Select Language

ESMA、欧州各国当局による監督に係る戦略的優先事項を公表

ESMA、欧州各国当局による監督に係る戦略的優先事項を公表

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2021.12.22 16:38
ESMA、欧州各国当局による監督に係る戦略的優先事項を公表

update 2021.12.22 16:38

コスト・運用パフォーマンスとデータの質に関する監督を強化

欧州証券市場監督局(The European Securities and Markets Authority)【以下、ESMAと称す】は、2021年における各国規制当局(National Competent Authorities)【以下、NCAsと称す】の証券市場監督に係る戦略的優先事項(Union Strategic Supervisory Priorities)を明らかにした。[1]

ESMAは、個人投資家向けの金融商品に関連したコスト及び運用パフォーマンスと、金融商品市場規則(Markets in Financial Instruments Regulation, MiFIR)下における市場データの質を、NCAsによる監督に係る戦略的優先事項として定めた。

コスト及び運用パフォーマンスは、投資家保護において非常に重要である。ESMAは透明性の欠如や過大なコスト及び第二次金融商品市場指令(Markets in Financial Instruments Directive Ⅱ, MiFIDⅡ)の適用状況に差異が見られるため、コスト・運用パフォーマンスの問題は多面的なものとなっており、不公平な手数料体系は投資家と金融市場に悪影響を及ぼし得ると指摘している。また、同局は投資会社やファンドマネージャーに対し、投資家の利益を考慮すると共に、費用や手数料を透明性が高くシンプルな手法で開示するよう求めている。

データに関しては証券市場規則の重要項目であると共に、NCAsによるデータドリブンな監督アプローチの極めて重要な要素となっている。ESMAによると、2008年の金融危機以来、レポーティングが求められるデータセットは急増する一方、データの質は改善傾向にあるという。市場参加者がレポーティング要件を深く理解することによって、データの質低下やレポーティング遅滞を回避できるとのことだ。また、信頼性が高くタイムリーなデータを提供することで、市場阻害行為(Market Abuse)やシステマティックリスク及びカウンターパーティーリスクの発見に加え、透明性の確保に繋がるという。

戦略的優先事項の公表に際し、ESMAの局長を務めるSteve Maijoor氏は以下のようにコメントしている。

欧州全域で協調した監督が求められ、特別な注意が必要な市場リスクに対応する上で、当局の権限が強化されたことは、監督基準の収斂性(しゅうれんせい)に関する新たなツールキット活用の際に重要な意味を成します。市場の監督における優先事項として、コスト・運用パフォーマンス及びデータの質を挙げたことは、2つの分野におけるリスクや課題を認識すると共に、徹底した投資家保護や秩序ある金融市場の構築に寄与するでしょう。

Steven Maijoor, Chair of ESMA - ESMAより引用

規則が修正されたことにより、ESMAにはEU加盟各国市場に影響を及ぼす主要なリスクの監督に関する優先事項を定める権限が与えられている。同局はこれらのリスクに対して計画的且つ包括的に対応すべく、NCAsと協調して監督する一方、NCAsはESMAが定めた戦略的優先事項をそれぞれの監督業務プログラムに組み込む方針だ。

release date 2020.11.18

出典元:

ニュースコメント

ESMAによる2021年の重点監督分野に注目

足元では、ESMAによる2021年の重点監督分野が明らかになっている。2020年10月、ESMAは2021年の監督業務計画を公表し、ESG(環境・社会・ガバナンス)レポーティングや第三国中央清算機関(Third-Country CCP)の直接監督に注力する他、クロスボーダー投資に関するピアレビューも実施する意向を示した。他方で、多くの金融サービスプロバイダーが、2021年のNCAsによる監督に係る戦略的優先事項として挙げられているコスト・運用パフォーマンスやデータの質に関連したソリューションの提供を試みている。直近では、SteelEyeがリフィニティブの市場データを活用し、市場阻害行為をモニタリングするアルゴリズムや、取引コスト分析(TCA)サービス機能の向上を図るという。またBMEがビッグデータプラットフォームをリリースしたことによって、顧客は執行クオリティの分析や最良執行方針を実践できるとのことだ。ESMAが健全な証券市場の形成に向け、重点監督事項やNCAsによる戦略的優先事項として挙げられた分野を中心に如何なる施策を講じるか今後も注目したい。


Date

作成日

2020.11.18

Update

最終更新

2021.12.22

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

ワールドコインのOrb(オーブ)の日本設置場所は?無料配布を受けられる登録会場の予約方法も解説

ワールドコインのOrb(オーブ)で生体認証を行うことで、仮想通貨WLDを無料で受け取れます。当記事では、ワールドコインの日本国内のオーブ設置場所、探し方、予約方法などを解説します。
update2025.03.21 19:30

XMTrading・Vantage Trading・AXIORY公式アプリがApp Storeから削除

海外FXブローカーのXMTradingおよびVantage Trading、AXIORYのアプリがApp Storeから削除されたことが確認されました。本記事では、削除の背景や考えられる理由、ユーザーへの影響、そして今後の対応策について詳しく解説します。
update2025.03.25 19:30

オオカミコイン(OKM)は怪しい?オオカミプロジェクトの特徴やSNSでの評判

オオカミコイン(OKM)は、オオカミカードを発行するオオカミプロジェクトの仮想通貨です。海外取引所のMEXCに上場していますが、SNS上では怪しいという声も見られます。本記事では、オオカミコインの特徴、SNSでの評判、怪しいポイントなどを紹介します。
update2025.04.11 19:00

ワールドコイン(WLD)の換金方法は?日本円に現金化する手順を解説

ワールドコイン(WLD)は、OpenAI社のCEOであるサム・アルトマン氏らが手掛ける仮想通貨プロジェクトです。登録したユーザーには、仮想通貨WLDが無料配布されます。当記事では、ワールドコインを日本円に換金する手順や、換金時の注意点などを解説します。
update2025.04.16 19:30

Galaxy DAOが出金受付を開始?返金を期待できない3つの理由

Galaxy DAOが、返金の受付を開始するという内容のメールをユーザーに配信していたことが明らかになりました。しかし、多くのユーザーは返金の実現には懐疑的です。なぜGalaxy DAOによる返金が期待できないのか3つの理由を説明します。
update2025.03.19 19:30

MT4/MT5対応の通貨強弱インディケータを徹底比較!無料で使えるおすすめは?

通貨強弱インディケータを使うと各通貨の強弱が一目で分かり、初心者でも視覚的に相場状況を把握できます。この記事では、無料のおすすめインディケータを比較し、選び方や活用方法を解説します。
update2025.02.05 19:30

BybitがMT5から仮想通貨商品を削除!変更点や今後の影響は?

2025年4月18日、大手海外取引所のBybitがMetaTrader 5から仮想通貨商品を削除することを発表しました。今後、BybitでMT5を利用した仮想通貨取引はできなくなります。2025年5月2日までに全ポジションが強制決済されるため、ユーザーは早急な対応が求められます。
update2025.04.23 19:00

キャプテン翼-RIVALS- がJOHNトークンのエアドロを発表!LINEなどで遊べるMini Appの独自トークン

「キャプテン翼-RIVALS- Mini App」は、キャプテン翼のIPを活用したWeb3ゲームです。2025年4月にJOHNトークンのエアドロップが予定されており、注目を集めています。本記事では、JOHNトークンの特徴、エアドロップの仕組み、将来性などを解説します。
update2025.03.27 19:00

MT4/MT5の自動売買をスマホだけでやるって本気?!EA設定はPCに任せよう

「MT4/MT5の自動売買をスマホで完結させたい」と考える方もいるでしょう。スマホだけで自動売買の設定やEAを稼働させることは可能ですが、操作性の低さから現実的ではありません。本記事ではMT4/MT5の自動売買におけるスマホの活用方法を解説します。
update2025.02.05 19:00

ビットコインを500円分買ってみた!利益額や買ってみた感想を紹介

Myforex編集部では、実際にビットコインを500円分購入してみました。今回の記事では、ビットコインを500円分買ってみた投資結果や利益額、買ってみて感じた感想、ビットコインの買い方などを解説します。
update2025.02.27 20:00
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル