作成日
:2020.05.27
2021.08.31 15:33
日本のネット証券大手のマネックス証券(本社:東京都港区赤坂1丁目12番32号
)は、6月10日よりマネックス・アクティビスト・ファンドの募集を開始することを発表した。マネックス・アクティビスト・ファンドは企業の持続可能な成長を促し、長期継続的に投資家と企業の双方の利益になるエンゲージメント(対話)を行うことで、個人投資家の長期的な運用成果の実現への貢献を目指すという。アクティビスト2.0と言えるような同ファンドを通じた活動は、マネックス証券取締役会長の松本大氏が20年以上にわたりマネックスグループを率いてきた経験を活かし、投資先企業の経営陣及び取締役会メンバーとの対話をリードしていく方針だ。
同ファンドはマネックス証券が募集を行う公募投資信託であり、マネックス・アセットマネジメント株式会社が運用を手掛け、グループ会社のカタリスト投資顧問株式会社が投資助言を行うという。投資企業の選定に当たっては、変革期を迎える日本企業を中心に徹底したボトムアップリサーチを実践するとのことだ。またマネックス・アクティビスト・ファンドは、個人投資家と専門家集団による総合的なエンゲージメントの実施を目指しているという。
尚、足元では新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックを受け、複数の金融サービスプロバイダーが消費動向や社会情勢を捉えたサービスの強化を図っている状況だ。例えば、新型コロナ禍においてオンライン取引が拡大する中、Fintezaがeコマースセクションを立ち上げたほか、英国投資家協会が脅威インテリジェンスプラットフォームをリリースした。更に、サステナビリティやESG(環境、社会、ガバナンス)に注目が集まる中、リフィニティブがグローバルサステナブル戦略を公表し、気候変動対策への取り組みを強化する意向を示している。
マネックス証券が個人投資家を巻き込んだエンゲージメントの実施というユニークな公募投資信託の募集を開始することにより、日本の証券市場が更に活性化することを期待したい。
release date 2020.05.27
2014年2月、企業の持続的な成長を促す観点から、機関投資家が企業との建設的なエンゲージメントを通じて、適切に受託者責任を果たすための原則として日本版スチュワードシップ・コードが制定された。スパークス・アセット・マネジメントやニッセイアセットマネジメントなど、日本国内における複数の投資会社が、同コードに基づく運用戦略を採用し、投資先企業との対話を通じて企業価値の向上を図るエンゲージメントファンドを立ち上げている。一方で、今回マネックスグループが総力を挙げて開発したマネックス・アクティビスト・ファンドは、個人投資家も巻き込んだエンゲージメントの実施を目指す公募投資信託として世界的にも珍しく、市場から多くの注目が集まっている模様だ。足元では新型コロナウイルスにより表面化した様々な社会課題への取り組みが行われ始めており、マネックスグループを含む、世界のアクティビストがどのようなソリューションを提供するのか注目したい。
作成日
:2020.05.27
最終更新
:2021.08.31
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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