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イーサリアム、トランザクション数が過去10カ月の最高水準に到達

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update 2021.08.31 15:32
イーサリアム、トランザクション数が過去10カ月の最高水準に到達

update 2021.08.31 15:32

ステーブルコイン発行とイーサリアム2.0への移行準備が影響した可能性

イーサリアム(Ethereum)のネットワークでは、ステーブルコイン発行の増加とイーサリアム2.0への移行準備が進む中、トランザクション数が過去10カ月で最も高い水準に達している。[1]

統計によると、イーサリアムにおけるトランザクション数の7日移動平均は先月30日に84万5,400件にまで上昇し、2019年7月1日以降の最高水準となる域に到達した。今年2月にこのトランザクション数は直近12カ月の最低値にまで低下しており、それ以来72%の急増を示しているが、これに関してCoin MetricsのLucas Nuzzi氏は、ステーブルコイン発行の増加が要因になったと分析している。現在、イーサリアムのブロックチェーン上では、テザー(Tether)やトゥルーUSD(trueUSD)、ジェミニドル(Gemini Dollar)、パクソス(Paxos)、バイナンスUSD(Binance USD)、USDコイン(USD Coin)、Huobi USD、DAI(ダイ)などのステーブルコインが運用されている状況だ。Mythos Capitalの創設者であるRyan Sean Adam氏によると、イーサリアムのブロックチェーン上で動作するステーブルコインの時価総額は90億ドルを超えているという。

ステーブルコインの需要増加は新型コロナウイルス(COVID-19)が引き起こしたドル不足に関連して発生し、主要な銘柄の時価総額だけでもここ2カ月で35億ドルから70億ドル以上にまで拡大しているようだ。実際にパンデミックの発生以降、外国為替市場におけるドル資金の調達コストは急激に上昇しており、3カ月のユーロドルスワップは3月時点で150ベーシスポイント高騰して過去9年間の高値を更新した。FRB(米連邦準備制度理事会)の大規模な緩和政策によってドル不足は幾分解消されつつあるが、1日あたり15億ドルの外貨準備高が減少している新興市場にとっては十分な対策とは言い難い。結果的に新興国市場では米ドルの代わりに、それを担保とするステーブルコインの需要が高まった可能性があるという。

一方、Digital Assets DataのアナリストであるConnor Abendeschien氏は、PoW(プルーフ・オブ・ワーク)からPoS(プルーフ・オブ・ステーク)へのマイニングアルゴリズム移行を目的としたイーサリアム2.0のローンチが差し迫っていることがトランザクションを活発にしたと言及している。イーサリアム2.0が採用するPoSではマイナーの代わりにバリデータがブロック承認を行う権利を有しており、それに選出されるためには最低32ETHを保有する必要があるが、最近、イーサリアムを買い集めるユーザーの動きが目立ってきているようだ。この仮説を裏付けるようにイーサリアム2.0のテストネットにアップグレードが施された4月18日前後にはバリデータのアドレス数が急増し、同28日にはその数が11万6,750件を記録した。

PanxoraのCEOであるGavin Smith氏は、イーサリアムが人気のスマートコントラクトとして認識されている事実に触れ、そのトランザクション数が今後も有機的に続伸すると予想している。また、Messariでアナリストを務めるWilson Withiam氏は、ブロックチェーン上の活動の多寡は仮想通貨価格に連動すると指摘した。現時点でイーサリアム価格は3月13日に観測された90ドルの安値から127%の高騰を見せ、1通貨あたり205ドルの高値をつけているが、このトレンドはいつ頃まで継続するのか、今後も同仮想通貨での展開に注目していきたい。

release date 2020.05.06

出典元:

ニュースコメント

開発リソースが集中するイーサリアム

ビットコイン(Bitcoin)に次ぐ第2位の時価総額を誇るイーサリアムは、汎用性の高いプラットフォーム開発を行っており、数多くのプロジェクトを取り込むことに成功している。特に分散型金融(Decentralized Finance)の分野では、dYdXのビットコイン永久スワップ契約Synthetixの仮想通貨デリバティブなどを含む期待のプロジェクトが進行している状況だ。しかしながら一方で2019年にはICOの乱立でイーサリアム価格が低迷し、ホストするプロジェクト件数が多すぎるとの問題が表面化している。現在、仮想通貨市場全体におけるブロックチェーン開発者の18%がイーサリアムに集中しており、今も尚、同仮想通貨が同様のリスクを抱えている様子がうかがえるが、仮想通貨コミュニティはこの現状をどのように見ているのか、今後もこれらプロジェクトの動向を見守っていきたい。


Date

作成日

2020.05.06

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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