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ジパングコインにはデメリットが多い?評判や仕組みを解説

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update 2024.08.16 06:04
ジパングコインにはデメリットが多い?評判や仕組みを解説

update 2024.08.16 06:04

ジパングコイン(ZPG)は金価格に連動する仮想通貨(暗号資産)です。国内取引所で売買可能であり、日本発の仮想通貨として話題となっている一方、他と比較してデメリットが目立つようです。

当記事ではジパングコインの特徴や仕組みを紹介した上で、デメリットについて解説していきます。

ジパングコイン(ZPG)とは

ジパングコイン(ZPG)は、三井物産の100%子会社である三井物産デジタルコモディティーズが発行しています。商品価格に連動する仮想通貨(暗号資産)はコモディティートークンと呼ばれており、金価格に連動するジパングコインもコモディティートークンに含まれます。

point コモディティとは

コモディティは投資の世界で貴金属やエネルギー、穀物などを指します。

ジパングコインは1ZPGが金1グラムと同等の価値を持つように設計されており、仮想通貨で金投資が可能です。

国内取引所で売買可能

ジパングコインは国内取引所で売買できます。2022年2月にデジタルアセットマーケッツが取り扱いを始め、同年7月にはDMM Bitcoinで売買可能となりました。12月5日には、bitFlyerが「売買可能になる予定である」と発表しています。

プライベートブロックチェーン上で発行

ジパングコインはプライベートブロックチェーンのmiyabiで開発されています。miyabiはbitFlyerの開発部門であるbitFlyer Blockchainが開発するブロックチェーンです。

point miyabiとは

miyabiは毎秒4,000件のトランザクション処理が可能な、堅固で高速なプライベートブロックチェーンです。安全なブロックチェーン運用環境を提供しており、大手企業などにも利用されています。

プライベートブロックチェーンとは、特定の少数の個人や企業がコンセンサスノードとなるブロックチェーンです。これに対して、イーサリアム(ETH)などは誰でもノードになることができ、パブリックブロックチェーンと呼ばれます。

すなわち、開発者から見て信頼できる者だけがノードとしてブロックチェーン運用に携わります。

ジパングコインがあまり動かない理由

ジパングコイン(ZPG)に対する評判を調べたところ、以下のような声が目立ちました。

  • 価格が5%上がるのに5か月かかった
  • 価格が動かないので長期投資しかやることがない
  • 他の仮想通貨で損失が出たのでジパングコインの変動幅の少なさは魅力

他にもさまざまな反応が見られましたが、ジパングコインの値動きに対して疑問を持つユーザーが多いようです。そこで、実際にチャートを見てみましょう。先にBTC/JPYのチャート、その下にZPG/JPYのチャートを掲載します。

DMM Bitcoinのビットコイン/日本円チャート

画像引用:DMM Bitcoin

ビットコインの価格が200万円から600万円の間で大きく動いているのに対して、ジパングコインは7,000円から8,000円の範囲を推移しています。ビットコインと比べて、ジパングコインの値動きが小さいのはなぜでしょうか。

仮想通貨(暗号資産)は数ある投資商品の中でも、特にボラティリティ(価格変動率)が大きい商品として知られています。一方ジパングコインは、伝統的な資産である金の価格への連動を目指しており、値動きは一般的な仮想通貨ほど大きくないのです。仮想通貨の値動きを見慣れている人が金の値動きを見ることで、あまり動かないと感じるのでしょう。

また、リスク資産に分類される仮想通貨の値動きと、安全資産に分類される金の値動きには、世界情勢やマクロ経済の動向によって逆相関の関係が見られることがあります。後述の通り、ジパングコインには複数のデメリットがありますが、仮想通貨投資のリスクヘッジとして活用できるかもしれません。

knowledge ゴールドが注目を集める背景

個人の資産運用では、長らくゴールドが注目されることはありませんでした。株式のように価値の増加が期待できるわけでもなく、債券のように固定の金利がつくわけでもないゴールドには、将来的に価格が上昇していくという根拠に乏しかったからです。

ところが、世界経済の長期停滞による金利低下が進み、さらにマイナス金利が導入され始めると事情が変わりました。株式の価値増加率や債券金利が低下し、相対的にゴールドのデメリットが少なくなったのです。

ジパングコインの仕組み

前述の通り、ジパングコイン(ZPG)は金を裏付けとすることで、その価格と連動するようにできています。その仕組みは、発行社の三井物産デジタルコモディティーズと、親会社の三井物産、販売者であるデジタルアセットマーケッツの3社の協力で成り立っています。

ジパングコインの仕組み

三井物産が市場から金を調達し、三井物産デジタルコモディティーズが三井物産から金を購入してジパングコインを発行します。デジタルアセットマーケッツは金融庁登録業者であり、ジパングコインを販売します。投資家はデジタルアセットマーケッツやDMM Bitcoinなどを通じて取引できます。

ジパングコインの保証

何らかの理由でジパングコイン事業が終了する場合、三井物産デジタルコモディティーズは金市場に近い価格でのジパングコイン買い戻しを約束しています。

加えて、銀行保証を付与しており、三井物産デジタルコモディティーズが経営破綻した場合には、全てのジパングコインに対して保証金が支払われます。保証金は第三者機関によって管理されており、透明性が保たれています。

中央集権型の仮想通貨は管理企業の倒産などが大きなリスクとなりますが、ジパングコインは銀行保証を提供することで安全を確保しています。

ジパングコインのデメリットや注意点

ジパングコイン(ZPG)は仮想通貨(暗号資産)の形で金に投資できますので、独自のメリットもあります。しかし、他の手段と比較してデメリットが目立つとの声も上がっているようです。どのような指摘があるのでしょうか。

2022年12月9日時点で考えられる以下のデメリットや、その他注意点について紹介します。

  • スプレッドが大きい
  • 税制で不利になる可能性がある
  • 現物の価値と乖離する可能性がある
  • 金の現物と交換できない
  • プライベートチェーンや言語の制限を受ける

スプレッドが大きい

スプレッドとは、仮想通貨を取引する際の最も高い買値(ビッド)と最も安い売値(アスク)の差額を指します。

スプレッドは広ければ広いほど、取引にかかる実質的な費用が多くなり、投資家に不利になります。例えば、スプレッドが3%ある場合、価格変動がなくとも買うだけで3%の損失が生じます。

当記事執筆時点(2022年12月時点)のスプレッドは、DMM Bitcoinで200円程度となっています。直近の価格が7,000円台後半なので、スプレッドは約2.5%です。

DMM Bitcoinのスプレッド

画像引用:DMM Bitcoin

DMM Bitcoinは販売所方式でジパングコインの売買を行っており、この方式はスプレッドが広くなる傾向があります。デジタルアセットマーケッツも同様に販売所です。

一方、海外発の金価格連動型ステーブルコインは取引所形式で売買され、スプレッドの広さは流動性の大きさ次第となります。一般的に、販売所よりも取引所のほうが顧客有利なスプレッドになります。

税制で不利になる可能性

仮想通貨投資の最高税率は55%ですから、ジパングコインに投資をして利益を出すと高い税率が適用される可能性があります。なお、年間の雑所得合計が20万円以下の場合は申告不要ですが、細かい条件つきですから注意が必要です。

その一方、ETFやFX業者が提供するCFDなどの税率は一律20%ですので簡単ですし、利益額が大きい場合に有利ですが、利益額が少額の場合は仮想通貨税制のほうが有利になる可能性があります。

point ETFとは

ETFはExchange Traded Fundの略称で、日本語では上場投資信託と呼ばれます。その名の通り、上場株式と同様に取引できる投資信託です。

金の現物の場合は、特別控除額50万円を除いた利益額に課税され、保有期間が5年を超える場合は、50万円を控除した額のさらに半分に課税されます。

以上から、利益額が大きくなる場合はETF等が有利、それよりも少額の場合は金現物が概ね有利となります。

現物の価値と乖離する可能性

ジパングコインは金価格に連動する仮想通貨であり、現物の金で価値を裏付けています。米ドルに連動するUSDTも同様の形式を採用していますが、市場の信頼を十分に得られず、USDT価格がしばしば米ドルと乖離します。

ジパングコインの場合も、発行体企業が信用不安に陥ると金価格との連動性を失うかもしれません。

knowledge ステーブルコインのデペッグ

ステーブルコインが裏付け資産に対して価値を失うことをデペッグと呼びます。準備金を管理する企業の信用不安やシステムの欠陥などでデペッグに陥る可能性があります。

金の現物と交換できない

一般的な金価格連動型ステーブルコインと異なり、ジパングコインは金現物との交換ができません。将来的に交換できるようになる見込みですが、現状では不明であり注意が必要です。

プライベートチェーンや言語

ジパングコインはプライベートチェーンmiyabiで構築されていますから、miyabiの機能の制約を受けます。これに対し、世界的に流通する金連動型ステーブルコイン、例えばパクソス・ゴールド(PAXG)は、イーサリアムやBNB Chainで構築されていて世界中の誰にでも自由に送金できますし、金の現物と交換可能です。

また、ジパングコイン公式サイトやホワイトペーパーは日本語のみで書かれており、世界的な展開の意図が記載されていないことから、日本国内のみの事業と想定できます。このため、金価格に連動するものの、事業の方向性がPAXG等と大きく異なる可能性があります。

ブロックチェーンである必然性

ジパングコインの機能をもとに考察しますと、ブロックチェーンである必然性を探すのが難しいように見えます。すなわち、金の預かりサービスを展開している会社と同じ方法で良いのではないか、という点です。

時価で交換して決済に使用

ジパングコインの場合、将来的に決済に使用できるようになる見込みです。すなわち、保有しているZPGを時価で円に交換し、その円でモノやサービスを購入できるようになります。この機能はブロックチェーンとの相性がよく、ブロックチェーンである必然性の理由になりそうです。

ただし、購入時価格と決済時価格を比較して、決済時価格のほうが高い場合は課税対象になりますし、決済時価格のほうが安い場合は損になります。よって、価格が上昇しても下落しても使い勝手が良いとはいえないでしょう。

Twitter上での批判

Twitter(ツイッター)上では、ジパングコインの登場を歓迎する声が上がる一方で、批判も散見されます。

あるユーザーは「暗号資産交換所でジパングコインで買うのと、CFDで金のSpot買うのと何が違うのかとか、もう少しきちんと説明する必要があると思うんだけどな」と投稿しており、用途に対する疑問や説明不足を指摘しています。その他、ETFで代替できるとのコメント等もあります。

point CFDとは

CFDとは、日本語で「差金決済取引」と訳します。差金決済取引とは、価格差で利益を狙う投資のことです。現物取引と異なり、実際に株や商品を保有することがないため、数倍~数十倍のレバレッジをかけることが可能になります。

少額での長期投資なら効果的

ジパングコイン(ZPG)はデメリットが目立ちますが、メリットもあります。他の投資手段と違って保有中の管理手数料がかかりませんし、DMM Bitcoinを使うと0.01ZPG(約80円相当)から購入できます。

少額での長期投資であれば、管理手数料がかからないメリットを生かせる可能性があります。仮想通貨取引所で取引できるので、仮想通貨の利益を金で運用したい際にも便利です。

また、この記事ではデメリットを多く書いていますが、公開情報をもとにした内容に過ぎず、将来の開発について大きな計画を練っている可能性もあります。このため、今後の展開を見守る必要があるでしょう。

ジパングコインの将来的な計画

今後の展開について、2022年中に総発行量20億円、3年後までに120億円の発行を目指しており、2022年5月17日時点で12,419ZPGを発行しています。

また、以下の開発が予定されています。

  • 金現物との交換機能実装
  • 取り扱い取引所の拡大
  • コモディティトークンのラインナップ拡充
  • 決済手段としての利用

その他の金連動型ステーブルコイン

ジパングコイン(ZPG)以外にも金価格に連動する仮想通貨(暗号資産)があり、海外取引所等で取引可能です。

パクソス・ゴールド

パクソス・ゴールド(PAXG)は仮想通貨市場最大の金連動型ステーブルコインです。時価総額は約800億ドルで、仮想通貨市場全体では60位台の規模となっています。現物の金と交換可能で流動性も高く、柔軟にブロックチェーン上で取引できます。

発行体であるパクソス社は、米ニューヨーク州金融サービス局(New York Department of Financial Services)によって規制されています。

テザー・ゴールド

テザー・ゴールド(XAUT)はテザー社の金連動型ステーブルコインで、テザー社はUSDTの発行者として知られています。

テザー・ゴールドは現物の金に価値が裏付けられており、必要であれば現物を償還することも可能です。以前、テザー社は準備金運用の透明性が低いことが問題視されていましたが、最近ではそれも改善されつつあります。

Digix Gold Token

Digix Gold Token(DGX)は2014年にシンガポールで立ち上げられ、DigixDAOによって管理されています。DigixDAOは現物資産をトークン化することを目的とするDAOです。

point DAOとは

DAOは、Decentralized Autonomous Organizationの略で、日本語で「分散型自立組織」と訳されます。つまり、中央管理者が存在しなくとも、参加者の活動によって機能する組織を指します。中央集権型の組織と比較して民主的で透明性が高いと見なされており、ブロックチェーンの普及で広く採用されています。

DGXは第三者機関の力を借りて、裏付けとなる金の管理を行なっています。DAOによる分散型の構造を有していることが強みです。

選択肢のひとつ

規制が強い日本において、ジパングコイン(ZPG)は現物資産をトークン化する面白い試みです。しかし、今のところデメリットが目立ち、少額の長期投資以外の使い所が見つけづらいです。

仮想通貨(暗号資産)税の改正やエコシステムの強化などがあれば、メリットがより明確になるかもしれませんが、金投資で無理に利用する必要もありません。国内取引所から気軽に投資できるのがメリットですので、気になる人は取引してみるのも良いかもしれません。


Date

作成日

2022.12.09

Update

最終更新

2024.08.16

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

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