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中国政府、地方自治体職員にCBDCを配布

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update 2021.08.31 15:32
中国政府、地方自治体職員にCBDCを配布

update 2021.08.31 15:32

交通費の50%をDCEPで支給することを決定

中国政府は中央銀行発行の独自デジタル通貨(Central Bank Digital Currency)【以下、CBDCと称す】であるDCEP(Digital Currency/Electronic Payment)の導入に向けた運用テストの一環として、同仮想通貨を地方自治体の職員を対象に配布することを発表した。[1]

これまで中国人民銀行はCBDCの運用テストを一部都市で実施していたが、今回、当局は蘇州市政府の職員に今年5月の交通費における50%をDCEPで支給することを決定したという。中国人民銀行(People's Bank of China)【以下、PBoCと称す】は4大国営銀行である中国農業銀行(Agricultural Bank of China)、中国工商銀行(Industrial and Commercial Bank of China)、中国銀行(Bank of China)、中国建設銀行(China Construction Bank)と提携しており、これらの銀行が開発する仮想通貨ウォレットを通じて各個人へDCEPを配布することを予定しているようだ。

現在、世界各国が法定通貨のデジタル化を検証する段階にあるが、既にPBoCはCBDCの立ち上げに向けた開発プロジェクトを推進している状況だ。PBoCは大手IT企業であるアリババ(Alibaba)傘下のアリペイ(Alipay)ともパートナーシップを締結しており、同社を通じてDCEPに関する5つの特許技術を確立することに成功している。現地メディアの報道によると、PBoCはDCEPの基本的な機能の開発を終え、現時点でその流通を管理するための法整備に着手しているという。

先日、大手メッセージングアプリのWeChat上では、中国農業銀行が試験的に開発を進めるテストアプリのインターフェースを写したスクリーンショット画像が流出しており、パートナー企業含めてDCEPのローンチ準備が整いつつある事実が明らかになった。中国政府は世界各国の動きをリードする形でCBDCの実現を試みているだけに、この蘇州市での運用テストの結果が仮想通貨市場全体にとっても重要な試金石になると言えるだろう。

release date 2020.04.20

出典元:

ニュースコメント

米国を始めとする各国政府がCBDCの実用性に注目

これまで各国政府はCBDCが既存の経済や金融システムに悪影響を与える可能性があることに懸念を示していたが、最近では米国を中心にその姿勢に変化が現れつつあるようだ。実際に景気刺激法案の一環で米下院がデジタルドルの発行を検討するなど、CBDCを経済政策で利用するケースが浮上しており、その実用性に注目が集まっているという。最終的にこの案は米上院で打ち消されることになったものの、ブロックチェーンを基盤とするCBDCであれば、国民への現金給付の手段としては非常に高い費用対効果を発揮する可能性があると言えるだろう。一方、新興国地域ではカンボジア国立銀行がCBDC発行を計画するなど、未発達な金融インフラを補完する代替テクノロジーとしての役割に期待が高まっているという。現在、韓国やスウェーデンを含む複数の国家では、CBDCのパイロットプロジェクトが進行しているだけに、今後も各国政府の動向を見守っていきたい。


Date

作成日

2020.04.20

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

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