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ドイツ取引所、傘下の360Tと連携しFXスワップ取引サービスを強化

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update 2021.08.31 15:29
ドイツ取引所、傘下の360Tと連携しFXスワップ取引サービスを強化

update 2021.08.31 15:29

FX事業と機関投資家向け取引サービスに注力していく意向

ドイツ取引所子会社のFX取引所である360T(本社:Grüneburgweg 16-18 / Westend Carrée 60322 Frankfurt am Main Germany[1])が、360TGTX MidMatchと呼ばれるスワップ市場に関連した独自ストリーミングデータを提供することが明らかになった。

第二次金融商品市場指令(Markets in Financial Instruments Directive Ⅱ, MiFIDⅡ)規則に準拠した360Tの新商品は、FXスワップのリミットオーダー(指値注文)データを提供すると共に、仲値のマッチング機能を有しているほか、マニュアルプロセスに取って代わるGUIやAPIコネクションを活用することができるとのことだ。360TGTX MidMatchは、360Tの既存の多角的取引施設(Multilateral Trading Facility, MTF)を補完し、他の市場参加者に売買状況を悟られずに注文を出すことが可能になるという。また、360Tが独自のスワップレートを提供することで、透明性の高い仲値を確保できる模様だ。

360TGTX MidMatchは、ドイツを拠点とするDIGITECと共同開発し、リクイディティプロバイダー(流動性供給業者)からの情報をもとに、店頭(OTC)のFXスワップ市場のデータを供給するSwaps Data Feed【以下、SDFと称す】を活用している。SDFは、20行もの金融機関からデータを取得し、オーバーナイト(翌日物)から2年物に至るまでのスワップ取引情報をリアルタイムに提供することが可能だ。先進的で透明性の高い同ツールは、四半期別や特定期日など様々な期間に対応すると共に、G10(米国や日本など先進10か国)や新興国、NDF(為替先渡取引)などの通貨情報を提供するという。なお、360TGTX MidMatchはオーストラリア・ニュージーランド銀行(Australia New Zealand Bank)【以下、ANZと称す】やコメルツ銀行(Commerzbank)などに採用されており、Partial Fill(部分執行)などの取引手法にも対応している。

ドイツ取引所は、360TGTX MidMatchを活用し、スワップ市場の情報格差を埋めることに寄与すると共に、360Tとシナジーを発揮させ、市場データ分野の業容拡大を図る意向だ。また、ドイツ取引所が360Tと協働することから、FX事業と機関投資家向け取引サービスを強化していく意向であると推察される。360Tを買収後3年ほど経過したが、現在ではドイツ取引所にとって同社はグローバルFX事業を推進する中核企業に位置づけられており、2019年第1四半期に前年同期比21.6%増の2,140万ユーロの純営業収益を稼ぎだしている。また、ドイツ取引所は、トムソンロイターの法人及びアセットマネージャー向けの電子FX取引プラットフォームであるFXallの買収を検討していると報じられており、積極的にFX事業の拡大を模索していることがうかがえる。同社が360Tと協働し新たなスワップ取引ツールを開発したことに際し、ANZのEMEA(Europe, Middle East and Africa, and Asia)地域の電子FXトレーディング部門ヘッドを務めるDavid Thorne氏は、FXスワップ関連の市場データや仲値のマッチング機能を提供することで、低ボラティリティを背景にスプレッドが縮小するFXスワップ市場において新たな取引機会を生み出すと共に、各ディーラーがエクスポージャーを管理するための先進的な取引手法を模索するきっかけになるとコメントしている。ドイツ取引所及び360Tは、FXスワップ取引環境の改善に繋がる新商品をリリースしたことで、更なる顧客取引の拡大が期待できそうだ。

release date 2019.12.13

出典元:

ニュースコメント

FX市場データビジネスの拡大を模索するドイツ取引所グループ

欧州の有力証券取引所グループの一角であるドイツ取引所傘下の360Tは、グローバルFXやマネーマーケット、金利デリバティブ取引関連のリーディングカンパニーだ。同社の取引ネットワークを活用するバイサイド投資家は2,100社に上り、グローバルベースで圧倒的なプレゼンスを誇っている。今回、ドイツ取引所と連携することで、FXスワップデータ関連ビジネスの強化を図ることになるが、他の証券取引所グループも市場データ事業の積極的な拡大を試みている。足元では、CBOEがInvast Globalと提携し、欧米株式取引データへの無料アクセスを可能としたほか、ロンドン証券取引所が買収したリフィニティブはTradesocioのマーケットプレイスに加入することで、情報サービス分野の市場シェア拡大を模索している。また、新3か年戦略プランを発表したユーロネクストも、取引データ関連ビジネスを3大注力分野の一つに位置付けている。市場データ事業を収益の柱に据える各証券取引所グループが、市場を席巻する画期的なソリューションを生み出すか、各社の動向に注目したい。


Date

作成日

2019.12.13

Update

最終更新

2021.08.31

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

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プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

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