Select Language

ESMA、2022年までの戦略プランを公表

ESMA、2022年までの戦略プランを公表

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2022.01.24 17:25
ESMA、2022年までの戦略プランを公表

update 2022.01.24 17:25

クリティカルベンチマークやデータサービス業者、第三国CCPなどを重点監督

欧州証券市場監督局(The European Securities and Markets Authority)【以下、ESMAと称す】は、2020年から22年までの優先取組みを示す戦略プランを公表した。[1]

この戦略プランは、欧州監督当局(European Supervisory Authorities)【以下、ESAと称す】レビュー及び欧州市場インフラ規則2.2(European Market Infrastructure Regulation 2.2)【以下、EMIR2.2と称す】において取り決められたもので、ESMAへの監督権限の集中や資本市場同盟(Capital Markets Union)【以下、CMUと称す】構築に向けた役割拡大と直接監督責任の強化を反映させ、ESMAが今後注力する分野や目的などが記されている。具体的には、CMU構築の基礎となるEU各国市民、資本市場、個人投資家層などが直面する課題の解決と、サステナブルファイナンスや長期視点に基づく市場形成、デジタルエコノミー時代の機会やリスクへの対応、国際金融におけるEUの役割、均整の取れた規制策の導入などに関する詳細な戦略プランだ。

この戦略プランの公表に際し、ESMAの局長であるSteven Maijoor氏は以下のようにコメントしている。

我々はこれまで、単一ルールブック(Single Rulebook)の策定や、信用格付機関(Credit Rating Agency)【以下、CRAと称す】と取引情報蓄積機関(Trade Repository)【以下、TRと称す】の監督機関として機能し、9年間、十分に役割を担ってきたと考えております。権限が強化される当局の優先事項の一つは、 単一ルールブックに基づき、首尾一貫した施策を継続することです。また我々は、リスクに対処するリスクベース・アプローチ(risk-base approach)を導入し、各国当局と連携してEU全域を監督すると共に、大きなリスクとなり得るクリティカルベンチマークやデータサービス業者、第三国中央清算機関(Third-Country CCP)【以下、第三国CCP】を重点的にモニタリングしていく意向です。今回の戦略プランは、個人投資家保護の徹底と安全で安定した欧州金融市場の構築というミッションを達成すべく、新たに我々に付与された権限をいかに行使し、どのように責任を果たしていくかを指し示しております。

Steven Maijoor, Chairman of ESMA - ESMAより引用

ESAレビューとEMIR2.2及び直近の法律において、ESMAには新たな権限と責任が付与されている。具体的には、ピアレビューやQ&Aなどモニタリングツールを活用し、ESMAに監督権限を集中させるほか、個人投資家向け金融商品の覆面調査やリスクインディケータの開発、等価性判定のサポートを目的とした欧州委員会(European Commission, EC)による第三国等価性評価スキームの構築などが挙げられている。また、第三国CCPとTR、金融商品取引規制に基づく証券取引、加えて2022年1月1日からは、クリティカルベンチマーク、第三国ベンチマーク、データサービス業者がESMAによる直接監督の範囲となっている。尚、ESMAはテクノロジー革命やサステナブルファイナンスの視点で、均整の取れた規制策を講じなければならないとしている。これらの権限・責任の実行に向けて、ESMAは組織体制を刷新しており、2022年までにスタッフ数を384名に増員する計画だ。

release date 2020.01.13

出典元:

ニュースコメント

資本市場同盟の構築に向け、権限が強化されるESMA

資本市場同盟とは、EU全域を統合した単一の資本市場を創設し、更なる市場の活性化を図る試みである。欧州金融危機を受け、より安定した金融市場の構築を目指すなか、2015年に公表された資本市場同盟アクション・プランでは、証券化市場の活性化など多岐にわたる施策が挙げられている。2017年に公表されたESAレビューにおいて、ESMAの監督権限の強化が打ち出されているが、2016年6月に実施された英国の国民投票の結果、ブレグジットが決まったことを受け、英国のEU離脱後を見据えた金融監督フレームワークの構築を主導する役割がESMAに課せられているといえよう。同局は積極的に新たな規制案を打ち出しており、CRAとTRに関してESMAはフォローアップレポートを公表したほか、ESMAはエクイティ性商品に統合テープの導入を推奨している。更に、ECに第三国CCPの監督スキームを提案するなど、いずれの施策も英国のEU離脱を考慮した監督スキーム案である。今後も、同局からブレグジットに対応した新たな規制策の公表が予想されるが、サクソバンク証券がTorstoneと提携し、クラウドベースの規制対応レポーティングを提供するように、海外FXブローカーによる最新コンプライアンス対応の動向にも注目したい。


Date

作成日

2020.01.13

Update

最終更新

2022.01.24

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

Vantage Tradingで出金遅延、担当者が語る原因と対応

Vantage Tradingで銀行出金に関する遅延が確認されています。出金申請後に着金まで時間を要するケースが報告されており、SNS上でも混乱が発生している状況です。原因としては入金額の急増や決済システム側の処理制限が影響しているものと見られます。
update2025.10.24 19:00

bitcastleは詐欺業者?口座開設ボーナスで出金拒否多数

SNS上ではbitcastleから「出金できない」「口座を凍結された」といった報告が相次いでいます。本記事では、bitcastleで報告されている出金トラブルを紹介するほか、bitcastleは詐欺業者なのかどうか説明します。
update2025.10.21 19:30

XMTradingの入出金で銀行口座凍結?海外FX禁止の銀行に注意

SNS上では「XMTradingの出金で銀行口座が凍結された」とする投稿が一部で見受けられます。銀行によっては海外FXとの取引を禁止しているため注意が必要です。本記事では凍結リスクが高い銀行や仮想通貨送金の注意点を説明します。
update2025.09.03 19:00

Peska(ペスカ)は本当に安全?評判は悪くないが入出金リスクに注意

PeskaはFX業者とのコラボキャンペーンなどをきっかけに、急速にユーザーを増やしているオンラインウォレットです。しかし、新興サービスのため利用すべきか迷うという人も少なくありません。この記事ではPeskaの安全性や評判、オンラインウォレット業界が抱えるリスクなどを説明します。
update2025.09.29 19:30

メタマスク等の利用が規制対象に?金融庁がDEXの規制を議論

暗号資産WGでの議論を発端に、SNS上で「DEX利用が非合法化されるのでは?」といった投稿が話題になっています。本記事では、金融庁で議論されたDEX規制の現状や、SNSで広まる情報の真偽、海外FXユーザーへの影響などを解説します。
update2025.10.28 19:00

PayPayを使って海外FXとの入出金が可能に?Binance JapanとPayPayが提携を発表

Binance JapanとPayPayが業務提携を発表し、PayPayマネーを使った仮想通貨購入サービスの提供などが検討されています。本記事では、Binance JapanとPayPayの提携内容や、PayPayを使った海外FXとの入出金フローなどを解説します。
update2025.10.17 19:00

海外FXへの仮想通貨送金にはBybitがおすすめ!FXトレーダーに最適なBybitの使い方

海外FXの入出金によく使われる国内銀行送金が以前より使いにくくなっていることを受け、仮想通貨での入出金が注目を集めています。本記事では、仮想通貨送金をするならBybitがおすすめの理由や、海外FXユーザーに最適なBybitの使い方を紹介します。
update2025.08.29 20:00

Exnessでシステムエラーによる入出金の不具合が発生?SNSでも報告が相次ぐ

2025年10月、海外FX業者Exnessで入出金エラーが発生し、SNSでも不具合報告が相次ぎました。銀行振込やbitwalletで送金できない事例が確認されており、復旧後も不安の声が続いています。
update2025.10.16 19:00

XMはゴールド(XAUUSD)のスプレッドも広い?ボーナス取引で実質お得

XMTradingのゴールド(XAUUSD)はスプレッドこそ狭くないものの、スワップフリー口座や豪華ボーナス、約定スピードの速さで十分に利用の検討余地があると言えます。当記事ではXMTradingでゴールド取引が向いている・向いていないトレーダーを他社と比較しながら解説していきます。
update2025.10.22 19:00

話題のDCJPYとJPYCの違い|海外FXの入出金に使えるのは?

DCJPYというデジタル通貨が話題となっています。一方で、海外FXユーザーの間ではJPYCへの期待も高まっています。本記事では、DCJPYとJPYCの特徴や違いを比較し、海外FXトレーダーにとってどちらが送金手段の選択肢となるのかを解説します。
update2025.09.26 19:30

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル