作成日
:2021.07.19
2022.04.20 12:28
今月15日、イタリアの国家証券委員会(Commissione Nazionale per le Società e la Borsa)【以下、CONSOBと称す】は、世界最大の仮想通貨(暗号資産)取引所であるバイナンスが当局の認可を得ずに国内で事業活動を行なっていることに対して警告した。
今回、CONSOBはバイナンスがデリバティブや株式トークンなどの取引サービスをイタリア語のWebサイトを介して提供している事実に触れ、当局の認可無しに投資サービスなどを提供することは刑事罰の対象で違法行為に該当すると述べた。CONSOBがバイナンスに対してどのような措置を取るかは明らかでないが、当局は国内のインターネットプロバイダーに同取引所へのアクセスを遮断するよう命令することもできるという。また、CONSOBは投資家に対しても投資の選択を十分に認識し、利用するサービスが認可されたものであるか最大限の注意を払うよう促している。
これに関してバイナンスの広報担当者は、CONSOBと協力してコンプライアンス義務を果たしたいと言及した。近年、世界各国で消費者保護やAML(マネーロンダリング防止)の観点から仮想通貨市場での取り締まりが強化されており、バイナンスは日本や米国、英国、カナダ、ポーランド、ドイツ、シンガポール、タイ、ケイマン諸島などの規制当局から同様の警告を受けているようだ。このような状況下、バイナンスのCEOであるチャンポン・ジャオ氏は仮想通貨規制に関する書簡を公開するなど、自身の考えや同取引所の取り組みを説明している。
バイナンスは仮想通貨関連サービスを拡大しており、現時点でその日間取引量は6,680億ドルに達しているという。世界各国でオフショア取引所を排除する流れが加速しているが、バイナンスはどのような動きに出るのか、今後も同取引所の動向を見守っていきたい。
release date 2021.07.19
出典元:
ニュースコメント
対バイナンスの措置を講じる各国規制当局
最近、FCAがバイナンスの入出金に制限をかけるなど、各国の規制当局は同取引所に対してより具体的な措置を講じ始めている。例えば、ドイツではBaFinが株式トークン発行したバイナンスに罰金を科すことを検討しており、国内でのサービスを停止するよう同取引所に圧力をかけているという。その他、欧州ではSEPA(Single Euro Payments Area)からバイナンスを除外する動きが生じ、結果的に同取引所は、欧州連合(EU)30カ国が加盟する決済ネットワークを通じた取引を一時的に利用できなくなっているようだ。今の所、日本やシンガポールなどは厳重注意だけに留まっているが、これらの国に続いて強行策に出る可能性も十分にある。今後もこのバイナンス包囲網は拡大していくと考えられるだけに、同取引所にはグローバル市場に展開する事業体の整理やビジネススキームの変更などの抜本的な改革が求められていると言えるだろう。
作成日
:2021.07.19
最終更新
:2022.04.20
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
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