作成日
:2020.01.14
2021.08.31 15:29
仮想通貨のイーサリアムクラシック(Ethereum Classic)が、今月12日に957万3,000番目のブロックでアガルタ(Agharta)と呼ばれるハードフォークを正常に完了したことが明らかになった。
昨年9月に、イーサリアムクラシックはハードフォーク、アトランティス(Atlantis)を完了しており、今回のアガルタはそれに続いてイーサリアム(Ethereum)のブロックチェーンとの互換性を高めるためのアップデートとして実施された。ECIP(Ethereum Classic Improvement Proposal)1056には、イーサリアムのハードフォークであるコンスタンティノープル(Constantinople)およびセントピーターズバーグ(St. Petersburg)で有効化された内容も盛り込まれているという。特にコンスタンティノープルには4つのEIP(Ethereum Improvement Proposal)が含まれており、開発環境の最適化やスケーラビリティの改善、ポリシー変更などに関わるだけに、イーサリアムクラシックにとっても重要なアップデートとなった。
2016年に発生したDAO事件と呼ばれるハッキング被害をきっかけに、イーサリアムから派生したイーサリアムクラシックは独自の進化を遂げてきたが、ここ最近はイーサリアムとの技術的な互換性の確保に取り組んでいる。しかしながら、ETC CooperativeのエグゼクティブディレクターであるBob Summerwill氏によると、イーサリアムクラシックはイーサリアムと同じく、クライアントソフトの寡占化が問題になっているという。アガルタが有効化された後、イーサリアムクラシックの主要なクライアントソフトであるGeth Classicが廃止されるため、Parity-Ethereumが75%のシェアを獲得すると予想されているようだ。
Summerwill氏はこのイーサリアムクラシックの問題に関して次のようにコメントしている。
イーサリアムクラシックにおけるParity-Ethereumによる寡占化は、イーサリアムが抱えるクライアントソフトの問題と全く逆の現象だと言えるでしょう。今回のハードフォークの後にGeth Classicが廃止されるため、ほとんどのノードが移行を進めているようです。
Bob Summerwill, Executive Director at ETC Cooperative - Mediumより引用
現在、イーサリアムクラシックのネットワーク上では500ノードが稼働しており、その内252ノードがParity-Ethereum、167ノードがGeth Classic、80ノードがMulti-Geth、1ノードがBesuのクライアントソフトを利用している。イーサリアムクラシックのハードフォークコーディネーターであるAfri Schoedon氏は、クライアントソフトの寡占化は小さな問題だと言及しているが、仮想通貨コミュニティはどのような反応を見せるのか、今後もその動向に注目していきたい。
release date 2020.01.14
仮想通貨のブロックチェーンにおいてクライアントソフトはシステムを健全に維持するための重要な役割を担っており、ハードフォークの際にはそのマネジメントが成功の鍵になると言っても過言ではない。昨年、イスタンブール(Istanbul)の実装に向けて行われた試験では、クライアントソフトの更新が遅れたことでイーサリアムのテストネットで分岐が発生する事態に陥った。また、同様の理由で人気仮想通貨のビットコインキャッシュでもハードフォーク後にバグが発覚しており、1時間半に渡って空のブロックが生成され続けていたことがわかっている。特にイーサリアムはPoS(プルーフ・オブ・ステーク)への移行を目指し、大幅な変更を含むハードフォークが続くだけに、ParityやGethなどの主要なクライアントソフトを利用するノードの協力が不可欠になってくると言えるだろう。
作成日
:2020.01.14
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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