Select Language

ESMA、Wirecradの破綻を受け実施したドイツの財務報告制度に係る審査結果を公表

ESMA、Wirecradの破綻を受け実施したドイツの財務報告制度に係る審査結果を公表

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2022.01.07 10:28
ESMA、Wirecradの破綻を受け実施したドイツの財務報告制度に係る審査結果を公表

update 2022.01.07 10:28

監督不備や非効率性、法的・手続き面における問題点を指摘

欧州証券市場監督局(The European Securities and Markets Authority)【以下、ESMAと称す】は、ドイツを拠点とするフィンテック企業のWirecard AG【以下、Wirecardと称す】の破綻を受け、ドイツ連邦金融監督局(Die Bundesanstalt für Finanzdien Stleistungsaufsicht)【以下、BaFinと称す】と財務報告規制パネル(Financial Reporting Enforcement Panel)【以下、FREPと称す】の財務報告スキームに関する審査結果を公表した。[1]

欧州委員会(EC)による要請を受け、ESMAはドイツの財務報告制度を審査する意向を示していた。修正版のESMA規則と新たなピアレビューメソドロジーを導入した規制下において、ESMAは単一規制市場と発行体1社のみを対象とした初めてのピアレビューを実施したという。

今回の審査においては、BaFinとFREPによる財務情報の執行に関するガイドライン(Guidelines on the Enforcement of Financial Information, GLEFI)の適用動向や、財務報告分野においてドイツが導入する2層制の監督システムの問題点を主に調査したとのことだ。そしてピアレビューの結果、複数の監督不備や非効率性、法的・手続き面における問題が認識されたという。具体的には、従業員株主情報の欠如に加えてBaFinが同国財務省(Ministry of Finance, MoF)の影響を受けていることに鑑み、BaFinの発行体及び政府からの独立性を疑問視している。また、BaFinとFREPによるリスクベースの市場モニタリングや、FREPによるWirecardに対する審査プロセスに加え、財務報告分野における監督システムの有効性に関しても問題点として指摘している。

審査結果の公表に際し、ESMAの局長を務めるSteven Maijoor氏は以下のようにコメントしている。

Wirecardの破綻は、質の高い財務報告の重要性に加え、EU圏内で一貫した効果的なレポーティング規制を確立する必要性を再認識させるものであります。今回のピアレビューにおいて、同社の財務報告に関する監督及びエンフォースメント(法執行)の問題点を把握したことにより、ドイツの財務報告制度の見直しに寄与することができるでしょう。

Steven Maijoor, Chair of ESMA - ESMAより引用

ESMAによるピアレビューの結果報告を受け、BaFinを始めとするドイツ当局が如何なる監督スキームを構築するか注目したい。

release date 2020.11.05

出典元:

ニュースコメント

包括的な規制スキームの構築が急務のグローバル規制当局

ドイツ検察当局によると、Wirecardは2015年から粉飾決算を行ってきたと見られ、以前より大手メディアや内部告発によって同社の不正が指摘されていた。一方、ESMAが今回公表した審査結果においては、BaFinとFREPの連携不足やBaFinによる独自調査権限の欠如が問題点として挙げられており、ドイツの金融監督体制が十分に機能していなかったと言わざるを得ない。他方で、コロナ禍でフィンテック企業が存在感を増す中、海外FXブローカーが優れたテクノロジーを誇るフィンテック企業と提携し、利便性向上やコスト削減などに寄与するソリューションの提供を試みている状況だ。直近では、EuropeFXがTradencyと提携し、FX向けロボアドバイザーであるRoboXを導入している。テクノロジーの進化に伴い市場環境が目まぐるしく変化する中、グローバル規制当局は新たなイノベーションの創出促進に加え、市場で影響力を強めつつあるフィンテック企業を含む包括的な規制スキームの構築が求められていると言えそうだ。


Date

作成日

2020.11.05

Update

最終更新

2022.01.07

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

もう国内銀行送金は使えない?法改正で海外FXトレーダーを直撃する3つの入出金リスク

資金決済法の一部改正により、海外FXユーザーの間で、当たり前のように利用されてきた国内銀行送金による入出金が使えなくなる可能性が浮上しています。法改正が海外FXに与えるリスクと現時点で考えられる対策を説明します。
update2025.07.01 19:00

海外FX利用で国内銀行口座の凍結が増加?法改正後の入出金リスクとは

SNS上で海外FXユーザーの銀行口座が凍結されたことが話題になっています。本記事では、SNSで話題の凍結報告の背景を説明するほか、海外FX業界に迫る「本当の入出金危機」と今後の備えについて解説します。
update2025.07.09 19:00

海外FX業者Exnessへの入出金で​​銀行口座が凍結されるケースが発生

海外FX業者のExness(エクスネス)で国内銀行送金による入出金を行ったことをきっかけに、銀行口座が凍結されるケースがSNS上で話題になっています。SNS上では銀行送金2によるものとの声が見受けられますが、凍結の原因は収納代行業者と想定されます。
update2025.05.09 19:00

海外FXに仮想通貨で入出金する方法は?規制強化で仮想通貨送金が最適解か

海外FXの入出金ルート封鎖が加速しており、SNS上では「銀行口座が凍結された」といった投稿も見られます。そんな中、注目を集めているのが仮想通貨での入出金です。この記事では、海外FXに仮想通貨で入出金する方法や、仮想通貨送金時の注意点などを解説します。
update2025.07.15 19:00

GMOコインからBybitに送金してみた!送金手数料や最低送金額なども解説

Myforex編集部では、GMOコインからBybit(バイビット)に仮想通貨を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験などを交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨、トラベルルールの対応状況などを紹介します。
update2025.06.10 20:00

SBI VCトレードからBybitに送金してみた!手数料や送金時間も解説

Myforex編集部では、国内取引所のSBI VCトレードからBybitに仮想通貨を送金してみました。本記事では、送金手順や手数料、送金時間などを紹介します。
update2025.06.11 19:30

海外FXに「兵糧攻め」、bitbank・エポスの利用規制で仮想通貨送金にさらに注目集まる

bitbankが利用規約を一部改定し、今後は海外FXへの直接送金が難しくなりました。エポスカードもFXの利用停止を発表したほか、国内銀行口座の凍結事例も増加しています。こうした背景から、海外FXユーザーは入出金経路の見直しが急務となっています。
update2025.07.04 19:00

海外FXがオンラインカジノ規制の影響を受ける理由とは?出金できなくなるリスクも

2025年以降、オンラインカジノ規制の影響と見られる海外FX業者の国内送金の遅延が度々問題になっており、決済代行会社に関連したトラブルと言われています。なぜオンラインカジノ規制が海外FXに波及したのか説明するほか、今後考えられる影響も解説します。
update2025.05.28 19:00

Vantage Tradingで出金拒否やトラブルが多発中?SNSで報告相次ぐ原因とは

Vantageで原因不明の出金拒否が、多数発生している声を取り上げていきます。Vantageで出金拒否が発生する理由や実際にVantageへ問い合わせた際の回答などもあわせて紹介していきます。
update2025.05.16 19:00

スマホ用MT5でZigZagが使える!iOS版に平均足ほか新機能が複数追加

iOS版MT5に待望の新機能が複数追加されたことにより、平均足チャート、ZigZag、マーケットプロファイルの実装に加え、データウィンドウ強化や取引レポート機能など視認性と操作性が向上しました。アップデート内容とトレードスタイルごとの活用例などを紹介していきます。
update2025.07.09 19:30
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル