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各ブローカー、ハードブレグジットに備えたレバレッジ対策を模索

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update 2022.11.10 12:49
各ブローカー、ハードブレグジットに備えたレバレッジ対策を模索

update 2022.11.10 12:49

英ポンド取引の必要証拠金を引き上げる可能性

英国が合意なき離脱(ハードブレグジット)をする可能性が高まるなか、各ブローカーは英ポンドのボラティリティが急拡大するリスクに備えるべく、エクスポージャーを限定する対応策を模索し始めている。

オプション市場参加者が予想する英ポンド/米ドルの値動き(先行き3か月)の不確実性を示すインプライド・ボラティリティは14%近辺で推移している。これは英国テレサ・メイ元首相がEUとの間で合意した離脱協定案を巡って同国議会との対立が激化していた時期と同水準であり、投資家の不安心理が大きく高まっていることが示されている。2017年6月の英総選挙でメイ元首相率いる保守党が議席の過半数を維持できず、同国の不安定な政治情勢に懸念が広がった際には、英ポンドが200pipsもの大幅な下落を記録したほか、EUからの離脱を問う国民投票を実施した後の2017年10月には、英ポンドが対米ドルで僅か数分間のうちに9%急落するフラッシュクラッシュが起きた。そして、足元ではEU離脱強硬派として知られるボリス・ジョンソン氏が新たに英国首相に就任したことで、ブローカー各社のリスクマネージャーはボラティリティの大幅な上昇を予想し、議会選挙結果を注視している。なお、8月28日にはエリザベス女王が議会を5週間に亘り閉会することを求めた政府案を承認したことを受け、ハードブレグジットの可能性が高まっている状況だ。

このような市場環境下において、多くのブローカーがハードブレグジットによる市場の混乱に備えるためレバレッジ対策を準備し始めている。キプロスを拠点とするAlfa Capital Holdings(Cyprus)Ltd(本社:3, Themistocles Drvis Street, Julia House, 4th Floor, 1066 Nicosia, Cyprus[1])では、取引金額が50,000ドルまでの顧客はレバレッジ変更による影響は大きくないものの、200万ドルを超えるポジションを持つ場合には、英ポンドとの通貨ペアに応じて最大レバレッジを20~30倍に制限しており、特に高額の資金を投じるプロフェッショナル顧客に対して、より大きな影響が出てくる模様だ。

なお、メイ元首相率いる英国政府とEUとの間で合意された離脱協定案の議会採決が行われた2019年1月中旬にも、ポンドの急変動に備えるべく、ブローカー各社は万全なブレグジット対応策の整備を進め、その際にはブローカー各社によるブレグジット議会採決に備えたレバレッジ低減や証拠金維持率の引き上げといった措置が講じられていた。10月末にEU離脱を控え、ハードブレグジットの可能性が高まるなか、再びブローカーが同様の対応策を打ち出すと予想される。

release date 2019.08.30

出典元:

ニュースコメント

固唾を飲んでブレグジット情勢を見守る市場参加者

英国議会が9月9日の週から10月13日まで閉会される決定を受け、議会再開より10月31日を期限とするEU離脱まで2週間ほどしか残されていないことになる。10月17日、18日にはEU首脳会議が行われる予定であるものの、ジョンソン首相はEU側が離脱協定案の修正に合意しなければハードブレグジットも辞さない強硬姿勢を示しており、合意なき離脱を阻止する可能性は大きく低下したといえる。為替市場に目を移すと、足元の英ポンド/米ドルは1.22ドルを下回る安値圏で推移している。ブレグジットを巡る動きは為替レートにほぼ織り込まれているなか、複数のアナリストが仮にハードブレグジットが現実のものになれば更にポンドが下落すると予想している。英国議会が再開される9月3日からの1週間ほどと、EU首脳会議前後においても、ブレグジットを巡るヘッドラインに振り回される形で、英ポンドのボラティリティが一時的に高まるものと見込まれる。ブローカー動向としては、OANDAがThe Fields Instituteと提携し、高ボラティリティ時の取引コスト削減を目指す画期的なソリューションの提供を模索しており、ブレグジット情勢は今後も先行き不透明感が漂うと予想されることから、効果的なリスク管理サービスを提供する企業動向に注目したい。


Date

作成日

2019.08.30

Update

最終更新

2022.11.10

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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