作成日
:2020.07.22
2021.08.31 15:32
日本三大メガバンクグループの一角である株式会社三菱UFJ銀行(本社:東京都千代田区丸の内二丁目7番1号
)【以下、三菱UFJ銀行と称す】が、大手人材派遣会社の株式会社リクルート【以下、リクルートと称す】と共同開発する独自仮想通貨のcoin(コイン)を今年後半に発行する可能性があることが明らかになった。報道によると、三菱UFJ銀行はリクルートのサイトに加盟する店舗でスマホ決済を始める予定だという。現在、リクルートは旅行や住宅、飲食、美容、自動車、教育などの分野で事業を展開しており、ユーザーはこれらのサービスでcoinを利用することが可能になるようだ。coinは1通貨あたり1円に相当する価値を持ち、店舗での支払いのほか、個人間の送金などにも利用できる。また、coinは将来的にはリクルートのサイト加盟店以外での利用が想定されており、企業のホワイトラベルソリューションとしても機能する可能性を秘めている。
三菱UFJ銀行は、仮想通貨およびブロックチェーン技術を幅広い目的で活用することを模索しており、最近では大手金融企業のSBIと共にSecuritizへ出資するなど、事業拡大に向けて積極的な投資を行っている状況だ。これに加え、三菱UFJ銀行はUSC(Utility Settlement Coin)プロジェクトに参加し、アジア太平洋地域で最も注目すべき仮想通貨関連企業のひとつとなっている。また、同社はリップル社が展開するGPSG(Global Payments Steering Group)に加盟しており、銀行サービスにおけるRippleNetの実用化にも貢献しているようだ。
もともと日本では2020年の東京オリンピックに向けてJ-Coinと呼ばれる仮想通貨プロジェクトが進められていた。今ではこのcoinが主流な仮想通貨プロジェクトとして政府機関の後押しを受けているが、三菱UFJ銀行はこれを成功に導くことができるのか、今後も同行の取り組みに注目していきたい。
release date 2020.07.21
これまで日本政府は、中央銀行発行の独自デジタル通貨(Central Bank Digital Currency)【以下、CBDCと称す】に対して否定的な見解を示していたが、中国や米国などの動きを受けてその態度を軟化させつつある。実際に日本銀行はCBDC導入の技術的な実現可能性を模索しており、ユニバーサルアクセスと強靭性が課題になるとの意見をまとめたレポートを発行しているという。民間でもFacebook(フェイスブック)のリブラ(Libra)に対抗するようなステーブルコイン開発が望まれているものの、今の所、国内の金融業界で目立った試みは確認されていない。三菱UFJ銀行以外には大手IT企業のGMOがステーブルコインの実証実験を行っているが、coinのローンチが国内の仮想通貨市場にどのような変化をもたらすのか、今後もこれら企業の動向を見守っていきたい。
作成日
:2020.07.22
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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