作成日
:2019.11.08
2021.08.31 15:29
金融サービスプロバイダーであるGMOフィナンシャルホールディングス株式会社【以下、GMOフィナンシャル】の英国子会社GMO-Z.com Trade UK Limited(本社:8 Devonshire Square London EC2M 4PL, United Kingdom
)【以下、GMO英国子会社と称す】は11月7日、機関投資家向けプライムオブプライム【以下、PoPと称す】サービスを提供する新たなブランドとしてZ.com Global Marketsを立ち上げたことを発表した。Z.com Global Marketsは、個人投資家向けFX取引高で世界最大規模を誇るGMOクリック証券と同様にGMOインターネット株式会社の傘下に収まり、海外FXブローカーやヘッジファンド、アセットマネージャー、民間銀行、プロップトレード(証券会社などにおいて自己資金での運用)を行う金融機関を対象として、流動性やインフラテクノロジーに特化したソリューションを提供していくとのことだ。
これにより、Z.com Global Marketsの顧客は、EuromoneyTM FX survey 2019のトップ10にランキングされる全てのリクイディティプロバイダー(流動性供給業者)を含む豊富な流動性プールにアクセスできるほか、FXや金、コモディティ、株式インデックス関連のPoPサービスをダイレクトに受けることが可能になるという。なお、GMO英国子会社は従来注力してきた個人投資家向けサービスから2019年末をもって撤退する決断を下しており、今後は機関投資家向けサービスを強化していく方針だ。
新ブランドの立ち上げに際し、GMOフィナンシャルの取締役兼代表執行役社長を務める鬼頭弘泰氏とGMO英国子会社のCEOであるFunada Masahiro氏は、それぞれ以下のようにコメントしている。
我が社が世界最大規模の個人投資家向けFXサービスプロバイダーとしての地位を確立したことで、私は今こそ機関投資家向け事業におけるプレゼンスの拡大を図る時だと確信しています。また、Z.com Global Marketsのリリースはその目標を実現させるための重要なステップだと認識しております。我々にはグローバルに成長する機会があると考えており、機関投資家向けの有力なグローバルサービスプロバイダーとしての地位を確立すべく、英国子会社がその牽引役になると考えております。
Hiroyasu Kito, Group CEO of GMO Financial Holdings - Z.com Global Marketsより引用
私はZ.com Global Marketsをリリースしたことを大変喜ばしく思っていると共に、これまでのトラックレコードとGMOインターネット株式会社からの強力なサポートのもと、高水準のPoPサービスを提供できると確信しております。また、我々はティア1(トップクラス)のプライムブローカーや銀行、ノンバンク、ECN方式を採用する有力リクイディティプロバイダーとダイレクトに繋がり、最高水準のテクノロジーと流動性を提供すべく、資金を投じると共に経験豊富なチームを有しております。加えて我が社のお客様は、国際規格のGUI(Graphical User Interface)や多岐にわたる通信アクセスポイントを通じてLD4、NY4、TY3を活用したコネクティビティサービスも利用することができます。
Funada Masahiro, CEO of GMO-Z.com - Z.com Global Marketsより引用
なお、Advanced MarketsがCentroidと提携し、コネクティビティサービスなどの機能を強化するほか、Global PrimeがGold-iと提携し、豊富な流動性を供給する方針であるなど、競合他社も機関投資家向けサービスの拡充を図っている状況だ。個人投資家向けのFX取引で豊富な実績を誇るGMO英国子会社が、機関投資家分野においても確固たるプレゼンスを確立できるか注目したい。
release date 2019.11.08
今回、機関投資向けの新たなブランドを立ち上げたGMO英国子会社に加え、Exnessがリテール事業を閉鎖しB2B事業へ注力する方針を示しているほか、ATFXが機関投資家向け新プラットフォームをリリースし、低レイテンシーの流動性供給など多様な機能の提供を開始するなど、足元数か月の間に数多くの海外FXブローカーが法人サービスの強化を推進している状況だ。海外FXブローカー各社が機関投資家向けビジネスの拡大を図る背景には、欧州を始め各国規制当局が個人投資家向けの規制を強化したことが挙げられる。海外FXブローカーにとっては、引き続きハイレバレッジサービスを提供することに加え、機関投資家からのニーズが高まっているリクイディティ関連サービスを充実させることで、収益性の維持・拡大を実現させる意向があると推察される。他方で、Z.com Global Marketsが注力するPoPサービスは競合他社も強化を図っている分野であり、GMOグループの強力なバックアップを後押しに、どれほどまで機関投資家の開拓を進められるか、今後の展開を見守る必要がありそうだ。
作成日
:2019.11.08
最終更新
:2021.08.31
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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