作成日
:2023.04.11
2024.08.20 10:11
海外FXのトレードにおいて、取引コストを抑えたいと考えている方も多いのではないでしょうか。スプレッドによる取引コストを抑えることは、FXにおいて非常に重要な要素です。本記事では、主要な海外FX業者のスプレッド変動状況を調査して、スプレッドが広がる時間帯を調査します。
海外FXのスプレッドの特徴を把握すれば、スプレッドに気をつけるべき時間帯や、スプレッドを抑えてトレードできる時間帯が見えてくるでしょう。トレードに直接つながる情報ですので、最後までチェックして、ぜひご自身のトレードにお役立てください。
海外FX会社の時間帯毎のスプレッド(取引手数料を含む)を調査しました。調査対象としたのは、日本で人気のあるXMTrading(エックスエムトレーディング)とTitan FX(タイタンエフエックス)、Exness(エクスネス)の3社のスタンダード口座です。以下は、3社のスタンダード口座のスプレッドの推移を示した1日のグラフです。
見ての通り、時間帯によってはグラフが上に大きく跳ねるタイミングがあります。これはスプレッドが大きく広がっていることを示しており、トレードをする際には注意しなければなりません。このグラフから読み取れるのは、次の2点です。
では、それぞれ細かく見ていきましょう。
3時間毎のスプレッドの1週間平均をまとめると、以下の表のようになります。
時間 | XMTrading(pips) | Exness(pips) | Titan FX(pips) |
---|---|---|---|
6:00 | 9.88 | 11.94 | 9.02 |
9:00 | 2.42 | 1.10 | 1.70 |
12:00 | 1.90 | 1.10 | 1.42 |
15:00 | 1.78 | 0.98 | 1.36 |
18:00 | 1.86 | 1.18 | 1.38 |
21:00 | 1.92 | 1.02 | 1.42 |
24:00 | 1.92 | 1.00 | 1.34 |
27:00(翌3:00) | 1.88 | 0.96 | 1.38 |
XMTrading
時間 | pips |
6:00 | 9.88 |
9:00 | 2.42 |
12:00 | 1.90 |
15:00 | 1.78 |
18:00 | 1.86 |
21:00 | 1.92 |
24:00 | 1.92 |
27:00(翌3:00) | 1.88 |
Exness
時間 | pips |
6:00 | 11.94 |
9:00 | 1.10 |
12:00 | 1.10 |
15:00 | 0.98 |
18:00 | 1.18 |
21:00 | 1.02 |
24:00 | 1.00 |
27:00(翌3:00) | 0.96 |
Titan FX
時間 | pips |
6:00 | 9.02 |
9:00 | 1.70 |
12:00 | 1.42 |
15:00 | 1.36 |
18:00 | 1.38 |
21:00 | 1.42 |
24:00 | 1.34 |
27:00(翌3:00) | 1.38 |
この表を見ると一目瞭然ですが、早朝6時のスプレッドが非常に大きく広がっています。各社によって広がり方は異なりますが、通常時の約4~10倍ものスプレッドです。各社とも、スプレッドはほぼ10pipsとなっており、トレードするのは現実的ではないでしょう。
また、業者によってスプレッドの広がり方にクセがあることも分かります。例えば、Exnessは通常時と比べて6時のスプレッドの広がり方が10倍以上と極端ですが、9時には通常時と同じスプレッドに戻っています。一方、XMTradingとTitan FXは6時に大きく広がったあと、通常時のスプレッドに戻るのに少し時間がかかっており、9時ではスプレッドはまだ少し広がり気味です。
以上のように、まずは早朝が広がりやすいという特徴を、しっかり押さえておくことが大切です。これと同時に、ご自身がトレードする業者のスプレッドの広がり方のクセも頭に入れておくことも忘れないようにしましょう。
続いて以下の表では、早朝以外でスプレッドが広がったケースも調査しました。
経済指標 | XMTrading(pips) | Exness(pips) | Titan FX(pips) |
---|---|---|---|
3/14 16:00
英国:雇用統計
|
2.10 | 3.70 | 1.70 |
3/14 21:30
米国:CPI
|
4.20 | 8.20 | 4.80 |
3/15 21:30
米国:小売売上高
|
3.00 | 1.70 | 2.30 |
3/15 23:30
米国:原油在庫
|
2.20 | 2.80 | 1.50 |
3/16 21:30
米国:フィラデルフィア連銀
景況指数
|
2.60 | 3.60 | 1.70 |
3/17 23:00
米国:ミシガン大学
消費者態度指数
|
2.20 | 4.40 | 2.20 |
通常時 | 1.80~1.90 | 1.00~1.10 | 1.30~1.40 |
XMTrading
経済指標 | pips |
3/14 16:00
英国:雇用統計
|
2.10 |
3/14 21:30
米国:CPI
|
4.20 |
3/15 21:30
米国:小売売上高
|
3.00 |
3/15 23:30
米国:原油在庫
|
2.20 |
3/16 21:30
米国:フィラデルフィア連銀
景況指数
|
2.60 |
3/17 23:00
米国:ミシガン大学
消費者態度指数
|
2.20 |
通常時 | 1.80~1.90 |
Exness
経済指標 | pips |
3/14 16:00
英国:雇用統計
|
3.70 |
3/14 21:30
米国:CPI
|
8.20 |
3/15 21:30
米国:小売売上高
|
1.70 |
3/15 23:30
米国:原油在庫
|
2.80 |
3/16 21:30
米国:フィラデルフィア連銀
景況指数
|
3.60 |
3/17 23:00
米国:ミシガン大学
消費者態度指数
|
4.40 |
通常時 | 1.00~1.10 |
Titan FX
経済指標 | pips |
3/14 16:00
英国:雇用統計
|
1.70 |
3/14 21:30
米国:CPI
|
4.80 |
3/15 21:30
米国:小売売上高
|
2.30 |
3/15 23:30
米国:原油在庫
|
1.50 |
3/16 21:30
米国:フィラデルフィア連銀
景況指数
|
1.70 |
3/17 23:00
米国:ミシガン大学
消費者態度指数
|
2.20 |
通常時 | 1.30~1.40 |
このように、ピックアップした時間帯には経済指標の発表があったことが分かります。このことからは、市場におけるイベントが発生した際には、スプレッドが広がりやすい傾向があることが分かるでしょう。
最も大きくスプレッドが広がったのは3/14の21時半ですが、このタイミングでは米国のCPIという重要な経済指標が発表されていました。相場に与えるインパクトが大きい経済指標であればあるほど、スプレッドは大きく広がることがうかがえます。
マクロ経済を把握する上では、経済指標の数値自体が意味を持ちますが、FXや株式への影響を考える際には、市場のセンチメント(雰囲気)も考慮に入れる必要があります。指標の数値が良かったから上がる、数値が悪かったから下がるという単純なものではありません。
なお、必ずしも経済指標発表がなくても、突発的に何かしらの重大イベントが起こった際も、スプレッドが広がることが予想されます。例えばスケジュールにはない要人のサプライズ発言や各紙の報道、あるいは災害や戦争、テロなどです。
経済指標はあらかじめスプレッドの拡大を予測できますが、想定しないスプレッドの広がりが発生した際には、原因が何か素早くチェックすることをおすすめします。
トレーダーにとって、取引コストとなるスプレッドが広がるのは厄介なものです。なぜスプレッドが広がるのか、その原因としては主に以下の2点が挙げられます。
スプレッドの広がりに適切に対処するためにも、その原因はしっかりと理解しておきたいところです。
2つの原因について、それぞれ細かく見ていきましょう。
スプレッドは、市場の流動性が低下したときに広がりやすくなります。市場の流動性とは市場における取引の成立しやすさの度合いのことで、取引がスムーズに成立しやすければ流動性は高く、取引が成立しにくいのであれば流動性が低いことになります。
そもそもスプレッドは、通貨の買値と売値の差です。市場に買い手と売り手がたくさんいる流動性の高い状態では、競争が活発になるので買値と売値は近づき、スプレッドは狭くなります。一方、市場に買い手と売り手が減少して流動性が低下していくと、買値と売値の差が広がるため、スプレットも広がっていくわけです。
為替市場は、早朝にオセアニア市場、続いて東京市場、夕方頃からロンドン市場、夜にニューヨーク市場が開いていくというのが一日の流れです。早朝はオセアニア市場しか開いていないため、市場参加者が少なくなりがちで流動性が低く、スプレッドが広がりやすくなります。その後、市場参加者が増えるにつれて、流動性が高まり、スプレッドも落ち着いていきます。
このように、市場参加者が少なければスプレッドが広がりやすくなるという関係は、しっかり頭に入れておきましょう。なお、流動性が低い状態でトレードを行うと、スリッページも発生しやすくなります。スリッページもスプレッドと同じ取引コストなので、こちらも併せて意識しておくようにしてください。
重要な経済指標や突発的なイベントなどによって、相場が急激に動くことがあります。こういったときにも、スプレッドの拡大が発生することが少なくありません。これは、市場における買い注文と売りの注文のバランスが一方に偏ると同時に、その注文数が急激に増加するからです。
例えば、大きな相場の上昇材料が出た場合、多くの市場参加者は上昇を予想して買い注文を出すでしょう。このとき、レートの急上昇とともに市場の売り注文が一気に消化されることで、売り手が一時的にいなくなることがあります。これによって売り手が提示する価格が極端に高いものしかなくなると、買値と売値の差が広がり、スプレッドが急激に拡大するわけです。
こういった形で、相場が急激に動くときには市場の注文が集中して、買い注文と売り注文のバランスが崩れ、スプレッドが広がりやすくなります。
米ドルやユーロ、円などのメジャー通貨は、リクイディティが高く約定させやすいため、通常はスプレッドが狭く設定されています。しかし、重大なニュースで相場が大きく動き、売り・買いのいずれか一方に偏って取引量が急増した場合、反対注文と約定させにくくなるため、スプレッドが拡大します。
国内FXに多い店頭FX(DD方式)の場合、急激な価格変動時のスプレッド拡大幅が大きくなりやすいところがあります。これは、店頭FXではFX業者とトレーダーの相対取引なので、FX業者がトレーダーのポジションとは逆方向のポジションを持つことになるからです。つまりトレーダーがポジションを持つと、FX業者側にもリスクが発生します。
相場急変時にはこのリスクが大きくなるため、あらかじめスプレッドを広げることで対応しておく必要があるわけです。トレーダーにとってはあまりうれしい話ではありませんが、店頭FXという形を取る以上、これは避けられない側面があるでしょう。
この点、海外FXはトレーダーの注文をインターバンク市場に流す形(NDD方式)が主流で、FX業者によって意図的にスプレッドが広げられる可能性が低いとされています。もちろんスプレッドは広がりますが、相場急変時においても取引の透明性が高いというのは、しっかり頭に入れておきたいポイントです。
海外FXでのトレードにおいて、スプレッドが広がる時間帯にうまく対処することは欠かせません。ここではスプレッド拡大に起因する無駄なコストを避けるための対処法として、以下の3つを紹介します。
少しでも有利にトレードを進めるために、いずれもしっかり押さえておくべきポイントです。それぞれについて、理由とともに分かりやすく解説していきます。
最も効果的なのが、スプレッドが広がる時間帯を把握した上で、その時間帯を避けてトレードを行うことです。スプレッドが広がれば、当然トレーダーは不利な条件で取引することになります。スプレッドが広い時間帯に無理してトレードする必要はありません。スプレッドが広がっているタイミングでの取引は避けて、条件が有利になるのを待ちましょう。
この対処法は、簡単に実践することができます。スプレッドが広がるのは早朝や経済指標発表時のタイミングであり、具体的な時間を十分に予測できるからです。その日の経済指標の予定などを踏まえて、自分がトレードする時間帯をあらかじめスケジューリングしておくと良いのではないでしょうか。
もちろん突発的なイベントによって、予想できないスプレッド拡大が発生することもあります。しかし、シンプルなこの対処法だけでも、無駄なスプレッドコストの大部分を抑えることができるはずです。
突発的なイベント発生を原因とするスプレッド拡大は、予測が難しいため回避できないこともあります。
こういった想定できない状況に巻き込まれたときに損失額を限定することは、トレード成績を安定させる上で非常に大切です。
具体的には、ポジションを持つときには常にストップロスを設定して、損失額を限定すると良いでしょう。これによって、相場が急変してスプレッドの拡大が起こっても、取り返しのつかなくなるまで損失が拡大する可能性を、大きく抑えることができます。
リスク管理の手段として、トレード1回の許容損失額を資金の2%に設定する「2%ルール」を採用したり、「ストップ注文」を利用して指定のレートに到達した場合に強制的に損切りを行うといった方法があります。
それと同時に、ニュースや最新の情報をチェックして、いち早くその状況を理解することも大切です。
何が起こったのかを正しく理解しておけば、自分が次にどう対応すべきかが分かります。突発的なイベントが発生しても迅速に対応できるように、常に最新の情報にキャッチアップしながら準備しておくようにしましょう。
本記事の冒頭では、海外FX業者3社をピックアップして調査を行いました。スプレッドの広がり方は業者によってかなり違いがあります。そのため、広がるスプレッドと上手に付き合いながらトレードするためには、あなたが利用する業者のクセを理解しておくことが大切になるでしょう。
例えば、以下のようなクセです。
こういったクセをあらかじめ理解しておけば、スプレッド拡大を避けて有利にトレードできるタイミングが見えてくるはずです。スプレッドのクセを理解しながら、あなたのトレードスタイルに合う海外FX業者を見つけることが大切です。
実際の調査結果を踏まえて、海外FX業者のスプレッドが広がる時間帯について解説してきました。スプレッドにどう向き合えばよいのか、大きなイメージがつかめたのではないでしょうか。本記事ではスプレッドが広がる時間帯として、以下の3つを挙げました。
スプレッドが広がれば取引条件が不利になるという大前提のもと、できる限りスプレッド拡大時のトレードは避けることをおすすめします。また、スプレッドが広がりやすい時間帯を事前に把握しておけば、想定以上の取引コストが発生してしまう心配はないでしょう。
自身が利用する海外FX業者のクセも踏まえつつ、広がるスプレッドと上手に付き合っていくことが大切です。スプレッドという取引コストを抑えることで、少しずつですが確実に、トレード成績にもプラスの効果が生まれるでしょう。
作成日
:2023.04.11
最終更新
:2024.08.20
短期が中心のトレーダーや中長期が中心のトレーダー、元プロップトレーダー、インジケーターやEAの自作を行うエンジニアなどが在籍。資金を溶かした失敗や専業トレーダーに転身した経験など、実体験も踏まえてコンテンツを制作している。
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