作成日
:2019.10.04
2021.08.31 15:29
今月30日、日本の金融庁(Financial Services Agency)は金融商品取引業社向けに作成されたガイドラインの改定案を公開し、仮想通貨市場の発展をできるだけ阻害しない方法で仮想通貨関連の金融商品を規制する意向であることを明らかにした。
発表によると、金融庁は仮想通貨を対象とした金融商品が将来的に登場することを危惧しており、それを踏まえた上で、このガイドラインの改定案をまとめたという。仮想通貨への投資が投機的な動きを助長する可能性もあるため、金融庁は仮想通貨に関連する投資信託の立ち上げや販売に慎重に対応すべきだとの見解を示した。このガイドラインの改正案では、仮想通貨を含む非特定資産に投資する際、信託会社はそのボラティリティや流動性などの潜在的なリスクを考慮するよう警告が促されている。
2014年のマウントゴックスおよび2018年のコインチェックにおけるハッキング事件以降、金融庁は仮想通貨市場の規制環境整備に取り組んでおり、仮想通貨取引所や仮想通貨関連サービスに対するフレームワークを確立した。2019年上期には改正資金決済法と改正金融商品取引法が可決されると同時に、前年から滞っていた仮想通貨取引業者の承認も新しく3社にライセンスを付与する形で進展を見せている。また、先週、日本ではSTO(セキュリティトークンオファリング)の自主規制団体が立ち上げられており、更なる環境整備が進んでいるようだ。
金融庁はこのガイドラインの草案に関して10月末までパブリックコメントを受け付けると言及し、最終的な調整段階へと入ることを示している。現在、金融庁は2019年秋のFATF審査に向け対策強化に取り組んでいるが、仮想通貨市場の現状をどう見ているのか、今後も当局の動向には注目していきたい。
release date 2019.10.04
SBI証券をはじめとする日本の大手証券会社6社は、STOの自主規制と政府当局からの認定取得を目指すことを目的に、SBI証券で代表取締役会長を務める北尾吉孝氏をトップとする日本STO協会を立ち上げた。STOはブロックチェーン上でトークン化された有価証券を発行し、一般大衆から資金公募を行う手段として米国を中心に注目を集めているが、法整備が進んでいないことが課題となっているようだ。実際に米SECは違法なICOを実施したKikを提訴しており、どのような基準で仮想通貨が有価証券と判断されるかなど、仮想通貨業界が抱える問題が露呈する形となった。その他にも米SECは2つのICOプロジェクトに罰金を課すなど、仮想通貨を活用した資金調達を厳しく取り締まる姿勢を貫いている。日本STO協会は市場から不正を排除するだけでなく、このような曖昧な状況を改善することが期待されているが、今後も同協会の取り組みを見守っていきたい。
作成日
:2019.10.04
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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