作成日
:2020.02.10
2021.08.31 15:29
今年第2四半期に予定されていたイーサリアム(Ethereum)の大規模アップグレードが延期され、ETH2.0のローンチが遅れることが確定的となったが、開発者チームは2020年中にこの新しいネットワークを立ち上げると公言した。
今月5日、イーサリアムの共同発案者であるVitalik Buterin氏とEHT2.0開発者のDanny Ryan氏およびJustin Drake氏は、少なくとも3つのクライアントソフトがテストネットを8週間継続して実行できるようになるまで、ETH2.0のネットワークを起動させないと伝えている。また、Redditのディスカッション上でDrake氏は、2020年中にETH2.0を95%の確率でローンチする自信があると言及しており、同じくRyan氏も週次の監査でテストネットの完成度が高まっている事実に触れ、今年中にフェーズ0が開始できないことはないと同調している。
もともと、ETH2.0のローンチは2020年1月に予定されていたものの、それが第2四半期に延期となり、現在開発者チームは、イーサリアムの誕生記念日である7月30日に照準を合わせて準備を進めているという。ETH2.0はネットワークのスループットを向上させるだけでなく、新しいマイニングアルゴリズムであるPoS(プルーフ・オブ・ステーク)の下で強固なセキュリティモデルの構築を可能にするが、高度な技術を要するために開発に時間がかかっているようだ。現時点でRyan氏とButerin氏は、主要な2つのクライアントソフトがフェーズ0のBeacon Chainをサポートできることは堅いと見ており、より保守的なアプローチでETH2.0の開発を進めている。ETH2.0開発者であるDiederik Loerakker氏は、サードパーティ企業による監査が終了していないことを報告したが、Ryan氏はフェーズ0の99%、フェーズ1の90%が完成しているとコメントし、計画に対する自信をのぞかせた。
ETH2.0のローンチに先駆け、イーサリアムは今後数カ月にわたってステーキング契約を結ぶユーザーを募ることを予定しているようだ。PoSを採用するETH2.0では、32ETH(およそ6,400ドル相当)以上のイーサリアムを保有するユーザーがバリデータとして機能し、トランザクションを検証することでネットワークの健全性を保つ仕組みになっている。Ryan氏によると、ステーキング契約の詳細に関しては、今春の主要なイーサリアムイベントで公表されるが、同仮想通貨における総供給量の最大10%が数百人のバリデータに報酬として支払われる可能性があるという。
現在、ETH2.0開発チームは、PoW(プルーフ・オブ・ワーク)ベースのネットワークをどのようにして新しいシステムに引き継ぐかを検討しており、それぞれの橋渡し的な存在であるETH1.5を構築する案が浮上している。イーサリアムはムーア・グレイシャーと呼ばれるハードフォークを実施するなど、ETH2.0を立ち上げるまでの時間を稼いでいるが、今年中のローンチは実現するのか、今後も同仮想通貨プロジェクトの動向を見守っていきたい。
release date 2020.02.10
仮想通貨コミュニティでは、イーサリアムのPoS移行に向けた4段階ハードフォーク関連のトピックが盛り上がっているが、調査会社のDiarによると、同マイニングアルゴリズムを運用している仮想通貨プロジェクトは、2019年時点で既に70種類以上も存在するという。その中には、2018年にコインチェックでのハッキングにより5億通貨以上が不正流出して話題となったXEM(NEM,ネム)も含まれており、ステーキングの高い収益性から投資家の間で人気を博しているようだ。他にもPundi-XやIOSトークン(IOStoken, IOST)、コスモス(Cosmos)などが年利10%を超える利回りを確保し、マイナーながらも注目を集めている。先日、イーサリアムクラシックはアガルタと呼ばれるハードフォークを完了し、PoSへの移行を計画しているが、今後も仮想通貨市場ではこの流れが継続する可能性があると言えるだろう。
作成日
:2020.02.10
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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