作成日
:2019.09.02
2021.08.31 15:30
大手仮想通貨取引所であるBinance【以下、バイナンスと称す】は、社会への仮想通貨の普及を目指し、BinanceXと呼ばれる開発者向けの新しいプラットフォームを立ち上げたことを8月29日に発表した。
今月始めにバイナンスはステーブルコイン開発プロジェクトを計画していることを明かしたばかりだが、同社はBinanceXによりBinance APIやTrust Wallet、Binance Chain、Binance Charity Foundationなどを利用したシステムの開発環境を提供するという。BinanceXを通じてバイナンスは体系的なサポートを実現し、サードパーティ開発者を取り込むことが可能となり、独自の製品やサービスの発展を促す狙いがあるようだ。
既にバイナンスはBinanceX向けのプロジェクトリストを公開しており、少なくとも40以上のプロジェクトがこのプラットフォーム上で展開される予定であることがわかっている。これらのサードパーティ開発者はBinanceXを利用し、ブロックチェーン技術を学んでバイナンスのテクノロジーと連携する製品やサービスを展開することが可能となる。BinanceXの責任者であるTeck Chia氏は、革新的な製品やサービスを生むエコシステムを構築することが長期的な目標だと言及した上で、仮想通貨の普及に貢献するとの意気込みを語っている。
Chia氏によると、BinanceXはバイナンスのライフサイクルにおける重要な時期に立ち上げられており、ビーナスの成功を持ってサードパーティ開発者の利用が飛躍的に増加する可能性があるという。ビーナスの事業展開に関してバイナンスの共同創設者であるHe Yi氏は、各国の規制に準拠することでプロジェクトのローンチに漕ぎ着けたいとコメントしているが、BinanceXの先行きと合わせて同社の動向には注目していきたい。
release date 2019.09.02
Facebookの独自ステーブルコインであるリブラは、後進国を中心に全世界に普及する可能性を秘めているが、そのプロジェクトの発表以来、同社の影響力の強さを懸念する各国政府の批判の的となっているようだ。今年7月には米上院でFacebookのリブラに対する公聴会が開催されただけでなく、英国でもFCAが詳細情報の開示を求める動きを見せており、仮想通貨業界における最大のトピックとなっている。米政府の許可が下りるまでリブラのローンチを控えることを約束したFacebookに対し、バイナンスはビーナスのプロジェクトの下、各国で独立したステーブルコインを展開する計画を発表している状況だ。バイナンスがどのような形での成功を望んでいるかなど、ビーナスに関する詳細は明らかになっていないが、BinanceXの立ち上げを含め、外部の力を梃子として利用しようと試みていることが伺える。リブラの停滞がバイナンスにとって格好のチャンスとなるだけに、今後も同社の取り組みには期待したい。
作成日
:2019.09.02
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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