作成日
:2022.08.04
2023.03.16 15:30
STEPNは、仮想通貨(暗号資産)市場で人気のMove to Earnゲームです。既に日本でも大人気となっており、ブロックチェーンゲームの代表格となっています。そんなSTEPNは、2022年6月以降に大幅なアップデートが複数回にわたって実行されました。
今回は、アップデートの主な内容や今後の期待、GST価格の動向などについて解説します。
STEPNは、歩いたり走ったりすることで仮想通貨を稼げるMove to Earnゲームです。始めるためには、NFTスニーカーを購入する必要があります。プレイヤーは、NFTスニーカーのパラメータを成長させながら、より効率的な収益獲得を目指します。
Move to Earnは、「運動して稼ぐ」をコンセプトにしたブロックチェーンゲームです。歩いたり走ったりすると、仮想通貨を得られます。専用のNFTを購入する必要があるものや、無料でできるものまで幅広くあります。STEPNの流行もあり、多数のMove to Earnゲームがリリースされています。
STEPNでは、2種類のトークンを使用します。ゲーム内で稼ぐのはGSTです。将来的には、GMTも高レベルスニーカー所有者限定で稼げるようになる見込みです。
GMT(Green Metaverse Token)は、STEPNのガバナンストークンであり、ゲーム内で使うトークンでもあります。シューズのレベルアップ等で必須であり、取引所での購入で主に得られます。
GST(Green Satoshi Token)は、STEPNユーザーへの報酬として発行されます。取引所で換金できるほか、NFTスニーカーのレベル上げや修繕、ミント(鋳造)などの手数料としても利用されます。
なお、GSTは、Bybitなどの海外取引所や、PancakeSwap(CAKE)などのDEX(分散型取引所)に上場しています。国内での取り扱いはありませんが、STEPNは日本で人気であるため、国内の仮想通貨コミュニティで馴染みのある仮想通貨です。
破竹の勢いでエコシステムを拡大してきたSTEPNですが、2022年5月頃から本格的な不振に見舞われています。これに伴って、GST価格も大幅に下落しています。
画像引用:CoinMarketCap
2021年以降、STEPN人気の高まりと比例して、GST価格は上昇を続けました。しかし、2022年5月に急上昇すると、一転して下落に転じました。その後、仮想通貨市場全体の不調と、現金化を急ぐユーザーの売り圧力に屈する形で、右肩下がりを続けています。当記事執筆時点では、10円未満で推移しています。
直近のアップデートを受けて、出来高が上昇する場面もありましたが、本格的な回復の兆しを見せるまでには至っていません。
価格下落の要因は、いくつか挙げられるでしょう。例えば、中国でのサービスを停止したことや、基盤となるソラナ(SOL)ブロックチェーンの障害、新規ユーザー数の増加が鈍化していることなどがあります。
これを受けてSTEPNは、GSTの消費と配布のバランスを取って、ゲーム内経済を改善しようと試みています。2022年6月初旬には、Twitter(ツイッター)上で具体的なアクションプランを公開しました。
一方、ガバナンストークン「GMT」の価格はGSTほど下落せず、100円台を維持しています。GSTと違い、GMTは歩いて稼げる性質でなく、発行枚数に上限があります。これが影響しているでしょう。
画像引用:CoinMarketCap
2022年6月以降、STEPNに以下のアップデートが施され、ゲームシステムが変更されました。また、新規ユーザー獲得に向けて、イーサリアムブロックチェーンにも対応しました。
バージョンアップ前は、スニーカーと一定のトークンを持っていれば、スニーカーの生産(ミント)が可能でした。すなわち、歩かなくてもスニーカーを生産し、儲けることができました。これは、開発チームの期待と異なる行動です。開発チームは、ユーザーが実際に歩いたり走ったりして、行動するという体験をして欲しいと考えています。
ミントとは、新しいNFTの生成を指します。STEPNでは、2つのNFTスニーカーを利用して、新しいNFTスニーカーを生成できます。
そこで、ミントスクロールが採用されました。スクロール(scroll)とは「巻物」を指し、ゲームの世界では魔法を使うためのアイテムという意味で使われてきました。このスクロールの導入により、スニーカーのミントに必要なアイテムが増えました。
このミントスクロールは、ミステリーボックスの形式で配布されます。また、シューズ保有数が1足だけでも、ミステリーボックスを得られるようになりました。従来のミステリーボックス獲得条件はやや厳しかったので、大幅な緩和です。開発チームは、シューズの保有数など外形的な条件でなく、実際に歩いているかどうかという実質的な要件を重視したのでしょう。
STEPNを使っていると、アプリが自動的に宝箱(ミステリーボックス)を拾ってくれます。中には、NFTスニーカー強化アイテム「ジェム」や、GSTなどが入っています。
一方、シューズをミントして売るだけの人にとっては、以前ほど稼げなくなりました。ミントスクロールを調達する必要があり、コストが上昇してしまったためです。
この施策により、NFTスニーカーの増加ペースが緩やかになると見込まれます。
トークンやNFTスニーカーに対する需要が変わらない場合、それぞれの総発行量を抑制すると、価格を上げることができます。そこで、NFTスニーカーやGST等を消費させる仕組みが導入されました。
スニーカー合成を使うと、同一のレアリティの靴5足とトークンを使って、上位クラスのスニーカーを1足作れます。ただし、5足の靴はバーンされます。
この仕組みの導入により、NFTスニーカーの総供給量を減らす効果があります。また、合成にはGSTとGMTも必要なため、トークン供給量を減らす効果もあります。
HPとは、ヘルスポイント(health point)であり、ロールプレイングゲームのヒットポイント(HP)と似た意味合いです。STEPNには、既に耐久値と呼ばれる項目があり、これに似ています。すなわち、靴の修復項目が2種類になり、それぞれについて修復が必要となります。なお、HPの数字が小さくなるとGSTを稼げなくなり、また、靴を送信するには、HPが100%となっている必要があります。
修復にはGSTが必要ですから、GST総数の抑制に貢献するでしょう。しかし、類似の修復項目が2種類になり、ユーザーにとって少々分かりづらいのが難点です。
ちなみに、このHPの値は、シューズ詳細画面に表示されていません。下の画面の最下部「Repair」をタップし、さらに表示される「Restore」をタップすると表示されます。このルール変更を把握していない場合、稼ぎが悪くなってからHPの存在を知って、慌てることになりそうです。
画像引用:STEPN
STEPNで稼ぐには、エナジーが必要です。エナジーは歩いたり走ったりして消費され、時間経過と共に回復します。
エナジーの最大値は、保有するNFTスニーカー数によって変化します。多くのNFTスニーカーを保有すると、エナジーの最大値は高くなります。エナジーの最大値が高くなれば、一度にプレイできる時間が増えるので、収益面でも有利になります。
これまで、エナジーの最大値は、ソラナ版とBNB版のNFTスニーカーの合計となっていました。しかし、アップデートにより、エナジーの最大値が各ブロックチェーンで分離されるようになりました。
ソラナ版とBNB版を別々に扱うことで、従来よりもNFTスニーカーのレベル上げや購入が必要になってきます。このため、エナジー分離はエコシステムの活性化につながると予想されます。
STEPNは、SolanaブロックチェーンとBNBチェーンで利用できます。そして、新しくイーサリアムチェーンでも利用できるようになりました。
STEPNは1つのゲームですが、ブロックチェーンごとに独立しています。このため、「独立=王国」と見なして「レルム(英語で王国の意)」と表記することがあります。すなわち、Sonalaで作られているSTEPN経済圏を「第1レルム」、BNBの経済圏を「第2レルム」と呼びます。同様の趣旨で、SolanaのSTEPNを「S国」、BNBチェーンのSTEPNを「B国」と呼ぶことがあります。
そして、イーサリアムで新規公開されたSTEPNは「E国」であり、APEレルムと呼ばれます。
STEPNは、イーサリアムでの事業展開に合わせ、BAYC(Bored Ape Yacht Club)とコラボしました。このため、イーサリアムのSTEPN経済圏を「APEレルム」と呼びます。人気のBAYCとのコラボで、新規ユーザー獲得が期待できます。
BAYCは、類人猿をモチーフにしたデジタルアートのNFTコレクションです。このコレクションは仮想通貨コミュニティで大人気であり、ひとつ数十万ドルほどの値を付けています。BAYCはNFTを軸に、DeFi(分散型金融)やブロックチェーンゲームなどの領域にエコシステムを拡大しています。
Twitter上では、STEPNの今後を予想するツイートが数多く見受けられます。
GST価格の低迷で収益が回収しづらくなったことから、STEPNはポンジスキーム(自転車操業のような形態の仕組み)だとの批判が強まっています。また、稼げなくなり、収益性改善の兆しが見えず、STEPNからの撤退を宣言するユーザーも出てきています。
一方、インフルエンサーの正岡吉宗氏は、STEPNの独自DEX「DOOAR」に触れて、「復活の起爆剤になると言われたが、早速デイリーユーザー数が約7万人に達すると利用者数1位を獲得しました」と期待を寄せるコメントを投稿しています。
その他、STEPNがインド市場に参入する時期が近づいてきている噂や、スカラーシップ制度が導入されるとの予想から、STEPNの復活を予想するユーザーも存在します。
スカラーシップ制度は、ゲームプレイに必要なNFTを手数料と引き換えに貸し出す制度です。「アクシーインフィニティ(AXS)」などで導入されています。初期投資が不要となることから、新規ユーザーに優しい制度です。
STEPNは、独自DEX(分散型取引所)のDOOARを展開しています。当記事執筆時点(2022年8月)で、STEPNアプリ内に実装されており、ユーザーは外部の取引所を使わずにアプリ内で仮想通貨を交換できます。手数料は1%とやや高いものの、手数料の用途は以下の通りです。
手数料(合計1%) | 用途 |
---|---|
0.3% | LPトークン提供者に分配 |
0.6% | GMTやNFTスニーカーのバーンなど |
0.1% | 将来の開発活動に投入 |
手数料はトークンバーンの原資や開発資金などに使われますので、STEPNの継続的な発展に寄与すると期待できます。下は、STEPN内にあるトレード画面です。シンプルな作りになっており、迷うことはないでしょう。
画像引用:STEPN
現在公開されているロードマップでは、2022年末までの大まかな計画を確認できます。
2022年8月から10月にかけて、ローンチパッド、マラソンモード、コミュニティを盛り上げるバッジシステムなどが順次実装される見込みです。その後は、ブランドの拡大やソーシャル機能の拡充が予定されています。
なお、バッジシステムとは、ゲームで一定の成績を達成すると、特別なバッジをもらえるシステムです。また、マラソンモードとは、あらかじめ2.5km~10kmの距離を指定して走るモードです。ローンチパッド含めて開発中であり、詳細は不明です。公式発表を待ちましょう。
GMTとGSTは、日本国内の取引所で取り扱いはありません。そのため、Binance(バイナンス)などの海外取引所で取引することになります。
日本語対応の海外取引所でのGMT取り扱い状況(USDT建て現物・デリバティブ)は、下記の通りです。
取引所 | 現物 | デリバティブ |
Binance(バイナンス) | 〇 | 〇 |
Bybit(バイビット) | 〇 | 〇 |
Gate.io(ゲート) | 〇 | 〇 |
CoinEX(コインイーエックス) | 〇 | 〇 |
MEXC(メクシー) | 〇 | 〇 |
BingX(ビンエックス) | 〇 | 〇 |
Bitget(ビットゲット) | 〇 | 〇 |
Binance(バイナンス)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
Bybit(バイビット)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
Gate.io(ゲート)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
CoinEX(コインイーエックス)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
MEXC(メクシー)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
BingX(ビンエックス)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
Bitget(ビットゲット)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
日本語対応の海外取引所でのGST取り扱い状況(USDT建て現物・デリバティブ)は、下記の通りです。
取引所 | 現物 | デリバティブ |
Binance(バイナンス) | × | × |
Bybit(バイビット) | 〇 | × |
Gate.io(ゲート) | 〇 | 〇 |
CoinEX(コインイーエックス) | 〇 | × |
MEXC(メクシー) | 〇 | 〇 |
BingX(ビンエックス) | 〇 | × |
Bitget(ビットゲット) | 〇 | × |
Binance(バイナンス)
現物 | デリバティブ |
× | × |
Bybit(バイビット)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
Gate.io(ゲート)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
CoinEX(コインイーエックス)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
MEXC(メクシー)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
BingX(ビンエックス)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
Bitget(ビットゲット)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
海外取引所は、日本語対応が充実しているBybit(バイビット)がおすすめです。
STEPNをプレイするには、NFTスニーカーへの投資が必要です。そして、効率的に稼ぐには、できるだけ多くのNFTスニーカーを用意しなければなりません。
原資回収に少なくとも数カ月を要するので、その投資が妥当かどうか、自身で精査する必要があります。人気絶頂期の2022年4月頃に新規参入した人の中には、数百万円規模の損失を被っている人もいる模様です。
STEPNは、変化を促そうと試みています。その結果、積極的なアップデートで、GSTのバーンを増加させています。これでGST価格が上向けば、収益性が改善されて、ゲーム内経済が正常化される可能性があります。
革新的なブロックチェーンゲームとして、将来性を秘めていることは確かです。しかしながら、新規参入には慎重な検討が必要です。
作成日
:2022.08.04
最終更新
:2023.03.16
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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