作成日
:2020.11.18
2021.08.31 15:31
世界最大の仮想通貨取引所であるBinance【以下、バイナンスと称す】は、英ポンドに価値を裏付けされた独自ステーブルコインであるBinance GBP【以下、BGBPと称す】を廃止することを発表した。
今月16日の発表によると、バイナンスは11月17日のUTC(協定世界時)12時をもってBGBP/USDC(USD Coin)を含む通貨ペアを削除し、同仮想通貨の取り扱いを完全に終了することを決定したという。これに伴いユーザーは、バイナンスの両替サービスを介して手元のBGBPを1対1の比率で英ポンドに換金することが求められる。
英国および欧州向けのプラットフォームであるBinance JerseyにBGBPが上場された際、バイナンスのCFO(Chief Financial Officer)であるWei Zhou氏は、多様なステーブルコインに対する需要が高まっていると主張し、同仮想通貨への期待をあらわにしていた。しかしながら今回、バイナンスの広報担当者はBGBPが法定通貨ベースのステーブルコイン活用に向けた最初の実験であったと語り、その発行および償還プロセスはユーザーフレンドリーでなかったと言及している。また、この広報担当者はバイナンスが将来的により良い英ポンドの取引サービスをローンチする予定だと述べた。
昨年、バイナンスは米ドル連動のステーブルコインであるBinance USD【以下、BUSDと称す】をローンチしており、今年9月にはその発行量が約24億ドルに達したという。バイナンスはBUSDを軸にステーブルコイン開発を継続する意向を示しているが、今後も同取引所の取り組みに注目していきたい。
release date 2020.11.18
仮想通貨市場の拡大に伴い、ステーブルコインに対する需要が急増しており、今年5月には全体の発行量が100億ドルを超える規模に達したという。現時点で全発行量における90%がテザー(Tether)だと言われているが、各国でステーブルコイン開発が活発になってきていると同時に多様化も進んでいる状況だ。最近ではBTSEがトルコリラを裏付けとするステーブルコインの取り扱いを開始するなど、エキゾチック通貨を対象としたステーブルコインも普及し始めている。このようなトレンドを受け、フランス、ドイツ、スペイン、オランダ、イタリアの欧州主要国はECにステーブルコインへの対策強化を要請しており、仮想通貨の実用化に対応するためのフレームワーク構築を試みているようだ。これに同調する形で英国政府もステーブルコインを規制する方針を示しているようだが、仮想通貨市場を取り巻く環境はどのように変化していくのか、今後もその動向を見守っていきたい。
作成日
:2020.11.18
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
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