作成日
:2022.07.29
2023.05.26 06:41
人気お笑いコンビTKOの木本武宏氏の投資トラブルが、大きな話題となっています。その金額は7億円にもなるとされ、芸人仲間が被害を受けたと報道されています。
一部では、木本氏が巻き込まれたトラブルは、ポンジスキームだと噂されています。ポンジスキームとは、仮想通貨(暗号資産)に限らず、様々な投資対象で見られる詐欺です。いったいどのようなものでしょうか。また、ポンジスキーム以外の詐欺手法等も紹介します。
ポンジスキームとは、投資詐欺の一種で、米国を舞台にした詐欺師チャールズ・ポンジ氏に由来しています。出資金運用と配当を約束してお金を集め、しかし実際は運用せず、集めた資金の一部を原資に配当金を分配します。
こうすることで、出資者に対して運用益があがっているように見せかけ、より多くの資金を騙し取れるようになります。しかし、自転車操業のシステムなので、新規の出資者を獲得できなければ、配当金を分配できなくなって破綻します。
最終的に、詐欺師は資金を持ち逃げします。このため、配当金の分配は滞り、出資した元金も戻ってきません。過去には、「ジャパンライフ事件」や「ケフィア事業振興会事件」などで、多くの人々が被害にあいました。
ねずみ講と混同されがちですが、ポンジスキームは階層型の構造を必要としない点が異なります。
ポンジスキームは、見分けが難しい詐欺です。
資金繰りが上手くいっている間は、出資者に配当金が支払われるので、詐欺だと発覚しづらいです。全体的に配当金が不自然に高いなどの特徴があるものの、仮想通貨などのポンジスキームも、同様に判断が難しいです。
加えて、少しだけ資金を運用しているケースもあり、被害が「投資の失敗」なのか「詐欺」なのか、明確に判断できない場合があります。このため、ポンジスキームで詐欺に問うことも、簡単ではありません。
Twitter(ツイッター)上では、木本氏のトラブルはSTEPN絡みだったのではないかとの憶測が広がっています。真相はわかりませんが、以前、木本氏がSTEPN関連の情報を発信していたことから、そういわれています。
木本氏は、自身のTwitterアカウントを通じて「必ず近日中に事の経緯をきちんと説明させて頂く所存です」と説明しています。
— 木本武宏 (@TKO_KIMOTO) July 23, 2022
STEPNとは、Move to Earn分野のブロックチェーンゲームです。日本でも大人気となっており、多くの人がプレイしています。
Move to Earn(運動して稼ぐ)は、Play to Earnから派生した一分野です。Play to Earnとは、遊んでお金を稼ぐことを指します。すなわち、ブロックチェーンゲームで遊ぶと、NFTや独自仮想通貨などの報酬を得られます。近年、仮想通貨市場では、STEPNの流行もあり、多数のMove to Earnゲームがリリースされています。
STEPNをプレイするには、NFTスニーカーと呼ばれるNFTを購入します。そして、歩いたり走ったりすることで、報酬の仮想通貨「GST」を稼ぎます。GSTは、海外の取引所で現金化できます。
木本氏が熱心にプレイしていたことから、今回の騒動でSTEPNとポンジスキームのキーワードが結びつきました。しかし、STEPNは一般的なブロックチェーンゲームであり、ポンジスキームではありません。なお、トラブルはSTEPNと何らかの関係があるかも知れませんし、ないかもしれません。その点は、今後の発表を待ちましょう。
今回の事件の被害総額は、7億円を超えるといわれています。しかし、その資金の行方は不明です。一部報道では、STEPNに矛先が向いています。しかし、どのような経緯で被害につながったのか定かではありません。
STEPNで効率的に報酬を稼ぎ出すには、多数のNFTスニーカーが必要です。すなわち、ある程度の初期投資が必要です。また、NFTスニーカーはNFTマーケットプレイスで取引されており、需要と供給のバランスで価格が変動します。
従って、STEPNの不振が被害を生んだ可能性もあります。しかし、被害総額が大きすぎるので、仮にそうだとしても、STEPNだけでは説明がつかないとの見方もあります。
この点に関して、ゲームギルド「LCA Game Guild(LGG)」を運営する庄司隆弘氏は、「集めた資金がSTEPNに使われていたかは、現時点で警察から正式発表はされていませんし、資金の大きさから、大部分は不動産やFXなど他の投資によるものではないかと予想します」とコメントしています。
その他、庄司氏は、STEPNがわかりやすくやり玉に挙げられている現状に触れ、仮想通貨やNFT、ブロックチェーンゲームにネガティブなイメージが付いてしまうことを危惧しています。
仮想通貨価格の暴落が被害の要因となった可能性は否定できませんが、仮想通貨に全ての責任を押し付けるのは合理的ではないでしょう。
ギルドとは、中世ヨーロッパの組合を指します。すなわち、ゲームギルドとは「ゲーマーの集まり」です。ゲームの深い情報を提供しており、ユーザー等が集まって巨大なコミュニティを形成しています。
ポンジスキームは、様々な分野で行われています。また、仮想通貨は新しい資産クラスのため、知識が広まっておらず、数多くの人が被害に遭っています。金融庁や警察庁なども、仮想通貨投資詐欺に十分注意するように促しています。
Play to Earnなどゲーム系仮想通貨について、全般的にポンジスキーム的要素を含んでいるといわれる場合があります。
本来、ゲームは楽しむことに価値を見出します。しかし、Play to Earnは稼ぐことが目的であり、稼げなくなればプレイしなくなってしまいます。ここに問題があります。
多くのPlay to Earnは、高価なNFT購入を必須としています。スマホのゲームアプリなどとは異なり、楽しさに課金するのではなく、投資としてNFTを購入します。すなわち、プレイヤーの目的は、初期投資を回収して収益を上げることに集中してしまいます。
このようなモデルでは、システム全体が仮想通貨とNFTの価値に依存してしまいます。新規ユーザーが増え続ければ、NFTの需要が拡大してシステムを維持できます。しかし、そうでなければ、崩壊に向かいます。
そして、新規ユーザーを永続的に獲得し続けることは不可能です。最終的に仮想通貨価格は下落し、投資分を回収できないプレイヤーが続出します。この仕組みは、ポンジスキーム的だと言われてもやむを得ない面があります。
また、早期参入のプレイヤーは、後から参入したプレイヤーから収益を回収できるので、ねずみ講的な性質も持ち合わせています。Play to Earnのモデルでは、明確な階層関係があるわけではないものの、早期参入者が有利な仕組みになっています。
仮想通貨市場では、数多くのPlay to Earnが輩出されています。しかし、主要なPlay to Earnで持続可能なシステムを構築できたものは、まだないと考えられています。よくあるパターンとしては、仮想通貨やNFTの価格がピークを越えると、バブルが崩壊したかのように値崩れを起こし、プレイヤーが損失を被るという例です。
新規参入者獲得を維持できず値崩れした例として、下のチャートをご覧ください。STEPNで使われるトークン「GST」の価格推移です。最高値で1,000円を記録してから暴落し、わずか3か月足らずで100分の1未満になりました。この値動きはGST特有ではなく、Play to Earn銘柄で広く見られます。
画像引用:CoinMarketCap
なお、大手ゲーム開発会社のネクソンは、この現状を打破しようとしています。すなわち、ユーザーに継続的に遊んでもらえるように開発を進めています。
このようなリスクが存在しますが、仮想通貨で大きなリターンを得られる可能性があることも事実です。中には、勇猛果敢にリスク承知で勝ち逃げを狙うユーザーもいます。
このようなユーザーは、ハイプ(HYIP:High Yield Investment Program)を利用することがあります。ハイプは、日本語で「高利回り案件」と訳せます。その名の通り、一般的には考えられないほどの高利回りを約束する投資を指します。
ハイプは、必ずしも詐欺を意味する言葉ではありません。しかし、仮想通貨絡みではそのほとんどが詐欺に関連しているといえます。また、ハイプの詐欺案件は、概ね以下の3つの要素のいずれか、または全てを含んでいるでしょう。すなわち、自転車操業で配当金を分配して資金を騙し取る、すなわちポンジスキーム的な要素、誰かを紹介すると利益が分配されるマルチ商法的な要素、そして、階層化して上位者が搾取するねずみ講的な要素です。
便宜上、ハイプはポンジスキームとほぼ同じ意味で使われることもあります。そして、より高い利回りを約束していることが特徴的です。従って、最終的に運営者が資金を持ち逃げするリスクがあります。
勝ち逃げを狙うユーザーは、高利回りの利益を享受してから、運営者による資金持ち逃げ前に撤退します。運営者が出金に応じない可能性もあるので、必ず勝ち逃げできるというわけではありません。
仮想通貨コミュニティでは、DYORというスラングがよく使われています。「Do Your Own Resarch」の略称で、投資する際のリスクを自身で調べるべきだという言葉です。木本氏のトラブル報道の内容が事実であれば、DYORを怠った投資家が格好の餌食になった典型例だといえるでしょう。
仮想通貨市場にはチャンスが多く転がっている一方、詐欺に遭う可能性もあります。すなわち、他人任せな投資は危険です。ポンジスキームなど詐欺の可能性も頭に入れて、自己防衛を心がけることが重要です。
作成日
:2022.07.29
最終更新
:2023.05.26
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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