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ロビンフッド、米FINRAに制裁金支払いで合意

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update 2022.04.20 12:28
ロビンフッド、米FINRAに制裁金支払いで合意

update 2022.04.20 12:28

FINRAが科した制裁金としては過去最大

シリコンバレーを拠点に取引手数料無料の投資アプリを提供するRobinhood Markets, Inc.【以下、ロビンフッドと称す】は6月30日、顧客保護を怠ったとの疑いで、米国の金融業規制機構(Financial Industry Regulatory Authority)【以下、FINRAと称す】に約7,000万ドル(約77億円)を支払うことで合意した。[1]

FINRAによると、ロビンフッドは数百万人に及ぶ顧客に誤った情報を流した他、システム障害により取引できなかった顧客に多大な損害を与えたという。また、ロビンフッドが適合性原則(顧客にマッチした商品を勧めること)に違反して数千人もの顧客にオプション取引を承認したことに加え、顧客からの苦情をFINRAへ報告する義務を怠ったことなどにより、今回FINRAはロビンフッドに制裁金を科す決断を下したとのことだ。

FINRAは2016年9月より一定期間にわたりロビンフッドを調査する過程で、ロビンフッドが顧客に誤った情報もしくは投資家がミスリードしかねない情報を提供していることを認識したという。これらの情報は、口座にある資金や投資余力、オプション取引に伴い損失を被るリスク、追証が発生する可能性など、多岐にわたるとのことだ。2020年6月には、ロビンフッドを通じてオプション取引を行った大学生が、投資余力及びオプションの資産価値を表していた73万ドル以上のマイナスを損失と勘違いして自殺する事件が起きた。これを受け、ロビンフッドはオプション取引サービスを刷新する事態に発展していた。

また、ロビンフッドが2017年12月にオプション取引サービスの提供を開始して以来、同社は顧客にオプション取引を承認する前のデューデリジェンスを怠っていたという。ロビンフッドでは、オプション・アカウント・アプルーバル・ボット(Robinhood as "option account approval bots)と呼ばれるアルゴリズムを活用して取引資格の審査を行っていたが、同ボットはロビンフッドの社内基準を満たさない顧客に対して、頻繁に取引を承認していたとのことだ。

更にロビンフッドは、2018年1月から2020年12月の間、数万件に上る顧客の苦情についてFINRAに報告する義務を怠ったという。顧客から寄せられた苦情には、誤った情報の提供やシステム障害により損失を被ったことなどが含まれている。尚、苦情の中にはロビンフッドの社内規定で報告対象から除外される一方、FINRAの報告義務対象には含まれる内容のものがあったことが、報告義務違反の大きな要因となった模様だ。

約7,000万ドルの制裁金の内訳は、5,700万ドルがFINRAに支払う罰金であり、残りはロビンフッドの不適切行為による影響を受けた顧客への損害賠償と金利になる。今回ロビンフッドが支払う制裁金は、FINRAが科したものとしては過去最大になることから、事態の深刻さがうかがい知れる。また、ロビンフッドは違法性を認めることなしに制裁金の支払いに合意したという。尚、非公開の形でロビンフッドは上場申請を行っており、早ければ今夏のIPO(イニシャルパブリックオファリング)を目指しているが、制裁金の支払いが上場計画に影響を及ぼす可能性がある。

ロビンフッドがより安全な取引システムの構築やコンプライアンスの徹底を図る上で、如何なるソリューションを講じるか、その動向を見守りたい。

release date 2021.07.05

ニュースコメント

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システム障害及びサービス中断を繰り返すロビンフッド


FINRAは、2018年から2020年の間に、ロビンフッドが度々システム障害を起こしていたと指摘している。2020年3月2日、3日のシステム障害が最も深刻なものであり、ロビンフッドのウェブサイトとモバイルアプリがダウンしたことでサービスが中断され、ボラティリティが大きく高まった中でも顧客は口座にアクセス出来なった。これにより、機動的な売買が妨げられたユーザーが集団訴訟を起こす事態に発展していた。尚、ロビンフッドはシステム障害が発生した際の事業継続計画【以下、BCPと称す】を策定しているが、同社の物理的ロケーションに影響を与えない事象に関してはBCPを適用しないものとしており、両日に受注及び執行を受け付けなかったという。BCPの適用範囲が不当に制限されていたことで、顧客は数万ドルに及ぶ損害を被ったとのことだ。また、2021年1月末、ゲームストップ株などに対してロビンフッドが取引制限を発動したことを受け、複数の投資家が同社を相手取った訴訟を起こしていた。ロビンフッドは近く上場を控えているが、システム障害及びサービス中断が頻繁に発生している問題を踏まえ、より安心・安全な取引環境の構築に向けた取り組みを推進することに期待したい。


Date

作成日

2021.07.05

Update

最終更新

2022.04.20

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

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プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

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