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ESMA、TRの取引データ取扱いガイドライン関連の諮問書を公表

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update 2022.01.24 17:17
ESMA、TRの取引データ取扱いガイドライン関連の諮問書を公表

update 2022.01.24 17:17

No Data Options規定の活用に向けた理解を深めることに寄与

欧州証券市場監督局(The European Securities and Markets Authority)【以下、ESMAと称す】は、取引情報蓄積機関(Trade Repository)【以下、TRと称す】の取引データの完全性及び一貫性基準ガイドラインに関する諮問書を公表した。[1]市場参加者とTRに対し、証券取引データ提供に係る、レンディング(貸株)やアンダーライティング(証券引受)などの一定の取引についてデータ提供を要しない規定を定めたNo Data Optionsの活用に向けた理解を深めることに寄与するという。

欧州委員会(European Commission, EC)が最近公表した、証券取引のディスクロージャー義務やTRの運営規則などを定めた技術的基準(Technical Standards)【以下、TSと称す】を基に、同ガイドラインにて、取引データの完全性や一貫性を担保するため、TRに適用される基準の修正が初めて行われたという。また、ガイドラインには、TRに適用される取引データの完全性基準や、ESMAがいつ、どのように基準の修正を行うかの説明及び基準の適用事例などが盛り込まれている。

諮問書の公表に際し、ESMAの局長を務めるSteven Maijoor氏は以下のようにコメントしている。

諮問書の公表は、市場参加者とTRにとって、ディスクロージャー義務に求められる取引情報を提出する際に、No Data Options規定を最大限活用するための理解を深めることに寄与すると考えております。TSに関しては、欧州議会及び欧州理事会で承認されていませんが、市場参加者やTR、レポーティング業者、投資家にとっては、TSを基に、新たなレポーティングスキームの導入に向けて事前に十分な準備を行えるでしょう。我々が積極的に規制策を講じることにより、安定的で秩序ある市場の構築と投資家保護の徹底に寄与すると見ております。

Steven Maijoor, Chair of ESMA - ESMAより引用

TSは、証券化商品のオリジネーターやスポンサー及び証券化特別目的会社(Securitization Special Purpose Entity)【以下、SSPEと称す】が、規制当局や投資家及び潜在投資家に対し提出が求められる取引情報の内容や書式を定めている。またTSは、取引情報の取扱いに関するTRの義務も規定しており、その内の1つが、オリジネーターやスポンサー及びSSPEから受領した取引データを基に、No Data Options規定で求められる基準を満たし、証券化商品のエクスポージャーに関する十分な情報を取得できるか確認しなければならないというものである。

今後に関して、ESMAはTRや取引データ提供業者、取引機関、投資家、一般消費者団体などから広く意見を募るべく、パブリックコンサルテーションを3月16日まで実施する見通しである。その後同局は、できる限りTSの公表と併せて、ガイドラインの最終版を公示する意向だ。

release date 2020.01.23

出典元:

ニュースコメント

取引の透明性確保の徹底を目指すESMA

欧州では、第二次金融商品市場指令(MiFIDⅡ)や金融商品市場規則(MiFIR)などを導入し、各取引施設に対して、株式関連のみならず、非エクイティ性商品のデリバティブ取引に関しても、取引前後の情報開示が課せられているほか、TRへの取引情報の集約も求められている。英国のEU離脱を見据えた規制フレームワークの構築が求められているESMAは22年までの戦略プランを公表し、TRのモニタリングを強化する方針を打ち出しているほか、取引の透明性を確保するための規制策案を矢継ぎ早に打ち出している状況だ。例えば、ESMAはTRに関するフォローレポートを公表したほか、ESMAはエクイティ性商品の統合テープの導入を推進している。他方で、海外FXブローカー動向に目を移すと、Advanced MarketsがTradeforaと提携し、取引コスト分析や最良執行機能の強化を図っている。ESMAが透明性の高い市場の構築をサポートすると共に、海外FXブローカーが取引前後の業務の効率化に寄与する画期的なソリューションを提供することを期待したい。


Date

作成日

2020.01.23

Update

最終更新

2022.01.24

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

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プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

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