作成日
:2021.06.15
2022.04.20 12:27
6月11日、インド執行局(Enforcement Directorate, ED)は、バイナンス子会社の仮想通貨(暗号資産)取引所であるWazirXが外国為替管理法(Foreign Exchange Management Act, FEMA)に違反したとし、約279億ルピー(約417億8,400万円)相当の仮想通貨取引に関する証拠開示通知を発行したことを明らかにした。
今回、インド執行局は違法な賭博アプリに関するマネーロンダリングを調査する中で、中国籍の容疑者が5億7,000万ルピーをテザー(Tether)に両替し、Binance Walletに送金していたことを発見した。この調査期間中だけでもWazirXでは、バイナンスから88億ルピー相当の仮想通貨が流入しただけでなく、14億ルピー相当が同取引所に流出しているが、このようなトランザクションを実行することは違法だという。加えて、インド執行局はWazirXがAML(マネーロンダリング防止)やCTF(テロ資金供与対策)関連の法律にも抵触していると指摘した。
これに対してWazirXのCEOであるニシャル・シェティ氏は、同取引所がKYC(顧客確認)およびAMLプロセスに従っており、法的義務を超えて当局に情報を提供してきたとコメントした。また、シェティ氏はWazirXが当局から未だ何の通知も受け取っていないと述べた上で、要求があれば全面的に協力すると言及している。
インド政府は仮想通貨が犯罪の温床となることを恐れており、取り締まりを強化する方針を示しているが、どのような動きに出るのか、今後も同国での展開を見守っていきたい。
release date 2021.06.15
出典元:
ニュースコメント
仮想通貨禁止から規制へと舵を切るインド政府
これまでインド政府は仮想通貨取引禁止法の導入を計画するなど、反仮想通貨の姿勢を貫いてきたが、最近ではその態度を軟化させつつある。政府内でも全面的な禁止措置を講じることが前時代的だとの批判の声が高まっており、インド政府は仮想通貨規制の再考に向けて専門家パネルを立ち上げる動きを見せているという。このような状況下、国内の仮想通貨関連企業は曖昧な規制環境の中で運営を続けることを余儀なくされている。特にインド市場で事業拡大を図るKrakenやバイナンス、Bitfinexなどの外国企業にとっては、これが経営面での法的リスクになっているようだ。約5億人のインターネット人口を抱えるインドでは、ミレニアル世代を中心にビットコイン(Bitcoin)の取引高が増加しており、仮想通貨市場が拡大の兆しを見せているが、同市場を取り巻く環境はどのように変化していくのか、今後もインド政府の動向に注目していきたい。
作成日
:2021.06.15
最終更新
:2022.04.20
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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