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第6次マネーロンダリング対策指令と米国OFAC規制を考察

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update 2024.02.18 23:44
第6次マネーロンダリング対策指令と米国OFAC規制を考察

update 2024.02.18 23:44

金融機関はEUと米国の規制動向に注意を払う必要

EUの規制動向とセキュリティ関連フィンテック分野のエキスパートであるElla Rosenberg氏と、国土安全保障(Homeland Security, HLS)及びデューデリジェンス分野のエキスパートであるAviel Marciano氏の両氏は、第6次マネーロンダリング対策指令(The sixth EU Anti-Money Laundering Directive)【以下、AMLD6と称す】と、米国財務省の外国資産管理室(Office of Foreign Assets Control)【以下、OFACと称す】による規制が、グローバル金融市場に大きな影響を与えていると見ている。[1]

最新のマネーロンダリング指令であるAMLD6は、グローバルベースのAML(アンチマネーロンダリング)対策スキームとなる。主な内容としては、実質的所有者(Ultimate Beneficial Ownership, UBO)として登録する法人及び個人や、EU圏外からの資産移転に対する厳格なモニタリングに加え、マネーロンダリングほう助などの犯罪行為に対する罰則の適用義務及び追加制裁義務、法人への厳格な法執行に加え、解散や罰金増額などの処置実施が挙げられる。

2020年10月、OFACが公表したランサムウェアの身代金支払いを助長する潜在的制裁リスクに関する通告も、グローバル金融市場に大きな影響を及ぼしているという。同規制はランサムウェアの身代金支払いを助長する金融機関に適用され、一切の例外を認めない断固とした措置となっている。また、OFACはランサムウェアの身代金支払いに関連したライセンスを発行している他、個別に事案を精査しており、被害企業にとっては同室に状況を報告することが推奨されている模様だ。

EU及び米国当局は、仮想通貨業界におけるランサムウェアの身代金支払い事案を確実にモニタリングしており、実践的な規制アプローチを用いている。一方、EU及び米国で運営する電子マネー機関(Electronic Money Institutions, EMIs)や仮想通貨取引所は、インハウスのサイバーセキュリティ対策強化や、プライバシー権に関するベストプラクティスを示すと共に、データ保護責任者(Data Protection Officer, DPO)の任命や、各顧客及びビジネスパートナーをデューデリジェンスする全体システムの構築が求められているという。

グローバル化を背景にEUと米国市場が関連性を持つ中、金融機関各社は両市場のAML及びデューデリジェンス規制に注意を払う必要がありそうだ。

release date 2021.01.18

出典元:

ニュースコメント

サイバーセキュリティと業務システムの強靭化が求められる海外FXブローカー

2020年9月、HSBCやドイツ銀行、スタンダードチャータード銀行などのグローバル金融機関が、20年にわたりマネーロンダリングに関わる疑わしい取引を容認していた可能性があることが明るみに出た。またグローバル金融市場において、ランサムウェア攻撃による被害は深刻なものになっているという。これらの金融犯罪が蔓延する市場環境に鑑み、EU及び米国当局のみならず、世界各国当局が関連規制を強化している状況だ。例えば、韓国FSCが仮想通貨ユーザーのKYCを義務化する方針を示す他、英国金融行動監視機構(FCA)やシンガポール金融管理局(MAS)、香港証券先物委員会(香港SFC)なども金融犯罪対策を推進している。民間レベルにおいても、IAが脅威インテリジェンスプラットフォームをリリースした他、楽天証券がNICE Actimizeのソリューションを採用し、AML対策の強化や業務効率の改善を図っている。海外FXブローカーを始めとする金融サービスプロバイダー各社が、コンプライアンスの徹底を図ると共に、サイバーセキュリティと業務システムの強靭化に向けた取り組みを積極化することに今後も期待したい。


Date

作成日

2021.01.18

Update

最終更新

2024.02.18

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

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プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

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