作成日
:2019.06.12
2021.08.31 15:26
仮想通貨のデータプロバイダであるCryptoCompareは、米証券取引所を運営するナスダック(Nasdaq)との協業により、「Nasdaq/CryptoCompare Aggregate Crypto Reference Prices」の名称で仮想通貨価格のデータフィードサービスを開始することを発表した。
このCryptoCompareのサービスは、仮想通貨市場の監視や投資機会を模索する機関投資家向けに信頼できる仮想通貨の価格データを提供することが可能であるとともに、これらの価格データは、CryptoCompareの総合指数におけるデータセットを参照し、分単位で配信されるようになっている。CryptoCompareは、このサービスをナスダックが所有する金融データプラットフォームのQuandl上で展開し、将来的には仮想通貨市場における取引戦略の構築や定量的な調査、リスクモデリング、NAV(Net Asset Value)計算、バックテストなどの用途にも対応する見通しだ。
CryptoCompareの共同創立者およびCEOであるCharles Hayter氏は、ナスダックとの協業について以下のようにコメントしている。
ナスダックとパートナーシップを締結し、仮想通貨価格のデータフィードサービスを開始できることを嬉しく思っています。信頼できるデータは、透明で流動的な市場の根幹であり、Quandlプラットフォームを介して提供することで、結果的に世界中のトレーダーや投資家が優位性を確保することが可能となるでしょう。
Charles Hayter, Co-Founder and CEO of CryptoCompare - CryptoCompareより引用
昨年、仮想通貨市場が後退していた期間も、Hayter氏は強気な姿勢を貫いており、金融情報サービスを手掛けるトムソンロイターと提携し、アイコン(Eikon)と呼ばれる仮想通貨市場分析プログラムにデータフィードを行うことを決めている。一方、ナスダックも仮想通貨に連動した指数の公開や、仮想通貨先物のローンチ、リアルタイム監視ソリューションなどナスダックの持つ技術を仮想通貨取引所へ提供したりと、仮想通貨分野での取り組みを加速している模様だ。両社とも仮想通貨市場への関与が高まっているだけに、今後の展開にも期待して見守っていきたい。
release date 2019.06.12
ナスダックのQuandlは、株価や為替、インデックス、先物、経済統計など、様々な市場のデータフィードサービスを提供しており、そのユーザー数は全世界で40万人に達するという。Quandlのようなデータフィードサービスは、証券ブローカーや独自の取引システムを開発する投資銀行、市場分析を行うアドバイザリーファームなどが主な顧客となっているが、近年ではボットと呼ばれるプログラムで自動取引を行うアルゴリズムトレードの流行から、個人投資家のニーズも拡大しているようだ。その背景として、特に仮想通貨はブロックチェーンをプラットフォームとするAI(人工知能)やデータ解析との親和性が高く、個人投資家でもボットの構築や運用ができる環境が整っていることが考えられる。このことはCryptoCompareやナスダックの事業にとっては好都合と言えるだけに、両社の事業展開には今後も期待していきたい。
作成日
:2019.06.12
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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