作成日
:2019.11.01
2021.08.31 15:29
200行を超える民間銀行及び11つの支部で構成されるAssociation of German Banks(本社:Burgstraße 28 10178 Berlin Germany
)【以下、ドイツ銀行協会と称す】は、ユーロ圏におけるデジタル通貨の利用及び共通基準の策定を求める方針説明書を公表した。ドイツ銀行協会は、Facebook(フェイスブック)が独自仮想通貨リブラ(Libra)の開発を進めるなか、デジタル化時代のグローバル金融システムのあるべき姿と、如何なるプレーヤーが未来の金融システムを構築していくかに関して深刻な疑念を抱いているという。また、国家が金融システム構築の責任を負っていることに疑いの余地はなく、銀行やその他の民間企業が提供する如何なる通貨も、国家が策定した仕組みに適合させなければならず、それ以外の通貨は最終的に金融市場へ混乱と不安定をもたらすとコメントしている。
更にドイツ銀行協会はデジタル通貨の導入に向けて、政治家と金融当局により、政府機関や銀行、民間企業などの関係者の利害を踏まえた基礎を築く必要があると指摘している。加えて、人間もしくは機械がデジタルユーロを利用する場合には、本人確認を徹底しなければならず、グローバルレベルで適用されている現行の規制フレームワークに則った厳格な基準に従うことが求められるという。
フィンテック革命による先進的なテクノロジーの活用により新たな市場を形成した仮想通貨の分野においては、今後も世界中でデジタル通貨の開発が進むと予想されるが、規制当局が今後如何なる金融システムを構築するのか、その動向を見守る必要がありそうだ。
release date 2019.11.01
今回は、ドイツ銀行協会がデジタル通貨の活用を要請したことが明らかになったが、その他にもカナダの中央銀行であるカナダ銀行が独自仮想通貨の発行を検討していることが報じられたことに加え、フェイスブックのリブラに先駆けて、中国の中央銀行である中国人民銀行が独自仮想通貨を発行する可能性も浮上するなど、国家レベルにおいて世界的に拡大する仮想通貨の脅威への対応策を講じている状況だ。他方で、グローバル金融をリードする米国では、リブラの開発で世界中から高い関心を寄せられているFacebookのCEOザッカーバーグ氏が公聴会でリブラに関する証言をした際、政府の規制に準拠できなければLibra Associationから撤退すると発言しており、有力仮想通貨の早期誕生には規制というネックをクリアしなければならない展開となっている。米国や中国を筆頭にグローバル国家レベルで、デジタル通貨と法定通貨との関係性を巡る激しい駆け引きが繰り広げられているなか、ユーザーにとって安全性と透明性の高い取引環境が提供されることを期待したい。
作成日
:2019.11.01
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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