作成日
:2021.01.13
2022.04.18 11:43
米国にて幅広い金融事業を展開しているStoneX Group Inc.(本社:155 East 44th Street, Suite 900, New York, NY 10017
)【以下、StoneXと称す】は、英国子会社であるStoneX Financial Ltd【以下、StoneX英国子会社と称す】がイングランドのラグビーリーグ・RFUチャンピオンシップ(2部)に所属するSaracens【以下、サラセンズと称す】と、4年にわたる長期スポンサーシップ契約を締結したことを発表した。サラセンズは過去10年間に、欧州一のラグビークラブを決める欧州チャンピオンズカップを3回制覇した他、イングランド最高峰リーグであるプレミアシップで5回優勝しており、世界的な人気を誇る強豪クラブだ。過去には日本人初のプレミアシップ出場を果たした岩渕健輔氏や、元日本代表主将の菊谷崇氏が所属していた。しかしながら、選手の年俸総額上限を定めたサラリーキャップ制度に違反したとして、540万ポンドの罰金と35点の減点を科され、昨年は2部リーグへの降格を余儀なくされている。
今回の提携を通じて、StoneXはサラセンズのメインスポンサーに就任する他、スタジアムのネーミングライツを取得し、StoneXスタジアムへと改名する見通しだ。また、2020年7月に同社が買収したGAINの英国子会社であるCity Indexが、男子及び女子チームが着用するユニフォームのリードパートナーを務めるという。
両社の提携に際し、StoneX英国子会社のCEOを務めるPhilip Smith氏とサラセンズのCEOを務めるLucy Wray氏は、それぞれ以下のようにコメントしている。
私は卓越性の発揮に向けてたゆまない向上心を持つサラセンズと、長期スポンサー契約を締結したことを喜ばしく思っております。両社にとって現在は、努力を積み重ねることが大切な時期であると共に、今後はトレーダーと同クラブの選手が交流を持つ可能性もあるでしょう。努力や忍耐、献身は、グローバル金融サービスプロバイダーである我が社の中核となる企業価値であります。これらの価値観はサラセンズと共有しており、同クラブの優れた成績や選手及びファンの幸せへのコミットメントとして表れております。私は長年にわたり、同クラブとパートナーシップを発展させていくことを楽しみにしております。
Philip Smith, CEO of StoneX Financial Ltd - StoneXより引用
我が社は世界有数の金融グループであるStoneXと、新たに長期パートナーシップ契約を締結したことを大変喜ばしく思っております。我々は卓越性や革新性にコミットすることを共有しております。我が社は非常に困難な時期を過ごしてきましたが、StoneXとCity Indexのチームスタッフとお会いした後、新たなスタートを切ることを楽しみにしており、間違いなく彼らと野心や価値観を共有できると確信しています。
Lucy Wray, CEO of Saracens - StoneXより引用
尚、StoneXは2020年12月、シカゴ商品取引所(CBOT)より移管規則に違反したとして罰金を科せられた他、2021年1月にはCMEからもドキュメント規則違反として罰金を科されている。今回、世界的な人気を誇るサラセンズと提携したStoneXが、グローバルブランディング戦略の推進とコンプライアンス体制の立て直しを両立させることに期待したい。
release date 2021.01.13
StoneXの2020年度第4四半期決算では、GAINの買収に伴いFX事業の収益急増が明らかになった。今回、同社やCity Indexがサラセンズのプレミアシップ昇格を長期的にサポートすることで、FX市場としても世界最大規模を誇る英国において、着実にブランド力の向上及び業績拡大を図る意向があると推察される。他方で、サッカーの母国でもある英国では、効率的なマーケティングの実践を図る金融サービスプロバイダーと、グローバルに多数の視聴者を集めるイングランドプレミアリーグ所属のサッカークラブとの提携も活発だ。例えば、eToroが英サッカー6クラブと提携している他、Libertexがトッテナム・ホットスパーと提携している。また、多くのスポーツクラブがデジタルマーケティングを強化する中、プレミアリーグ所属のリバプールやマンチェスター・ユナイテッドなどが、ソーシャルネットワーク上で多数のエンゲージメントを獲得している。StoneXがグローバルに高い人気を誇るサラセンズと提携し、効率的に顧客基盤の拡大を図るべく如何なるデジタルソリューションを提供するか注目したい。
作成日
:2021.01.13
最終更新
:2022.04.18
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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