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ESMA、第3回目のCCPに対するストレステストを実施

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update 2022.01.13 12:53
ESMA、第3回目のCCPに対するストレステストを実施

update 2022.01.13 12:53

CCPを活用した金融システムの強靭性が示される結果に

欧州証券市場監督局(The European Securities and Markets Authority)【以下、ESMAと称す】は、第3回目となる欧州の中央清算機関(Central Counterparty)【以下、CCPと称す】に対するストレステストを実施し、信用と流動性及び集中リスクという3つの観点からCCPの強靭性が示されたことを明らかにした。[1]

今回のストレステストは、英国CCP3機関を含む合計16機関の適格CCPを対象に実施されたという。信用リスクに関するストレステストでは、ESMAが設定したデフォルトを起因とするストレスシナリオ下において、システミックリスクは生じなかったものの、一部のCCPで資本不足が生じる結果になったことから、CCP間における強靭性に差異が見られたという。流動性リスクに関するストレステストでは、少数のCCPが資本不足になったが、FX市場規模と比較して非常に小さな金額であったとのことだ。

ストレステストでは、CCPを活用した金融システムにおける清算コストを考慮した集中リスク項目も設けられた。同項目に関しては、ほとんどのアセットクラスにおいて1、2機関のCCPへ取引に伴う甚大なリスクが集中しており、特に債券では金額にして約200億ユーロ、コモディティデリバティブと株式に関しては95億ユーロほどの集中リスクが見積もられたという。また少なくとも4機関のCCPが、差し入れられる証拠金により清算コストを吸収できておらず、ESMAは保守的な証拠金モデルや的確な集中リスクの把握の必要性を指摘している。

ストレステストの結果公表に際し、ESMAの局長であるSteven Maijoor氏は以下のようにコメントしている。

我が局が実施した第3回目となる欧州のCCPに対するストレステストは、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックがグローバル金融システムに甚大な影響を及ぼす、これまでに経験したことのない市場環境下において、CCPが強靭性を有し、市場インフラとして重要な役割を担えることが確認できました。CCPのデフォルトや市場価格の大幅下落など極端なシナリオを用いたストレステストは、金融システムの強靭性や金融の安定化、秩序ある市場の構築のために重要な監督ツールであります。同ツールの重要性は欧州市場インフラ規則(European Market Infrastructure Regulation)【以下、EMIRと称す】レビューにおいても確認されており、将来的には金融システム上重要なティア2クラスのCCPも対象にする意向であります。

Steven Maijoor, Chair of ESMA - ESMAより引用

今後ESMAはEMIRに基づき、CCPのコンプライアンス評価や個々のCCPに対するストレステスト手法の問題点に関しても、必要に応じて勧告を行う方針だ。

release date 2020.07.15

出典元:

ニュースコメント

現行金融システムの中核を担うCCP

ESMAのMaijoor氏は、CCPが金融システムの中核を成し、CCP1機関のデフォルトが欧州市場全体に甚大なシステミックリスクをもたらし得ると見ており、CCPを取り巻くリスク管理の重要性が高まっている模様だ。他方で、リーマンブラザーズの破綻を発端とする世界的な金融危機が発生した後の2009年に行われたG20ピッツバーグ・サミットにおいて、店頭(OTC)デリバティブ取引に対しCCPでの集中清算が義務付けられた。それ以降、各金融サービスプロバイダーが市場からの利用ニーズが高まる中央清算関連業務を強化している。例えば、AcadiaSoftがMargin Reform及びMargin Tonicと提携し、非清算店頭デリバティブ取引に係る証拠金規制を遵守するためのサービス提供を開始した。また、ユーレックス・クリアリングがJFSAからライセンスを取得したほか、香港証券取引所傘下のOTC Clearも同様に日本市場での中央清算業務の拡充を模索している状況だ。ESMAが2020年の監督業務計画の修正版を公表した際には、第三国CCPなどを重点監督事項に定めているが、今後も、金融システムの主要プレーヤーに位置づけられるCCPを巡る規制環境や各金融サービスプロバイダー動向に注目したい。


Date

作成日

2020.07.15

Update

最終更新

2022.01.13

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

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プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

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