作成日
:2023.01.06
2023.03.16 15:30
仮想通貨(暗号資産)やブロックチェーンの登場で、Web3.0のインターネット環境が実現しつつあります。
SNSの分野では、分散型SNSと呼ばれるサービスが出てきています。従来のSNSとは異なり、より自由で公平なサービスとなっており、Facebook(フェイスブック)やTwitter(ツイッター)にとって代わると期待されています。
当記事では、分散型SNSの特徴やメリットを解説した上で、現在利用可能なサービスをいくつか紹介していきます。
分散型SNSとは、イーサリアム(ETH)などのブロックチェーン上に構築されたSNSを指します。誰でも利用可能なDApp(分散型アプリ)として提供されており、Web3.0サービスの一種です。
Web3.0とは分権化された次世代のインターネット環境を指します。現代の中央集権型インターネット環境(Web2.0)は、大手IT企業が強い影響力を持っています。その一方、Web3.0では個々のユーザーが重要な役割を担います。
米テスラのCEOを務めるイーロン・マスク氏は、2022年4月にTwitterの買収を表明しました。同年10月末には買収が完了し、検閲を無くしたりスパムボットを排除したりして、より自由で公平なプラットフォームにしようとしています。
このTwitterの急な方針転換に対してユーザー側から反発の声も挙がっており、代替サービスを模索する動きが広がっています。この流れの中、分散型SNSに注目が集まりました。
分散型SNSは従来のSNSと異なる特徴を持っています。
分散型SNSはその名の通り、分散型の構造の上で成り立っています。
従来のSNSは企業などの中央管理者がサーバを管理しており、サービスの全てを掌握できるようになっています。一方、分散型SNSは中央管理者がおらず、DAOなどの民主的な仕組みで運営されています。開発計画やソースコードなども公開されており、コミュニティ全体で運営するような環境が構築されています。
DAOは、Decentralized Autonomous Organizationの略で、日本語で「分散型自立組織」と訳されます。つまり、中央管理者が存在しなくとも、参加者の活動によって機能する組織を指します。中央集権型の組織と比較して民主的で透明性が高いと見なされており、ブロックチェーンの普及で広く採用されています。
従来のSNSはユーザーの個人情報などをデータベースに保管しており、このデータベースは中央管理者が管理しています。
一方、分散型SNSは中央管理者が存在しません。データベースの代わりに、分散型ストレージと呼ばれる技術を実装しています。分散型ストレージはブロックチェーンの仕組みを利用して、ノード(ブロックチェーン参加者の端末)にデータを保管します。
仮想通貨が普及する中、多くのSNSは仮想通貨関連機能を実装し始めています。例えば、TwitterはNFTのプロフィール画像や仮想通貨送金などを可能としており、仮想通貨との親和性を高めています。
分散型SNSはブロックチェーンを基礎としているので、仮想通貨を利用した報酬システムや、サブスクリプションの支払い、投げ銭、広告出稿などの機能を簡単に実装できます。
従来のSNSと比較して、分散型SNSは以下のようなメリットがあります。
YouTube(ユーチューブ)やTiktok(ティックトック)などの流行で、コンテンツが手軽に収益化できるようになりつつあります。しかし、既存のSNSでコンテンツを収益化できるのは、一定のフォロワー数やエンゲージメントを獲得した一部のクリエイターに限られています。
分散型SNSであれば、ほとんどのプラットフォームで誰にでも独自仮想通貨を獲得する機会があります。コンテンツのインプレッションやエンゲージメントに応じた報酬だけでなく、投げ銭も可能なので、投稿を収益化するハードルは高くないといえるでしょう。
既存のSNSは運営企業によって言論が規制されており、基準によっては公平性を欠く可能性もあります。
例えば、2021年にはTwitterが前米大統領ドナルド・トランプ氏のアカウントを凍結したことが物議を醸しました。トランプ氏が規約違反の発言を行なったことが原因とされており、最終的な判断は運営側が行なっています。
分散型SNSは言論の自由が確保されており、無闇に投稿が消去されたり、アカウントが凍結されたりすることはありません。投稿に関するルールはありますが、既存のSNSと比べると透明性の高い運用となっています。
既存のSNSはユーザーの個人情報を中央集権型のデータベースで管理しています。すなわち、ハッキング攻撃を受ければ、情報漏洩します。実際にFacebookでは幾度となく情報漏洩が発生しており、ユーザーの個人情報が危険にさらされています。
分散型SNSは分散型ストレージを実装しているため、中央集権型と比べて安全に管理できます。ユーザー自身が適切にウォレットを管理していれば、セキュリティ面で優れているといえるでしょう。
また、分散型SNSであれば、運営側がユーザーの個人情報を悪用することもできません。
従来のSNSは中央管理のシステム上で稼働しているので、障害が発生すると停止するリスクがあります。
その点、分散型SNSはブロックチェーンを基盤としているのでそのリスクは小さいです。ブロックチェーンはどこかのノードがダウンしてもネットワーク全体で補完しあっており、障害に強い仕組みです。
ブロックチェーンもクライアントソフトのバグなどが原因で停止することはありますが、基本的に24時間稼働できるようになっています。
既存のSNSは、規約や機能が急に変更されたり、運営会社の意向次第でサービスが終了したりします。
一方、DAOで運営されている分散型SNSでは、重要事項の決定が民主的な投票で行われます。既存のSNSのような急な動きがないわけではありませんが、少なくともコミュニティの意思に反する変更は生じにくいです。
既に複数の分散型SNSが公開され、ユーザーの支持を得ています。
Peepethはブロックチェーン版Twitterと呼ばれています。イーサリアムを基盤とした分散型SNSで、Twitterとほとんど同じような使い方ができます。
最大の特徴は投げ銭ができることで、独自仮想通貨は発行されておらずETHで投げ銭します。また、コミュニティに焦点を当てたSNSをコンセプトとしており、広告がないだけでなく、過度なプロモーションを目的としたつぶやきは推奨されていません。
つぶやきはブロックチェーンに書き込まれ、定期的にETHで少額のガス代(手数料)を支払う必要があります。
Distriktはブロックチェーン「Internet Computer(ICP)」上で構築されている分散型SNSです。TwitterやLinkedinに似たユーザーインターフェースを採用しており、ブラウザやスマホアプリで利用できます。
今後はガバナンストークン「DKT」を用いて、より分散的な体制への移行が予定されています。
Mirrorは「Web3.0出版のホーム」をコンセプトにした分散型SNSで、メタマスクなどイーサリアム対応のウォレットを接続して使用します。ユーザーは他のユーザーの記事を読んだり、記事を執筆してNFTとして公開したりできます。
Mirrorは新しいテクノロジーやプロジェクトのアイディアを共有する場となっており、それをきっかけにクラウドファンディングで資金調達も可能です。クラウドファンディングに参加したユーザーには、返礼品として独自仮想通貨が付与されることもあります。
クラウドファンディングはインターネットを通じて自分のアイディアを公開して、不特定多数の人々から資金を募ることです。返礼品としてプロジェクトの成果物やサービスなどが提供されることもあります。
MINDSは言論の自由やプライバシーをコンセプトに掲げる分散型SNSです。
反Facebookや反Google的な存在だといわれることもあり、大手企業によるサービスに反対する層のユーザーが利用し始めています。大手メディアに取り上げられたこともあり、当記事執筆時点(2023年1月)でユーザー数は600万人を超えています。
投稿すると報酬として独自仮想通貨のMINDトークンを獲得でき、自分の投稿を宣伝する広告費として使用したり、他のユーザーへの投げ銭として使用できます。
画像引用:CoinMarketCap
ALISは日本発の分散型SNSで、ユーザー参加型のブログプラットフォームです。そのトピックは幅広く、「クリプト」「グルメ」「ゲーム」などのカテゴリーに分類されています。
コンテンツを投稿すると、その評価に応じて報酬を獲得できるだけでなく、投げ銭を受け取ることができます。SNS内の報酬として、独自仮想通貨のALISトークンが用いられています。
Twitterを筆頭に、Reddit(レディット)やInstagramなどのSNSは、仮想通貨やNFTなどの機能を取り込み始めています。また、マストドン(Mastodon)は完全な分散型ではないものの中央集権型を脱却する構造で、Twitter買収騒動の際に脚光を浴びました。
Twitterの前CEOであるジャック・ドーシー氏は、共通化されたプロトコルの開発に着手しており、分散型SNSの普及に向けて尽力しています。SNSは変革の時期にあると考えられ、今後の展開に注目です。
作成日
:2023.01.06
最終更新
:2023.03.16
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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