作成日
:2019.08.06
2021.08.31 15:30
先月中旬に大規模なハッキング被害に見舞われた仮想通貨取引所の株式会社ビットポイントジャパン(本社:東京都港区六本木3-2-1 住友不動産六本木グランドタワー36階
)【以下、ビットポイントと称す】は、今月7日に仮想通貨取引サービスを一部再開させることを発表した。ビットポイントの報告によると、同取引所は1,225通貨のビットコイン(Bitcoin)、1,985通貨のビットコインキャッシュ(Bitcoin Cash)、1万1,169通貨のイーサリアム(Ethereum)、5,108通貨のライトコイン(Litecoin)を含む仮想通貨資産を盗難されており、その被害総額は30億円以上にも達するという。被害直後からビットポイントは、ウェブサイトやビットポイントMeta Trader4上での取引、APIおよびスマートAPIサービス、決済サービス、BITPointWalletおよびBITPoint LITEアプリケーションなど、全てのサービスを停止していた。
今回、ビットポイントのハッキング被害の原因究明に取り組んでいることに加え、被害の拡大を防ぐために再発防止策を検討し、それを実行に移す段階に来ていると同社は報告した。また、システムの安全性を確保することを前提に、ビットポイントはこれら対策の進捗に基づいて順次サービスを再開すると伝えており、今月7日には法定通貨の入出金サービス、同じく9日には店頭取引(OTC)の証拠金取引サービス、13日には仮想通貨のスポット取引サービスを再開させる見通しであることを発表している。加えて、具体的な日付は明示されていないものの、ビットポイントは8月または9月中に仮想通貨の入出金サービスの再開を目指すと言及したようだ。
発表によると、ビットポイントは盗難された資金を一部回収しているようだが、顧客資産の20億円相当の仮想通貨は未だに戻っていないようだ。しかし5万人を超えるユーザーに対しビットポイントは返金を約束しており、補填資金の原資確保などの問題もあるが、ビットポイントは無事にサービスを再開することができるのか、今後も同社の取り組みには注目していきたい。
release date 2019.08.06
今回、ビットポイントの発表と同時に、同取引所の親会社であるリミックスポイントは、ハッキングの手口に関する調査結果を公開している。その報告によると、犯人のハッカーはホットウォレットを管理するサーバーにバックドアと呼ばれるマルウェアを仕込み、侵入経路を確保していたことが明らかになっており、その他のウィルスに感染していた形跡は確認できなかったという。この手口は北朝鮮が支援するハッキング集団も仕掛けていることが明らかになっており、プログラムに抜け穴を作り出すバックドアに感染したシステムは、繰り返し被害に遭う危険性が高くなるが、現在、ビットポイントはホットウォレットの稼働を停止して二次被害の防止に努めている状況だ。このような被害を回避するためには、定期的なウィルスソフトの更新やシステムの監視を強化すると同時に、コールドウォレットの活用が有効とされているため、ビットポイントにとってセキュリティソフトの見直しと運営体制の変更が急務となるだろう。今後もビットポイントは再発防止に取り組むとしているが、全面的なサービス再開を早期達成することに期待したい。
作成日
:2019.08.06
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
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