作成日
:2020.11.30
2021.08.31 15:31
スウェーデン・ストックホルムを拠点とするフィンテック企業のQred(本社:559008-9800 Tulegatan 15 113 53 Stockholm
)は11月26日、同国の金融監督局(Financial Supervisory Authority, FSA)より決済サービスライセンスを取得したことを発表した。Qredは、決済サービス指令(Revised Payment Services Directive)【以下、PSD2と称す】下における決済指図伝達サービス提供者(Payment Initiation Service, PIS)及び口座情報サービス提供者(Account Information Service, AIS)としてのライセンスを取得した。これにより、同社は小規模事業者向けの革新的な金融商品や、決済サービスを提供することができるようになるという。
ライセンスの取得に際し、QredのCEOを務めるEmil Sunvisson氏は以下のようにコメントしている。
PSD2に基づくライセンスを取得したことは、革新的な決済ソリューションを提供し、伝統的金融機関に挑もうとするフィンテック企業にとって、大きなビジネス機会を与えることになるでしょう。現在では、銀行のインターフェースにアクセスし、我が社のプラットフォーム上からお客様に決済サービスを提供することができるようになりました。長期的には、伝統的金融機関から、テクノロジーとイノベーションを基に付加価値を提供する新興企業へ、顧客のロイヤルティがシフトすると確信しております。
Emil Sunvisson, CEO of Qred - Finextraより引用
2015年に創業したQredは、小規模事業者を対象としたソリューションの提供に注力している。同社はスウェーデンとベルギー、フィンランド、デンマーク、オランダ、ブラジルの6市場において一定のプレゼンスを確保しており、各重点地域では小規模事業者の決済需要が非常に高い模様だ。また、Qredは数年間にわたる複数の資金調達ラウンドにて、5,900万ドル以上の資金調達に成功している。
Sunvisson氏は以前、2021年に向けて複数の欧州市場で開拓を進めているため、Qredにとって非常に重要な時期になると言及していた。スウェーデンにおけるライセンスの取得は、ベルギーに進出した僅か1か月後のことになるという。積極的に業容拡大を図る同社が、更なる顧客基盤の拡大に向けて如何なるソリューションを提供するか注目したい。
release date 2020.11.30
Qredは、新規取扱手数料や隠れたコストといった融資関連費用や、ロックインピリオド(借主及び貸主共に解約できない期間)を撤廃し、申し込みから1時間以内で条件をオファーする迅速でシンプルな融資サービスを提供している。月次融資返済額などの算定の際は、同社が独自開発したアルゴリズムを活用してスコアリングしているという。顧客ニーズにマッチしたQredのソリューションは、小規模事業者の資金需要を確実に取り込んでおり、2015年から2018年の3年にわたる成長率は7,300%に達し、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで急成長を遂げている。今回、同社が決済サービスライセンスを取得したスウェーデンは、キャッシュレス化やデジタル化が進んでおり、同社のテクノロジーを活用した革新的な決済ソリューションを活用する土壌が整っていると言える。他方で、同国は国を挙げて送金やデジタル分野の取り組みを強化している状況だ。例えば、スウェーデンはTIPSに加入し、スウェーデン・クローネ建ての即時電子決済を行う環境を整備している。またRiksbank総裁がCBDC受け入れを要請している他、仮想通貨プロジェクトでRiksbankがアクセンチュアと協業するなど、デジタル通貨分野において先進性を発揮している。Qredが、進取の気性に富むスウェーデンの顧客ニーズに即した、画期的な金融商品を提供することに期待したい。
作成日
:2020.11.30
最終更新
:2021.08.31
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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