作成日
:2019.12.24
2021.08.31 15:29
大手IT企業のGMOインターネット株式会社(本社:東京都渋谷区桜丘町26番1号 セルリアンタワー
)【以下、GMOと称す】は、日本円に連動するステーブルコインであるGMO Japanese Yen【以下、GYENと称す】の実証実験を開始することを発表した。このGYENの開発および運用はGMOのグローバルブランドであるZ.comに委任されているが、既に基礎となるブロックチェーンが完成に近づいており、残すは内部的な実証実験を行うだけの段階にまできているという。GMOは2020年上半期までに海外市場でのGYENローンチを予定し、事前に規制当局の承認を得ることを目指しているものの、未だその詳細なスケジュールは明らかになっていないようだ。
2017年に仮想通貨市場に参入したGMOは、日本国内で仮想通貨マイニングや仮想通貨取引事業を運営しているが、GMOの2018年度連結決算ではこれらの事業が振るわず、巨額の特別損出を計上したことを報告している。今回、同社はこのステーブルコインを国際取引や決済、送金ソリューションに活用することを明示し、仮想通貨を利用する上でリスクとなり得るボラティリティの問題にアプローチすると言及した。
最近、日本では楽天やフィスコ、マネックスを含むコングロマリット企業が積極的に仮想通貨市場に進出しており、競合のSBIはSecuritizeに出資したことに加え、ドイツの証券取引所を運営するBoerse Stuttgart Groupの仮想通貨関連企業2社への投資を決定している状況だ。これらの企業によるしのぎを削る戦いが続いているが、GMOがGYENのローンチを実現できれば、同社がこの仮想通貨市場での競争を一歩リードする可能性が高まってくると言えるだろう。
release date 2019.12.24
GMOの仮想通貨関連事業は主にGMOフィナンシャルホールディングス傘下の企業が運営しているが、その中でも仮想通貨取引事業を展開するGMOコインが業績を伸ばしているようだ。GMOコインの代表取締役社長である石村富隆氏は、ビットコイン(Bitcoin)価格の復調に伴い仮想通貨市場全体に活気が戻ってきたことがその主な要因になったと分析している。特にビットコイン価格が1万3,000ドルを超えた今年6月には、月間取引高が1兆7,935億円を記録するなど、GMOコインは飛躍的な成長を遂げた。これに加え、石村氏はGMOコインの新規口座開設において女性やシニア層の需要が拡大している点を指摘し、仮想通貨市場の裾野が確実に広がっていることを明らかにした。将来的にGYENが日本でも利用可能となれば、GMOコインおよびGMO全体の仮想通貨関連事業にとっても大きなプラスになると考えられるだけに、今後も同社の取り組みに注目していきたい。
作成日
:2019.12.24
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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