作成日
:2021.08.30
2022.04.20 12:28
2021年8月上旬にユーロ/スイスフラン(EUR/CHF)が年初来安値を更新する展開となる中、海外FXブローカー各社は、スイス国立銀行(Swiss National Bank)【以下、SNBと称す】による現行のペッグ通貨政策にリスクが伴うとして、スイスフラン通貨ペアのレバレッジを変更した。
MILTON MARKETS(ミルトン マーケッツ)ブランドを運営するMilton Markets Limited【以下、MILTON MARKETSと称す】は、スイスのペッグ通貨政策に伴うリスクが予想されるため、全てのスイスフラン(CHF)通貨ペアの証拠金を増額した。同社のリスクマネジメントチームは、同国の政策がスイスフランを現在の水準で維持することに潜在的な問題があると判断したという。MILTON MARKETSでは8月20日12時(GMT、グリニッジ標準時)に、全ての同通貨ペアの必要証拠金を10倍に変更し、現在の口座の最大レバレッジが200倍の場合、スイスフランペアの最大レバレッジを20倍に引き下げた。尚、同社のMetaTrader4【以下、MT4と称す】の表示時間はGMT+1であり、その他の通貨ペアのレバレッジに変更はないとのことだ。
Traders Trust(トレーダーズ トラスト)ブランドを運営するTTCM Traders Capital Limited【以下、Traders Trustと称す】は、8月20日サーバー時間(GMT+3)19時に、全てのスイスフラン通貨ペアの証拠金要件を5%に増大した。 これにより、同通貨ペアに適用される最大レバレッジは、ダイナミックレバレッジが適用される口座においても20倍で固定された。同社は顧客に対し、スイスフラン通貨ペアのオープンポジションがある、もしくは同通貨ペアの取引を検討している場合、ボラティリティの拡大の可能性に鑑み、口座に十分な資金を確保するよう注意を促している。
Exclusive Markets(エクスクルーシブ・マーケット)ブランドを運営するExclusive Markets Ltd【以下、Exclusive Marketsと称す】は、SNBが緊急会合を開催するとの情報を受け、これまで情報収集とリサーチを進めてきたという。現状、同会合の開催やSNBによる介入の有無に関しては未確定であるが、Exclusive Marketsは8月20日サーバー時間(GMT+3)23時より、全てのスイスフラン通貨ペアにおいて、通常の倍額の必要証拠金を求める決定を下した。 これにより、同通貨ペアで利用できる最大レバレッジが500倍の場合、今回の規制により250倍に制限されることになる。
2015年に創業したMILTON MARKETSは、バヌアツ金融サービス委員会(Vanuatu Financial Services Commission, VFSC)の規制下において、「ハイレバ・低スプレッド・高速約定」という3拍子揃った取引環境に定評がある新興海外FXブローカーだ。同社はボーナスキャンペーンの開催にも積極的であり、直近では、MILTON MARKETSはミルトン夏の金メダルキャンペーンを開催している。
2009年に創業したTraders Trustは、バミューダ共和国を日本向けのサービス拠点とする海外FXブローカーだ。2021年4月、Traders Trustはダイナミックレバレッジを導入し、口座残高によるレバレッジ制限ではなく、取引サイズに応じた最大3,000倍のハイレバレッジ取引サービスを提供している。また、同社はNDD方式を採用した透明性の高い取引環境を構築すると共に、東京にもサーバーを設置することで、平均執行時間が0.13秒という高い約定力を誇っている。
Exclusive Marketsはセーシェルの金融サービス局(Financial Services Authority, FSA)の規制下において、2020年12月に日本人受け入れを開始したばかりの新鋭海外FXブローカーだ。同社は狭いスプレッドや高い約定力に加え、MT4用インディケータやEA(自動売買システム)をMetaTrader5へ無料で変換する独自サービスの提供などを通じ、急速に注目を集めている。更に、トレーディングエクスペリエンスの向上に向けた取り組みを推進しており、直近では、Exclusive MarketsはPAMMソリューションの提供を開始し、MT4/MT5でストラテジープロバイダーとして登録及び利用することができるようになった。
海外FXブローカー各社が、スイスフランのレバレッジを変更する中、SNB及び同通貨ペアの動向を引き続き注視したい。
release date 2021.08.30
出典元:
ニュースコメント
ゼロカットを確実に行う海外FXブローカーを紹介
スイスフランに関しては、2015年1月にSNBが突如ユーロ/スイスフランの上限撤廃を決定したことをきっかけにスイスフランショックが発生した。その際、同通貨ペアが15分ほどで約30%暴落したことにより、世界中で多額の追証が発生する事態に陥った。ゼロカットを実施しない日本においても、スイスフランショック時に個人・法人合わせて約34億円のロスカット等未収金が発生していた。また、一部のブローカーでは確実にロスカットもしくはゼロカットを実施しない事例も散見されていた。そこで今回は、相場急変時に海外FX特有のゼロカットを確実に行う信頼性の高いブローカーを紹介したい。例えば、海外FXブローカーの中で日本人シェアNo.1を誇るXMTrading(エックス エム)や、独自性の高い取引サービスが魅力の老舗ブローカーであるeasyMarkets(イージーマーケット)などは、スイスフランショック時にもゼロカットを実施し、顧客からの高い信頼を得ている。足元では、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックをきっかけに、安全資産であるスイスフランへ資金が集中し、SNBの買い入れ額が増大しているという。スイスフラン通貨ペアのボラティリティが急激に拡大する可能性がある中、各トレーダーがこれらの海外FXブローカーを通じて安心・安全に取引することに期待したい。
作成日
:2021.08.30
最終更新
:2022.04.20
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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