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Google、個人向け当座預金口座サービスを提供開始

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update 2021.08.31 15:29
Google、個人向け当座預金口座サービスを提供開始

update 2021.08.31 15:29

シティグループ及びスタンフォード大学と提携

Google LLC(本社:1600 Amphitheatre Parkway Mountain View, CA 94043 USA[1])【以下、Googleと称す】は、シティグループ(Citigroup)及びスタンフォード大学の信用組合と提携し、2020年からグーグルペイ(Google Pay)アプリを活用した個人向け当座預金口座サービスを開始することを発表した。

ロイターによると、アップル(Apple)やフェイスブック(Facebook)といったGoogleの競合となるIT大手2強が個人向け金融サービスを強化するなか、GoogleはCache(キャッシュ)と呼ばれる当座預金口座サービスを開始する意向であるとのことだ。IT企業が個人向け金融サービスを提供することは一般的ではないように見受けられるが、これらのIT大手はデジタル決済アプリを通じてブローカレッジサービスや貸し出し、銀行口座など多岐にわたるサービスを提供し収益を生み出していることから、今回Googleが発表したサービス展開もサプライズとはならないであろう。

ただし、IT大手にとっての懸念事項の一つが当局による規制だ。たとえば、Facebookはザッカーバーグ氏が公聴会でリブラに関して証言するなど、当局からの厳しい圧力にさらされている。他方で、Googleはかねてより当局との話し合いの場を設けており、このまま個人向け当座預金口座サービスの提供を推し進める見込みである。同社のスポークスパーソンは、銀行や信用組合の顧客に対し、グーグルペイを通じて連邦預金保険公社(Federal Deposit Insurance Corporation)【以下、FDICと称す】や全米信用組合監督庁(National Credit Union Administration)【以下、NCUAと称す】の預金保険制度を活用すると共に、有益な情報や予算管理ツールなどを利用することができる効率的な当座預金口座サービスを提供すべく、どのように提携を推進すべきか模索しているとのことだ。

また、シティグループのスポークスパーソンが、Googleの新サービスは包括的に潜在顧客へのリーチを広げ、顧客基盤の拡大に寄与するとコメントしている一方で、米上院のMark Warner氏はGoogleの新サービスについては非常に厳しく監視する必要があると述べている。なおロイターは、FDICとNCUAによって預金が保護され、規制を遵守する銀行で分別管理すると共に、Googleが保有する金融データを活用しない方針であれば、ライセンスの取得など同社が現在直面している課題をクリアすることができるであろうと指摘している。

Googleは米国のみならず、インドでも6,600万人を超えるユーザーを抱え、グーグルペイを活用した公共料金や食品などのデジタル決済サービスを手掛けるなど業容拡大を図っている状況だ。同社従業員は、既に多くの先進的なデジタル決済ソリューションが提供されている米国決済市場は飽和状態であり、非常に厳しい競争にさらされているものの、充実したロイヤリティプログラムと高い預金金利を提供することで顧客獲得ができるであろうという。2020年に個人向け当座預金口座サービスを開始するGoogleが、金融分野において新たな顧客獲得に向け如何なるソリューション展開を図るか、今後の動向に注目したい。

release date 2019.11.15

出典元:

ニュースコメント

戦国時代に突入した個人データのマネタイズビジネス

足元では、伝統的な金融機関がIT大手など新興の金融サービスを提供するプレーヤーと提携し、バランスシートの拡大を伴いながら、革新的なソリューションの提供を試みている。直近では、アップルがゴールドマンサックスと提携し、クレジットカードサービスの提供を開始した。また、GAFAと呼ばれるIT大手4社のなかではFacebookがFacebook Payを発表し、個人向け金融サービスの強化に乗り出している。Googleと同様に、Facebookも自社が保有する個人情報の適切な取り扱いが大きな課題ではあるが、他の金融機関も個人の購買履歴や取引データのマネタイズに注力している状況だ。たとえば、新3か年戦略プランを発表したユーロネクストやロンドン証券取引所など、各国の証券取引所グループは傘下の子会社を通じた取引データビジネスの拡大を模索している。また国内においては、信託大手の三菱UFJ信託が、遺言や年金分野における強みを活かし、個人データを企業に提供する情報銀行事業に大手銀行として初参入を果たすなど、各金融機関が個人データ事業の収益化を目指す戦国時代に突入したといえるであろう。金融サービスプロバイダー各社がプライバシーや規制の問題をクリアし、安全性の高い個人データ取引システムを構築できるか否か、今後の動向を見守る必要がありそうだ。


Date

作成日

2019.11.15

Update

最終更新

2021.08.31

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

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プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

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