作成日
:2020.08.31
2022.01.12 12:23
欧州証券市場監督局【以下、ESMAと称す】は、欧州市場インフラ規則2.2【以下、EMIR2.2と称す】に基づき、中央清算機関【以下、CCPと称す】監督委員会の立ち上げに向けた候補者を選出したことを発表した。
ESMAは公開プロセスによって候補者の選出を行い、各候補者の了承を得た上で、欧州議会に草案を提出したという。同局はCCP監督委員会の委員長に、欧州中央銀行(ECB)の監督部門ヘッドを務めるKlaus Löber氏を、同委員会の独立委員には、イタリアの金融監督当局である国家証券委員会(CONSOB)のシニアディレクター兼国際関係部門ヘッドであるNicoletta Giusto氏と、国際通貨基金(IMF)の金融部門シニアエキスパートであるFroukelien Wendt氏の2名を選出した。
欧州議会は1か月以内に審議を行う見込みであり、CCP監督委員会の立ち上げ時に、監督局理事会(Board of Supervisors)が委員長及び独立委員を正式任命するという。ESMAは同委員会の立ち上げと、欧州委員会(EC)による委任法令(Delegated Act)の策定により、EMIR2.2の完全実施に向けた準備を進める方針だ。
release date 2020.08.31
ESMAは2020年の監督業務計画の修正版を公表し、第三国中央清算機関(第三国CCP)の再評価及びEMIR2.2に基づくティア2クラスのCCPを対象にした新モニタリングシステムの策定などを重点監督事項に位置づけた。またESMAがCCP向けのストレステストを実施した際には、CCPを活用した金融システムの強靭性が示される結果となっており、同局によるCCP監督スキームの構築が順調に進捗している模様だ。他方で民間レベルにおいても、市場の拡大が見込まれる中央清算業務の強化を図る金融サービスプロバイダーが散見されている。例えば、ユーレックス・クリアリングがJFSAからライセンスを取得した他、シカゴ・ボード・オプション(CBOE)が欧州全域をカバーする認可CCPであるEuroCCPを買収し、同市場での清算ソリューションの拡充を模索している。グローバルベースで中央清算市場が活性化する中、各国規制当局が市場の実情に即した効果的な規制策を講じることに期待したい。
作成日
:2020.08.31
最終更新
:2022.01.12
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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