作成日
:2021.06.09
2022.04.20 12:27
ビジネスインテリジェンス(Business Intelligence)を開発するMicroStrategyが、4億ドル相当のシニア債を発行し、ビットコイン(Bitcoin)の更なる追加購入を計画していることが明らかになった。
今年2月、MicroStrategyは約9億ドルの社債を発行したばかりだが、更なる投資資金を得るために2028年を満期としたシニア債を私募発行することを決定したという。MicroStrategyによるビットコイン購入に向けた社債発行は、ここ1年間で3回目のことであり、今回の分だけでも2016年以降の営業キャッシュフローを上回っているようだ。これに関してCumberland AdvisorsのCIO(Chief Investment Officer)であるデビッド・コトック氏は、ビットコインの購入は投機的な行いで本業ではないと批判している。一方、Diamond Hill Capital Managementのポートフォリオマネージャーであるジョン・マックレイン氏は、MicroStrategyの債券がビットコインによって担保されている事実に触れ、仮想通貨(暗号資産)投資家に低リスクな投資機会を提供すると評価した。
MicroStrategyは今年5月時点で約22億5,000万ドル相当の92,079BTCを取得しており、年初から続く仮想通貨市場の好調に恩恵を受けてきた。しかしながら先月からのビットコイン価格の暴落を背景に、MicroStrategyは次回の決算報告で2億8,450万ドルの損失を計上することを見通しているようだ。これに伴い、同社の転換債券価格は3割から4割程度値下がりしているのに加え、株価もピーク時の1,272ドルから60%以上下落している。
今回、MicroStrategyは保有するビットコインを子会社のMacroStrategy LLCに移管すると同時に、シニア債の管理をMicroStrategy Services Corporationに委託することも発表した。MicroStrategyのCEOであるマイケル・セイラー氏は、米ドルのインフレ対策としてビットコインを長期保有する意向を示しているが、これがどのような成果につながるのか、今後も同社の取り組みを見守っていきたい。
release date 2021.06.09
出典元:
ニュースコメント
仮想通貨市場におけるテスラの去就に注目が集まる
MicroStrategyは電気自動車メーカーのテスラ(Tesla)と並び、ビットコインを大量購入することで仮想通貨市場の拡大を牽引してきた。しかしながらテスラのCEOであるマスク氏がビットコインの環境負荷に言及したことをきっかけに、仮想通貨市場の流れが変わりつつあるようだ。今年3月にテスラはビットコイン決済を受付開始したものの、環境への配慮からビットコインを利用すべきでないとの立場を示し、既に受付を停止しているという。これが仮想通貨市場からの撤退を意味しているのかは明らかではないが、少なくとも電力消費の問題が解消されるまでテスラが大規模なビットコイン投資を行うことはないと考えられる。対照的にMicroStrategyは押し目買いを継続しており、ビットコイン投資に対するコミットメントの高さを示しているが、その他投資家はどのような判断を下すのか、今後も仮想通貨市場での展開に注目していきたい。
作成日
:2021.06.09
最終更新
:2022.04.20
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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