作成日
:2020.05.13
2021.08.31 15:32
人気仮想通貨のビットコイン(Bitcoin)は、3回目の半減期を滞りなく迎え、予定通りに1ブロックあたりの新規発行通貨数が6.25BTCに調整された。
今月11日UTC(協定世界時)19時23分頃にビットコインのブロックチェーン上で63万番目のブロックが生成され、11年間にわたる歴史の中で3回目となる半減期が到来した。記念すべき最初のブロックは世界で4番目の規模を誇るマイニングプールであるAntpoolによって生成されたという。62万9,999番目のブロックをマイニングしたf2poolは、ビットコインの考案者とされているナカモト・サトシ氏が最初のブロックに「brink of a second bailout(当時の金融システムの危うさを伝えるタイムズ紙の見出し)」との文言を埋め込んだのと同様に、「NYTimes 09/Apr/2020 With $2.3T Injection, Fed's Plan Far Exceeds 2008 Rescue(FRBは2兆3000億ドルの資金注入を決めて2008年の救済措置を遥かに上回った)」とNYタイムズ紙の見出しを引用し、現在の金融危機に関するメッセージを書き加えている。
ビットコインは半減期を迎えたことで1日に供給される新規発行通貨数が1,800BTCから900BTCに低下し、それに伴ってマイニング報酬も現在の価値で1,500万ドルから800万ドル程度にまで減少することになる。仮想通貨業界ではビットコインの半減期がマイナーに深刻な影響を与える可能性があると論じられていたが、今の所、ネットワークは正常に動作しているようだ。
ビットコインの半減期到来を記念して仮想通貨コミュニティでは様々なイベントが開催されており、大手仮想通貨取引所のバイナンスはYouTubeを通じてBitcoin Halving Partyと呼ばれる動画を配信したという。その他にはMessariの創設者であるRyan Selkis氏がTwo Bit Idiot's Halving Happy Hoursと題した記念行事を執り行っているが、仮想通貨市場はビットコインの半減期にどのような反応を示すのか、今後もその展開を見守っていきたい。
release date 2020.05.13
先日、ビットコイン価格は2カ月ぶりに1万ドルを突破したが、半減期後にも関わらず、そこをピークにずるずると後退し始めている。現在、ビットコイン価格は8,700ドル付近まで下げてきており、継続的な価格上昇を期待していた仮想通貨コミュニティを失望させる形となった。このようなケースでの売り圧力の高まりは、今年4月に初の半減期を迎えたビットコインキャッシュでも同様に観測されているようだ。しかしながら、対照的にビットコインネットワーク上のハッシュレートは急上昇しており、マイニング難易度を示すディフィカルティは過去最高に近い値を記録しているという。これはビットコインが十分な数のマイナーを確保できていると同時に、当初、懸念されていたマイニング事業者が離脱する可能性が杞憂に終わったことを意味するが、コロナ禍の影響など様々なリスク要因がうごめいているだけに、今後も仮想通貨市場の動向を注視していく必要があると言えるだろう。
作成日
:2020.05.13
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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