Select Language

ロシア中銀総裁、デジタルルーブル発行に関する市中銀行の懸念を一蹴

ロシア中銀総裁、デジタルルーブル発行に関する市中銀行の懸念を一蹴

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2021.08.31 15:31
ロシア中銀総裁、デジタルルーブル発行に関する市中銀行の懸念を一蹴

update 2021.08.31 15:31

預金流出などの重大な変化を招くことはないと主張

ロシア連邦中央銀行(Central Bank of Russia)総裁のElvira Nabiullina氏は、中央銀行発行の独自デジタル通貨(Central Bank Digital Currency)【以下、CBDCと称す】であるデジタルルーブルが市中銀行からの預金流出などの重大な変化を招くことはないとの見解を示した。[1]

今月初めに国内の金融機関は、デジタルルーブル発行が既存の金融システムを弱体化させるとロシア連邦中央銀行に警告した。ロシア中銀がCBDC発行に向けて協議を開始した際に、ロシア最大の商業銀行であるSberbankは、結果的にデジタルルーブルの導入が最大250億ルーブル(約3,400万ドル)のコストを強いることになると言及している。また、Sberbankは同仮想通貨の発行が実現した場合、最初の3年間で市中銀行が最大4兆ルーブル(約540億ドル)の流動性を失い、金利を約0.5%引き上げる必要に迫られて小売業や中小企業への融資を制限する可能性があると主張した。これに対してNabiullina氏は長期金利がインフレ率と金融政策の影響で変動すると前置きした上で、デジタルルーブル発行と市中銀行の流動性が別問題であるとコメントしたという。

ロシアの銀行グループであるNCFM(National Council of Financial Market)は、Sberbankの考えを汲んで中国のデジタル人民元に倣って市中銀行がデジタルルーブルを管理するモデルを採用するようロシア連邦中央銀行に進言している。しかしながら同行はこれに否定的な姿勢を取っており、より中央集権型のCBDCモデルを構築することを望んでいるようだ。加えて、ロシア中銀は民間企業発行のステーブルコインを禁止する方針を示すなど、デジタルルーブルが国内で決済に利用可能な唯一の仮想通貨となることを画策している。

ロシア仮想通貨ブロックチェーン協会(RACIB)のアドバイザーであるVladislav Martynov氏は、ロシア連邦中央銀行の方針に対して次のように述べた。

ロシア連邦中央銀行はデジタルルーブルについてあまり問題にして欲しくないと考えていますが、世界中でCBDCの動きがあり各国の中央銀行がそのコンセプトを検討しているため、同行が何もアクションを取らないことは許されないと言えるでしょう。公開された報告書で同行が非常に保守的な考えを持っていることがわかりました。市中銀行の役割が減少する一方で同行は支配を強め、新しい独占市場を構築しようと考えています。我々はミールカード(ロシア国策のクレジットカード)がどのように強制的に展開されるかを見ていました。デジタルルーブルを展開するという目標を設定した場合、それは達成されるでしょう。

Vladislav Martynov, Adviser to the Russian Cryptocurrency and Blockchain Association - CoinDeskより引用

現在、ロシア連邦中央銀行はデジタルルーブル発行を精査しており、12月31日までパブリックコメントを募集しているが、最終的にどのような判断を下すのか、今後も同国での動きを見守っていきたい。

release date 2020.12.23

出典元:

ニュースコメント

CBDC発行に伴うリスクを懸念する主要国

現在、世界の主要国がCBDC発行に向かっており、中国のデジタル人民元や米国のデジタルドル、欧州のデジタルユーロ、日本のデジタル円などの開発が進行していると報じられている。その中でも欧州中央銀行(European Central Bank)【以下、ECBと称す】は、中国人民銀行(People's Bank of China)の動きに続く形で、今後2年から4年以内のCBDC発行を目指してパイロットテストの実施を計画しているようだ。しかしながらロシア連邦中央銀行と同じく、ECBは依然としてCBDCと既存の金融システムの関係性に課題を抱えており、Christine Lagarde総裁はデジタルユーロ発行に伴うリスクを懸念しているという。実際に米大手銀行のBofAはデジタルユーロ発行の危険性を警告しているが、主要国によるCBDC発行は実現するのか、今後も各国政府の動向に注目していきたい。


Date

作成日

2020.12.23

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

ワールドコインのOrb(オーブ)の日本設置場所は?無料配布を受けられる登録会場の予約方法も解説

ワールドコインのOrb(オーブ)で生体認証を行うことで、仮想通貨WLDを無料で受け取れます。当記事では、ワールドコインの日本国内のオーブ設置場所、探し方、予約方法などを解説します。
update2025.03.21 19:30

XMTrading・Vantage Trading・AXIORY公式アプリがApp Storeから削除

海外FXブローカーのXMTradingおよびVantage Trading、AXIORYのアプリがApp Storeから削除されたことが確認されました。本記事では、削除の背景や考えられる理由、ユーザーへの影響、そして今後の対応策について詳しく解説します。
update2025.03.25 19:30

MT4/MT5対応の通貨強弱インディケータを徹底比較!無料で使えるおすすめは?

通貨強弱インディケータを使うと各通貨の強弱が一目で分かり、初心者でも視覚的に相場状況を把握できます。この記事では、無料のおすすめインディケータを比較し、選び方や活用方法を解説します。
update2025.02.05 19:30

VPSではMT4・EAは何個起動できる?複数稼働は可能なのか?

スペック別のEAの起動数の目安のほか、VPSの負担を軽くする方法を説明します。同時に起動するEAの数が多すぎると、MT4が動かなくなる可能性があるので注意が必要です。VPSを使っているならば、MT4やEAをいくつ起動できるかを把握しておくことが大切です。
update2025.01.23 19:00

Galaxy DAOが出金受付を開始?返金を期待できない3つの理由

Galaxy DAOが、返金の受付を開始するという内容のメールをユーザーに配信していたことが明らかになりました。しかし、多くのユーザーは返金の実現には懐疑的です。なぜGalaxy DAOによる返金が期待できないのか3つの理由を説明します。
update2025.03.19 19:30

メタマスクが勝手に開く現象が多数報告!原因や対処法は?

PCでブラウザを立ち上げた際にメタマスクが勝手に起動する現象が起きており、SNS上でも話題になっています。Myforex編集部でもこの現象を確認しており、当記事執筆時点(2025年4月3日)ではGoogle ChromeとBraveのブラウザで発生していることが確認できています。
update2025.04.03 19:45

【MT4/MT5】フィボナッチを自動で描写!便利なインディケータを徹底比較

フィボナッチを使ってチャート分析をする際、ラインの引き方が分からなかったり、毎回手動で引くのが面倒だったりなどの難点があります。そこで本記事ではフィボナッチを自動描画できるMT4/MT5用インディケータを徹底比較します。
update2025.02.12 19:00

MT4のバックテストに正確なヒストリカルデータが必須!無料・有料データを比較

MT4でバックテストをする際にはヒストリカルデータの取得が必要です。ヒストリカルデータは無料と有料のものがありますが、どっちがいいのか、気になる人もいるでしょう。本記事では、ヒストリカルデータのダウンロード方法を詳しく解説します。
update2025.03.26 19:30

MT4/MT5のローソク足の色は4つのポイントでカッコよくできる!

MT4/MT5は、自分だけのオリジナルデザインにチャートをカスタマイズできます。配色や表示設定を少し変えるだけで、補色やコントラストを意識することで、より視覚的に分かりやすいチャートにすることも可能です。この記事では、誰でも簡単にできるチャートのカスタマイズ方法を4つのポイントに分けてご紹介します。
update2025.02.12 19:30

キャプテン翼-RIVALS- がJOHNトークンのエアドロを発表!LINEなどで遊べるMini Appの独自トークン

「キャプテン翼-RIVALS- Mini App」は、キャプテン翼のIPを活用したWeb3ゲームです。2025年4月にJOHNトークンのエアドロップが予定されており、注目を集めています。本記事では、JOHNトークンの特徴、エアドロップの仕組み、将来性などを解説します。
update2025.03.27 19:00
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル