上昇トレンドだったということもあり、乗り遅れた多くのトレーダーがBでブレイクするところで買いエントリーしたことが想定されます。しかし、ここが買いが入るピークとなり、Cでトレンド転換が確定すると、それまでたまった買いポジションの決済が集中して、下落の勢いが加速したという流れです。
ブレイクアウトとは、直近の高値や安値、レジスタンスライン(上値抵抗線)やサポートライン(下値支持線)などを突破したことを契機として、その方向への値動きが一気に加速することです。相場に明確な流れが生まれるサインとして広く知られています。
下のチャートは、EURUSDの15分足チャートです。全体が大きな流れ(1時間足レベル)で下落トレンドが発生している中で、黄色い矢印の局面は調整の動きで上に戻しています。
Dの赤い四角に注目すると、強い下落の動きが出ていました。まさにここから下落が再開すると思わせるような動きで、売りでエントリーしたくなる局面です。しかし、これは一時的な下落で終わり、その後も上に戻す流れが長い間続くベアトラップとなりました。
最終的に下落を再開したものの、ここでの売りポジションは長時間の含み損を抱えることとなり、撤退したトレーダーも多かったでしょう。そういった決済の動きも背景にあり、下落トレンドの中で上に大きく戻したことが推測されます。
下のチャートは、EURUSDの1分足チャートです。赤いラインは米国の消費者物価指数(CPI)の発表が行われたタイミングで、結果を受けて相場が大きく乱高下していることが分かります。
細かく見ると黄色の矢印で示したように、下落→上昇→下落という流れです。初動ではEへと強く下落していますが、これはベアトラップとなりFまで大きく反転上昇しています。さらにはこの反転上昇もブルトラップとなり、Gにかけて上昇分を全て打ち消す下落が起こりました。
短期的な動きに乗ろうと飛び乗ったトレーダーは、このベアトラップとブルトラップの乱高下によって厳しい結果になっているかもしれません。こういった激しい動きが起こっている背景には、トラップに引っかかったトレーダーのポジションの決済注文があると考えられます。
実際のチャートを見てきましたが、まさに「これから上昇するぞ」あるいは「これから下落するぞ」というタイミングで反転していることが分かります。なぜこういったトレーダーを引っかけるような現象が起こるのか、理由としては次のような点が挙げられるでしょう。
それでは、それぞれについて見ていきます。
勝つトレーダーは、安く買って高く売ることで利益をあげていきます。取引は相手がいないと成立しないので、このトレーダーに安く売ったトレーダーと、このトレーダーから高く買ったトレーダーが存在しているはずです。
このことを踏まえると、勝つトレーダーがいるということは負けるトレーダーがいるということであり、トレードには利益を奪い合うという性質があります。特にFXはゼロサムゲームとも言われ、全体のパイの大きさが変わらない、完全なる利益の奪い合いの世界です。
そのため、トレーダーは自分たちの利益を追求して、少しでも優位に立とうと行動します。こういった背景のもと、ブルトラップやベアトラップのようなだまし合いのような動きが、相場においては自然発生しやすいと考えられます。
機関投資家や大口投資家は、相場の動きに大きな影響を与える力を持っていると考えられます。彼らが短期的な利益を狙って一時的に価格を押し上げたり、押し下げるために一気に注文を出すこともあるでしょう。
もちろん機関投資家や大口投資家も、完全に思い通りに相場を動かせるわけではありません。しかし、相場の分岐点になるような局面で彼らがどう動くかは、相場の展開を占う上で大きな要素になってきます。
例えば重要なラインをブレイクしたとき、彼らが追随すればトレンドが発生する可能性が高いですし、彼らがはしごを外せばブルトラップやベアトラップが発生するわけです。
相場で利益をあげ続ける機関投資家や大口投資家がいるということは、彼らに利益を吸い上げられているトレーダーがいるということです。私たち一般のトレーダーは彼らがどう行動するのかを意識しながら、トラップにはめられないように立ち回る必要があります。
機関投資家とは、顧客から預かった資金を元手に、有価証券や金融商品などに投資することで運用・管理を行っている企業や組織のことです。主に保険会社や銀行、証券会社、投資信託(ファンド)や年金基金などが挙げられます。その運用資金額の大きさから、市場における影響力が強く、為替市場においてはトレンドを作り出すこともあるといわれます
ブルトラップやベアトラップを完全に見分けることはできません。しかし、トラップにかかってしまう回数を少しでも減らすために、次のようなポイントを意識するといいでしょう。
こちらも、それぞれ解説していきます。
ブルトラップやベアトラップは、サポートラインやレジスタンスラインのブレイク後の動きを観察することで見分けられる場合があります。例えばブルトラップとなる場合には、重要なレジスタンスラインを上方向にブレイクした後に急速に反転下落して、そのままブレイクしたラインを下方向に割っていくパターンです。
為替相場では、一度ブレイクされたレジスタンスラインがサポートラインとして機能するケースが数多く見られます。つまり、ブレイクしたラインを割り込んでくるまでは、このラインにサポートされて上昇トレンドが継続する見込みがあるといえるでしょう。
ブルトラップでは、ラインブレイクを根拠に買いエントリーしたトレーダーが、あきらめてポジションを決済することで発生します。サポートとして機能するはずのブレイクラインを割り込んできた場合には、買いエントリーしたトレーダーによる投げ売りが集中するため下方向に加速しやすく、ブルトラップになりやすいといえるでしょう。
ラインブレイク後の値動きを注意深く観察することで、ブルトラップやベアトラップを見分けられる可能性があります。
ローソク足の形状や特定のパターンに注目することで、その時々の相場状況を読み取ることも可能です。
これを利用して、ブルトラップやベアトラップを見分けられる場合があります。
例えば、上昇トレンドが発生しそうな状況で、長い上ヒゲ(ピンバー)が出現しているケースを考えてみましょう。これは、一時的に買い圧力が強まったものの、売り圧力によって価格が押し返されたことを示唆しています。つまり、その後の上昇が続かず、ブルトラップが発生する可能性があるのです。
このように、ローソク足のパターンに注目することで、いち早くブルトラップやベアトラップを見分け、適切なトレード判断を行える場合があります。
ブルトラップやベアトラップを見分けるに当たって、上位足のトレンドが参考になる場合があります。これは、上位足でトレンドが継続している相場では、下位足においてもその方向に動く割合が多くなるためです。
下位足で下落トレンドが発生しているように見える一方で、上位足において上昇トレンドが継続しているケースで考えてみましょう。この場合、短期的に下落しそうな局面においても、その下落が一時的なもので終わる可能性が高く、ベアトラップが起こりやすいといえます。
上記のような状況では短期的な下落につられないように、上位足のトレンドを確認しましょう。全体的な市場の流れを把握し、ベアトラップに巻き込まれないよう注意を払うことが重要です。相場の状況にもよりますが、上位足のトレンドを意識することで、ブルトラップやベアトラップを回避できることがあります。
トレードにおいてブルトラップやベアトラップと上手に付き合っていくためのポイントをご紹介します。
前章で紹介したように、ブルトラップやベアトラップを見分けるための工夫は大切です。しかし、不確実性の多い相場において、トラップを完全に見極めることは不可能といえるでしょう。トレードをしていると巻き込まれてしまうことが必ずあります。
ブルトラップやベアトラップは、下手をすると大きな損失につながりかねない危険な現象です。そのため、巻き込まれてしまったときには傷が広がらないうちに、ご自身のトレードルールに従って適切かつ迅速に対処しなければなりません。
エントリーする際に自分が勝つシナリオだけでなく、ブルトラップやベアトラップが発生するシナリオも、常に想定しておくことが重要です。そうすることで、もし思惑が外れた動きになったときにも、淡々と損切りを行えるようになるでしょう。
FXでは、大統領選や政策金利発表などの重要なイベントの際には相場が大きく動きます。このようなときにポジションを保有したままでは、値動きの乱高下に巻き込まれてしまう可能性があります。それを防ぐために、大きな値動きが予想されるイベントの前に手仕舞いをする投資家は多いです。また、大型連休や閑散期は、取引量が減少するため、資金力のある機関投資家が一方方向に大量の注文を入れるなど、何らかのきっかけでレートが平時よりも大きく動くリスクがあるため、連休や閑散期前にも手仕舞いする投資家も多いです。
ブルトラップやベアトラップは多くのトレーダーの裏をかくような動きですが、これを利用することもできます。つまり、ブルトラップやベアトラップをサインと考えて利益を狙うのです。
ブルトラップ・ベアトラップをトレードに利用するには、チャートを分析して他のトレーダーの行動や心理を読む必要があります。「現在、他のトレーダーはどういうポジションを持っている人が多く、相場がこういう展開になると彼らは逃げたくなるはず」といった具合です。
うまくいけば他のトレーダーが損切りを行う中で、自身の利益を拡大していくことができるでしょう。もちろんいつもうまくいくとは限りませんが、ぜひ押さえておきたいテクニックのひとつです。
今回はブルトラップやベアトラップをテーマに、実際のチャートも使いながら説明してきました。まるでトレーダーを騙すような値動きにも見えますが、市場参加者の心理や行動を読み解いていくと起こるべくして起こる現象であることが分かります。
チャート分析において、ブルトラップやベアトラップを見分ける重要なポイントとなるのが、含み損を抱えているトレーダーのポジションです。ブルトラップ・ベアトラップを回避するには、他のトレーダーがどう行動するのかという点も考慮した上で、エントリーすべきかどうか判断する必要があります。
ブルトラップやベアトラップを上手く見極められるようになれば、トレーダーとしてさらに成長できるでしょう。
作成日
:2023.05.19
最終更新
:2024.06.29
短期が中心のトレーダーや中長期が中心のトレーダー、元プロップトレーダー、インジケーターやEAの自作を行うエンジニアなどが在籍。資金を溶かした失敗や専業トレーダーに転身した経験など、実体験も踏まえてコンテンツを制作している。
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