作成日
:2022.06.07
2023.03.16 15:54
2022年6月2日、人気仮想通貨(暗号資産)ソラナ(SOL)のブロックチェーンに障害が発生し、4時間以上にわたって稼働が停止したことが明らかになりました。最終的にソラナのブロックチェーンを再起動することで同日中に復旧を果たしています。
ブロックチェーンが停止することは、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などでも稀に起こりますが、障害が頻繁に発生しているソラナは技術的に不安視されています。現在、ソラナでは様々なDApp(分散型アプリ)が開発され、今回の障害ではソラナを基盤に置いた「STEPN」に影響がでたことで話題が大きくなりました。本記事では、今ソラナはどのような状況に陥っているのか、価格への影響についても詳しく説明します。
仮想通貨(暗号資産)ソラナは、大手仮想通貨取引所のFTX(エフティ―エックス)や大手ベンチャーキャピタルのAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)などから出資を受けており、主要なイーサリアムキラーのブロックチェーンとして期待されている存在です。
また、人気アプリ「STEPN」がソラナのブロックチェーンを使用しているので、日本でも人気の仮想通貨銘柄です。なぜソラナに高い関心が集まるかと言うと、1秒間に5万件の高い処理能力と他の通貨よりも安い手数料にあります。
このような高性能な技術を持つソラナがなぜ、頻繁に障害が起こってしまうのか、詳しく説明していきます。
イーサリアムキラーとは、将来的にイーサリアムに取って代わる銘柄を指します。イーサリアムキラーと言われる銘柄の多くは、イーサリアムが持つガス代の高騰や、利用者の増加により処理能力が低下するスケーラビリティ問題などの課題を補うブロックチェーン技術を持っていることが特徴です。ソラナはそのイーサリアムキラーの代表格です。
ブロックチェーンとは、取引内容や情報をブロックにまとめ、そのブロックを繋げていくことからブロックチェーンと呼ばれています。このブロックを作成する方法はコンセンサスアルゴリズムと呼ばれ通貨ごとに異なります。
ソラナのコンセンサスアルゴリズムは、取引時間を改善するPoH(プルーフ・オブ・ヒストリー)という独自の仕組みを採用していますが、ジャンルとしてはPoS(プルーフ・オブ・ステーク)に分類されます。
PoSは、「バリデーター」と呼ばれる人が取引の承認作業を行う仕組みです。ビットコインなどで採用されるPoW(プルーフ・オブ・ワーク)では、難解な計算式を最初に解いた人が取引の承認を行いますが、PoSでは、その仮想通貨を多く保有する人がバリデーターに選出されやすいという特徴があります。
6月2日に発生した障害では、特殊な取引に利用される機能である「Durable Transaction Nonces」が原因でバグが発生し取引の承認ができなくなりました。この状態を解消するためにネットワークの再起動を余儀なくされた結果、約4時間以上の稼働停止が発生しました。
「Durable Transaction Nonces」は通常の取引に使われる機能ではありません。しかし、仮想通貨のような分散型ネットワークでは各端末がデータを保有しているため、一部で発生したバグが原因で端末間の情報が一致しなくなり、ネットワーク全体の稼働に影響が出るリスクがあります。
この障害に対してSNS上では、頻繁に障害によるブロックチェーンの停止が行われていることから早急なシステムの改善を望む声が数多く見られます。
今回の障害が発生してから、ネイティブトークンであるソラナ価格は大幅に下落することになりました。障害の影響は価格下落に加え、各取引所や話題のアプリにまで飛び火することとなっています。
障害が確認される直前の2022年6月1日、ソラナ価格は45ドル前後で推移していましたが、翌日にかけて一時40ドルを割り込むまで急落しています。長期的には、仮想通貨市場の基軸通貨とも言えるビットコインの不調や、ネットワークの可用性が低下していることが原因で、250ドル付近の過去最高値から下落が続いています。
ソラナはイーサリアムキラーとしての期待が高かっただけに、保有者も多くいました。今回の価格下落を受けて、SNS上では失望の声も広がっています。
これに伴い、ソラナを取り扱う仮想通貨取引所なども送金サービスが一時的に停止され、さらに世界最大のNFTマーケットプレイスであるOpenSeaでは、「Okay Bears」や「DeGods」などの同ブロックチェーンを基礎とする人気NFTコレクションの取引高が急激に下落することとなりました。
その他、Twitter(ツイッター)上では、ソラナを基盤とする日本でも人気のMove to Earnゲームである「STEPN」においても送金ができない内容のツイートがみられました。特に最近、STEPNは中国でのサービス終了を発表してから仮想通貨価格やNFTの最低販売価格を指すフロアプライスが急落しているので、この障害は大きな痛手といえます。
Move to Earnは「運動して稼ぐ」をコンセプトにしたブロックチェーンゲームで、ユーザーは歩いたり走ったりすることで報酬の仮想通貨を得られます。高価な専用のNFTを購入する必要があるものから無料でプレイできるものまで幅広い遊び方ができるMove to Earnは新しい分野のブロックチェーンゲームとして成長が期待されています。近年、STEPNの流行もありソラナを採用する多数のMove to Earnゲームがリリースされています。
処理能力に優れるソラナですが昨年から障害が続いており、お伝えしている6月2日の障害以前にも2022年4月30日から5月1日までに毎秒400万件を超えるトランザクションが集中し、ネットワークを停止することを余儀なくされました。頻発するソラナの原因はどこにあるのでしょうか。
この障害の起因であるトランザクションの増加は、Candy Machineと呼ばれるNFT発行ツールに関連した取引が殺到したことによるものだと推測されています。
Candy Machineは、固定の価格を払うと1つNFTを受け取ることができるもので、先着順に配布されるNFTを受け取るため、ボットを利用して大量の取引が行われました。
同年1月にもソラナは、同様にボットによるシステムダウンを経験しており、何らかの対策が求められているのです。ソラナは手数料がほぼかからないブロックチェーンということもあって、このような事態に陥りやすいという問題も抱えているといえるでしょう。
また、最近ではネットワークが停止される以外にも、ソラナはブロック生成の時間が遅延していることが懸念材料となっています。これに関して公式サイトは、「パフォーマンスやネットワーク操作に影響を与えることはありません」と発表していますが、ブロックを生成するのに要する時間が理論値の倍近くまで増加していることが分かっています。目に見える変化としてBinanceでのソラナの入出金処理が極端に遅くなっていることなどが挙げられ、このことで問題が表面化し始めています。
こうした背景からソラナでは、ボット対策が急務だとの意見が出てきています。現時点では、ネットワークの負担となるような悪質な行為を行った者に対して0.01SOLのペナルティを科すことなどが対応案として考えられおり、その他にも混雑時に取引を成立させる手段として、優先手数料の設定も検討されています。
優先手数料はイーサリアムなどでも導入されており、緊急性のあるトランザクションを処理する手段として重宝されています。ソラナでは計算量に対して割高な手数料を設定しているトランザクションから処理を行う。さらに使用回数も制限する機能が提案されており、手数料の安さを悪用するボット対策になると想定されています。この機能実装はソラナの次期アップグレードであるv1.11に盛り込まれる見通しとなっています。
ソラナは、ブロックチェーンを利用したプロジェクトの立ち上げに巨額の投資を行なっているなど、順調に仮想通貨としての規模を拡大しています。その結果、トランザクション数が急激に増加していますが、障害が頻発していることを受けて信頼性や可用性に課題が見え始めています。
例えば、起業家のマーク・ジェフリー氏はソラナの度重なる障害を目の当たりにして、「ソラナに対する信用はゼロだ」と切り捨てました。ジェフリー氏は、DAppプラットフォームの覇権争いがイーサリアム、バイナンスコイン、ファントム(FTM)、アバランチ(AVAX)、テラ(LUNA)に絞られたとコメントしており、仮想通貨コミュニティで注目を集めています。
このままソラナの障害が慢性化すれば、今後のプロジェクト数やブロックチェーン技術の活用に悪影響が及ぶ可能性もあることから、ソラナには一刻も早い改善が求められます。
出典元:
作成日
:2022.06.07
最終更新
:2023.03.16
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。
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