作成日
:2020.08.27
2021.08.31 15:32
米国の巨大投資銀行Citigroup(本社:388 Greenwich Street New York, NY 10013
)【以下、シティグループと称す】は8月25日、北欧市場向けのサービスとしてはグローバル金融機関初となる、ダイレクト・カストディ・クリアリング(Direct Custody and Clearing)【以下、DCCと称す】サービスをフィンランドで開始することを発表した。シティグループは40年以上にわたってフィンランドでサービスを展開しており、今回新たにDCCを開始することになる。同行によると、DCCはブローカーディーラーを対象に決済や清算サービスを提供し、資本市場において重要な機能を担っているという。シティグループは、各金融機関やグローバルカストディアン向けのサブカストディアンとしても機能する意向だ。
またシティグループは、フィンランドの証券集中保管機関(Central Securities Depository)であるEuroclearフィンランドに会員として加入する方針も明らかにした。これにより、同行はアイルランド・ダブリンの欧州本社からEuroclearフィンランドへのアクセスが可能となり、欧州全域でSingle Legal Vehicle(SLV)プラットフォームの活用促進を図るという。
業容拡大に際し、シティグループの証券サービス部門北欧市場ヘッドを務めるOla Mjorud氏とユーロクリアフィンランドのHanna Vainio氏は、それぞれ以下のようにコメントしている。
北欧の資本市場が大きく変化する中、我々は同地域にコミットしております。我が社は北欧市場向けのソリューションとして、現地の市場に即した決済や、高い専門性を活用したグローバルアクセスサービスを提供できることを大変喜ばしく思っております。
Ola Mjorud, Nordic head of securities services at Citi - Business Wireより引用
シティグループのようなグローバル金融機関が、直接会員として加入することを歓迎いたします。欧州全域を単一のプラットフォームでカバーする大口資金決済システムであるTARGET2 Securities(T2S)の導入計画など、フィンランドは金融インフラ面において大きく変化している状況であります。シティグループのようなお客様が同国市場でサービスを拡充することは、フィンランド金融業界に対する我々のコミットを強化するでしょう。
Hanna Vainio from Euroclear Finland - Business Wireより引用
シティグループは北欧市場を対象にサービスを拡充することで、更なる顧客基盤の拡大が期待できそうだ。
release date 2020.08.27
7月14日に公表されたシティグループの2020年度第2四半期決算において、同行の営業収益は前年同期比5%増となった。一方で、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックを受け、第1四半期に引き続き貸倒引当金を大幅に積み増したことから、純利益は同期比73%減に沈んだ。グローバルに様々なソリューションを提供するシティグループは、新型コロナ禍においてコスト削減による収益体質の強化を図るべく、FX事業の刷新を試みている。実際に、同行はサードパーティーが提供するプラットフォームを3分の1に縮小することで、年間500万ドルから1,000万ドルのコスト削減を見込んでいるという。加えて、同行はサービス機能の強化も推進している状況だ。例えばシティグループはCitiFX Pulseに注文スケジューリング機能を搭載した他、シティグループはシンガポールでFXプラットフォームをリリースする予定である。またシティグループはCobaltのインフラを導入し、ポストトレード機能の強化を図っている。FX事業の刷新を推進する同行が、顧客ニーズに即した革新的なソリューションを提供することに期待したい。
作成日
:2020.08.27
最終更新
:2021.08.31
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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