作成日
:2020.12.04
2021.08.31 15:31
ロシア連邦中央銀行(Central Bank of Russia)の副総裁であるSergey Shvetsov氏が、民間企業が発行するロシアルーブルを裏付けとしたステーブルコインを禁止する方針であることを明らかにした。
Shvetsov氏の声明によると、ロシア国内では中央銀行発行の独自デジタル通貨(Central Bank Digital Currency)【以下、CBDCと称す】であるデジタルルーブルが決済可能な唯一の仮想通貨として機能する予定だという。また、Shvetsov氏は民間企業によるステーブルコイン発行が煩雑さを生み出すことを懸念しており、そのような事態を避けるべきだと言及している。
現在、当局は中国のデジタル人民元のようなモデルを採用することを計画しているが、Shvetsov氏は次のようにコメントした。
中国は人民元を裏付けとしたステーブルコインを完全に禁止しました。同行はそれに近い方針を示しており、決済手段として位置付けられる全てのものを抑圧するでしょう。ルーブルはロシア連邦が提供する決済手段であると考えています。
Sergey Shvetsov, Deputy Governor at the Central Bank of Russia - Finance Magnatesより引用
一方、同じくロシア連邦中央銀行で副総裁を務めるOlga Skorobogatova氏は、デジタルルーブルに関する技術的な問題に関して次のように指摘している。
これまでの所、当局はスマホを紛失した場合などにデジタルルーブルを復元することに対応できていません。しかしながら新しい技術が開発されているため、当局は第二段階でこの問題を解決することができると理解しています。
Olga Skorobogatova, Deputy Governor at the Central Bank of Russia - Finance Magnatesより引用
既にロシア中銀は仮想通貨購入を制限する法案を起草しており、その他仮想通貨の流通を抑制しようと試みている。また、ロシア中銀はCBDC発行に向けて協議を開始するなど、デジタルルーブルの実現可能性を模索しているようだが、最終的に当局はどのような判断を下すのか、今後も同国での展開を見守っていきたい。
release date 2020.12.04
他国に先駆けてCBDC開発を進める中国人民銀行は、デジタル人民元の発行に向けて中国国内で仮想通貨規制の強化を実施しており、同仮想通貨以外の人民元を対象としたペッグトークンを排除する動きに出ている。現在、テザー社を始めとする複数の仮想通貨関連企業が人民元ベースのステーブルコインを発行しているが、この規制が施行されれば、中国当局から何らかの圧力を受ける可能性があると言えるだろう。また、中国政府は違法な仮想通貨取引の取締りを強化しており、これまでのようにOTC(店頭取引)業者やP2P(ピア・ツー・ピア)プラットフォームを介したとしても、ビットコイン(Bitcoin)などの仮想通貨を現金化することが困難になってきているようだ。中国政府は、デジタル人民元を国内で唯一有効な仮想通貨とするために強硬な手段を取っているが、ロシア連邦中央銀行はどのようなアプローチで国内市場の統制を図るのか、今後も当局の動向に注目していきたい。
作成日
:2020.12.04
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
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