作成日
:2019.10.09
2021.08.31 15:29
仮想通貨に友好的な立場を示す日本だが、仮想通貨が通貨として認められていないことから、総務省が仮想通貨による政治献金は違法行為に当たらないとの見解を示した。
総務相の高市早苗氏によると、政治献金に関する規制は有価証券と法定通貨にのみ適応され、政党や政治家は仮想通貨での寄付を受け取ることができるという。また、政治献金として受け取った仮想通貨は報告書などに記載する必要はなく、寄付を受けた事実やその保有額、資金源に関しての情報を開示する義務もないようだ。ただし、これらの仮想通貨を法定通貨に両替すると直ちに規制の対象となるため、安易に現金化することも難しくなっている。
日本では政治家個人献金は原則的に禁止されており、企業や一般市民からの寄付は、政党や政治家の資金管理団体しか受け付けることができない。しかしながら、政治資金決済法には仮想通貨の取り扱いが定められておらず、このルールが悪用されれば、有権者や営利団体と政治家の癒着を招く恐れがあると言えるだろう。これに対して一部有識者は、時代の流れに対応できていないことを指摘し、法改正が必要であると主張した。
先月、日本の金融庁(Japan Financial Services Agency, JFSA)は、仮想通貨市場の自主規制団体である日本仮想通貨交換業協会(Japan Virtual Currency Exchange Association, JVCEA)に規制を強化するよう伝えている。外資の仮想通貨関連企業は政府や自主規制団体などの複数のルールが存在する曖昧な市場環境をリスクだと感じており、中には撤退する企業も現れているが、今後も日本の仮想通貨市場の動向を見守っていきたい。
release date 2019.10.09
仮想通貨での政治献金が合法と判断されたことから、日本では仮想通貨業界の政界への影響力が強まる可能性があるが、米国ではFacebookがリブラのバウンティプログラムを開始すると同時に、コンサルティング会社のFS Vectorと契約して大々的にロビー活動を展開するなど、既に政治家へのアプローチが進められている状況だ。これまでFacebook(フェイスブック)はリブラ(Libra)のローンチを確実なものとするために、少なくとも7名のロビイストと協力して750万ドルの資金をロビー費用に投じている。しかしながら、2016年に就任して以来、トランプ大統領が仮想通貨に否定的な発言を繰り返すなど、議会の反仮想通貨の姿勢は崩れていない。現在、日本でも金融庁が仮想通貨関連商品を規制する意向を示しており、仮想通貨市場に逆風が吹いているが、業界関係者はこの現状をどのように見ているのか、今後も日本市場での展開に注目したい。
作成日
:2019.10.09
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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