作成日
:2020.04.23
2021.08.31 15:32
仮想通貨デリバティブ取引所のZUBRが、金融サービスプロバイダーであるAvelacomの接続サービスを利用し、欧州とアジア太平洋(APAC)地域の主要な仮想通貨市場に低レイテンシー(通信にかかる遅延時間)かつ弾力性のある取引サービスを提供することが明らかになった。
これによりZUBRのクライアントは、Avelacomのネットワークを通じて仮想通貨市場に直接接続すると同時に、AWS(Amazon Web Service)やMicrosoft Azure、Alibaba(アリババ)、Google(グーグル)などのクラウドサービスを利用してエコシステムを容易に拡張することができるようになったという。ZUBRが抱えるクライアントの中には、裁定取引(アービトラージ)やその他取引環境に依存する戦略を用いる機関投資家および個人投資家が存在しており、同社は低レイテンシーなソリューションを必要としていたようだ。これに関してAvelacomのCEOであるAleksey Larichev氏は、同社が高速かつハイエンドなインフラを提供する企業だと前置きし、この協業がZUBRのプラットフォームを急速に変化する市場に対応できるよう強化させることになると主張している。
一方、ZUBRのCEOであるIlgar Alekperov氏は、Avelacomのサービスに関して次のようにコメントした。
クライアントに最高のサービスを提供するには、Avelacomが優れた接続速度と取引インフラを提供することが不可欠です。今回、我が社がAvelacomと協力してファーストクラスのネットワークインフラを構築できることを非常に嬉しく思っています。これにより我が社のクライアントは他の市場参加者よりも優位に立つことができるでしょう。AvelacomのサービスはZUBRの技術的な優位性を保証し、我が社の製品を完成させるだけでなく、他の取引所が真似できないような多彩な取引戦略を採用することを可能にします。
Ilgar Alekperov, CEO of ZUBR - IBS Intelligenceより引用
最近、仮想通貨市場ではビットコイン価格が過去最大級の下げ幅を記録するなど、ボラティリティがかつてないほどの水準に達している。このような状況でもZUBRは、ローンチ後1カ月、接続障害のリスクを回避しながら、クライアントの価格データへのアクセスや注文執行を迅速に処理することに成功しているが、今回のAvelacomとの協業が更なるサービスレベルの向上につながることに期待したい。
release date 2020.04.23
近年、仮想通貨市場にも投機を目的とした機関投資家が多数参入してきており、裁定取引やアルゴリズムを利用した高頻度取引(HFT)などを行うプレーヤーの動きが目立ち始めている。特に日本では仮想通貨取引所であるLiquidがHummingbotとパートナーシップを締結し、個人レベルでも同社のプラットフォームを通じて裁定取引やマーケットメイキングを実行するボット構築が可能になっているようだ。この需要の高まりを受けてAvelacomは米バージニア州にPoPを開設するなど、同社がカバーするダブリンやロンドン、フランクフルト、香港以外の都市にも接続サービスを拡大しているという。取引環境の向上に伴って仮想通貨市場では、裁定取引を始めとする戦略を組み込んだ投資商品やヘッジファンドが登場しているが、仮想通貨コミュニティはこのトレンドをどのように見ているのか、今後もその動向を見守っていきたい。
作成日
:2020.04.23
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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