Select Language

2021年のフィンテック業界における7つのトレンド

2021年のフィンテック業界における7つのトレンド

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2021.08.31 15:31
2021年のフィンテック業界における7つのトレンド

update 2021.08.31 15:31

専門家は仮想通貨の取引拡大や規制当局の連携強化などを示唆

複数の専門家は、2021年のフィンテック業界を見据える上で、仮想通貨取引の拡大やP2P(ピア・ツー・ピア)サービスの増加、フィンテック規制における当局の連携強化など、7つのトレンドが生じているという。[1]

Securrencyの政策・政府関係部門ディレクターを務めるJackson Mueller氏は、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが世界中の実体経済に甚大な影響を及ぼす中、フィンテック業界における最も重要なトレンドの一つとして、人々の金融に対する認識の変化を挙げている。新型コロナウイルスの感染拡大が長引く場合、貸し出しや決済、ウェルスマネジメント、デジタル資産などの分野において、新たな金融サービスの活用が進む可能性があるとのことだ。既に決済分野においては、キャッシュレスもしくは法定通貨を用いない代替的な手法の活用が活発化している。Mueller氏は、現行のグローバル金融システムが何百万人にも及ぶ米国人の家計・資産形成に悪影響を及ぼしている一方、ポストコロナの世界においては、次のグローバル経済不況に対応すべく、技術的進歩と革新的なプラットフォームが重要な役割を担うことができると指摘している。

伝統的な金融エコシステムからの認識変化により、メリットを受ける業界の一つが仮想通貨だ。AIを活用した仮想通貨分野のリサーチ会社であるToken Metricsの創業者兼最高経営責任者を務めるIan Balina氏は、2021年のフィンテック業界における最も重要なトレンドが仮想通貨になると見ている。同社はビットコイン価格(BTC/USD)が20,000ドルを突破すると予想しており、主要メディアにおいて高い注目を集める可能性があるという。Balina氏はペイパル(PayPal)やスクエア(Square)、フェイスブック(Facebook)、JPモルガンチェース(JP Morgan Chase)、サムスン(Samsung)などの一流企業が仮想通貨分野に多大な投資を行っていることが、同分野の更なる発展に寄与すると指摘している。またDMM Foundationの設立者であるGregory Keough氏は、パンデミックが収束した後、デジタル資産が現行の金融システムに組み込まれる他、中央銀行発行の独自デジタル通貨(Central Bank Digital Currency, CBDC)やDeFi(分散型金融)分野において、USDコイン(USD Coin)などのステーブルコインの活用が進むと見ている。更に、Kick EcosystemとKick EXの創業者兼最高経営責任者を務めるAnti Danilevski氏によると、仮想通貨は売買が簡単であり、国際的に分散され、リスクヘッジに適していることから、急成長する可能性を秘めているという。

LiquidAppsの共同創業者兼最高経営責任者を務めるBeni Hakak氏は、世界中の顧客を対象としたP2Pソリューションの活用が進んでいると述べている。中でもP2Pのレンディングプラットフォームや資産取引自動化などの分野において、分散型台帳技術(Distributed Ledger Technology, DLT)を活用した新たな適用事例や、ビジネスモデルが散見されているという。更に、Hakak氏によると、DeFiシステムにおける利便性は常に向上しており、取引量や顧客基盤が2倍、3倍になるのは時間の問題だという。

また、DeFiに基づく仮想通貨取引量が大きく拡大していることもトレンドの一つと言える。新型コロナ禍において、新たな収益源の獲得を目論む投資初心者が、フィンテックの活用を推し進めている。例えば、TikTokの投稿を基に、多くの投資初心者がロビンフッド(Robinhood)を通じてドージコイン(Dogecoin)を取引しているという。Balina氏は、将来的に投資の世界で中心的な存在となり得る新たな投資家層は、ソーシャルメディアを介して投資分析を行う傾向にあると見ている。

2021年においては、機関投資家によるビットコイン(Bitcoin)投資が拡大すると見られている。METACOのセールス・業務開発部門バイスプレジデントを務めるSeamus Donoghue氏によると、フィンテック業界における最大のトレンドは、ビットコインが世界で最も利用される担保資産として発展すると共に、現行の金融システムとの統合が進むことだという。特に、米国では仮想通貨と伝統的な金融システムとの統合が大きなテーマとなっており、米通貨監督庁(Office of the Comptroller of the Currency, OCC)が米国を拠点とする銀行及び連邦貯蓄金融機関(Federal Savings Association, FSA)による仮想通貨のカストディサービスの提供を認める通知を発令している。

Mueller氏は、パンデミックが終息するか否かに関わらず、2021年に向けてフィンテックの活用を促す規制面における2つのトレンドが続くと見ている。フィンテックが有するボーダレスな特性を活かすと共に、産業のコンバージェンス(融合)が加速する中、州および連邦レベルの規制当局が、デジタルな規制手法の導入と規制の調和を進めるという。

Danilevski氏によると、付加価値の高い個人情報の取り扱いが拡大する中、フードデリバリーやクラウドストレージなど、あらゆる業界及び人々がフィンテックを活用する流れは止まることがないという。一方、米国金融博物館(Museum of American Finance)のコミュニケーションズアドバイザリーパネル共同議長を務めるDaniel P. Simon氏は、テクノロジー企業特有の考えを金融に持ち込むことは、必ずしも成功するものではないため、企業がフィンテック業界に参入する際は十分に注意を払うよう促している。

今回、専門家が挙げた様々なトレンドを基に、フィンテック企業や伝統的金融機関が如何なるソリューションを提供するか注目したい。

release date 2020.11.02

出典元:

ニュースコメント

隆盛を極めるフィンテック企業

フィンテック業界にとって、2020年は大きなパラダイムシフトの年となっている。新型コロナウイルスのパンデミックをきっかけに、世界中の様々な業界においてボーダレスな特性を持つフィンテックの活用が進む中、現行のグローバル金融インフラを変革する勢いを持っている。フィンテック企業が有する優れたテクノロジーの活用事例は枚挙にいとまがない。直近では、EuropeFXがRoboXを導入し、FX取引の自動化を推し進めている。またペイパルが仮想通貨の取り扱いを開始することを発表している他、FXCM ProがCentroidと提携し、リスク管理関連の自動化ソリューションの提供を試みている。更に、証券投資や資産管理の分野においては、ロビンフッドやレボリュート(Revolut)などの新興勢力が急速に顧客基盤を拡大させている。コロナ禍でフィンテック企業が存在感増す中、多くの金融サービスプロバイダーが、利便性向上に寄与する革新的なソリューションを提供することに今後も期待したい。


Date

作成日

2020.11.02

Update

最終更新

2021.08.31

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

仮想通貨SOLVの将来性は?ビットコインのステーキングプロトコルSolv Protocolを解説

仮想通貨(暗号資産)SOLVは、ビットコイン(BTC)のステーキングプロトコル「Solv Protocol」のネイティブトークンです。当記事では、仮想通貨SOLVの特徴やSNSでの評判、将来性、トークンの使い道などを解説します。
update2025.01.10 19:30

【無料ツールも】MT4/MT5で複数チャートを同期スクロールし、分析を劇的に変える方法!

MT4/MT5ではインディケータを使うことで複数チャートを同期してスクロールできます。この記事ではMT4/MT5の複数チャートを同期してスクロールできるインディケータについて、実際に使ってみた感想も交えながら紹介していきます。
update2024.11.07 19:00

GMOコインからBybitに送金してみた!送金手数料や最低送金額なども解説

Myforex編集部では、GMOコインからBybit(バイビット)に仮想通貨を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験などを交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨、トラベルルールの対応状況などを紹介します。
update2024.12.24 19:30

MT4/MT5でも日本時間を簡単に表示できる!日本との時差については図解で理解しておこう

MT4/MT5では通常、表示される時間が日本時間から6時間ほどずれています。頭の中で「表示される時間 + 6時間」などと計算すれば、日本時間に変換可能です。しかし慣れないうちは少し不便なので、日本時間を表示させる外部ツールも活用されています。
update2024.11.27 19:30

bitbankからBybitに送金してみた!トラベルルールの対応状況も解説

Myforex編集部では、bitbank(ビットバンク)からBybit(バイビット)に仮想通貨を送金してみました。この記事では実際に送金してみた経験などを交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨、トラベルルールの対応状況などを紹介します。
update2024.11.28 19:00

Bybitからbitbankに送金してみた!送金手数料やトラベルルールについて解説

Myforex編集部では、Bybit(バイビット)からbitbank(ビットバンク)に仮想通貨(暗号資産)を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験をもとに、送金手順やおすすめの送金通貨などを紹介します。
update2024.12.27 19:00

初心者でも安心!MT4ストラテジーテスターの使い方完全ガイド ~EA活用とバックテストで一歩先のトレードへ~

MT4でEAを使って自動売買をするならストラテジーテスターにより利益が出るかテストが必要です。本記事では、ストラテジーテスターの実践的な使い方や疑問を感じやすいポイントを解説します。
update2025.01.10 19:00

XMTradingがおみくじプロモ2025を実施!総額1,000万円越えのキャンペーン

海外FX業者XMTradingは、1月2日~1月31日までの期間限定で「おみくじプロモ2025」を実施すると発表しました。賞金総額は1,000万円以上であり、抽選で100名に最大75万円の現金がキャッシュバックされます。
update2025.01.06 19:00

このローソク足あと何秒!?残り時間を表示するMT4/MT5のインディケータを比較

MT4やMT5でトレードする際、インディケータを使えばローソク足が確定するまでの残り時間を表示できます。アラート機能付きや残り時間以外の情報も表示するインディケータもあります。本記事では、MT4・MT5にローソク足の残り時間を表示するインディケータを紹介します。
update2024.12.12 19:30

SONYのレイヤー2「Soneium」がIP侵害を理由にミームコインをブラックリスト化

ソニーグループによるイーサリアムレイヤー2のSoneium(ソニューム)が、メインネットローンチの同日に、IP侵害のあるミームコインをブラックリスト化し、SNSで話題となっています。本記事では、Soneiumの概要やブラックリスト化の内容、SNSでのユーザーの声などを解説します。
update2025.01.17 19:00
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル