Select Language

韓国FSC、店頭デリバティブ取引規制を緩和

韓国FSC、店頭デリバティブ取引規制を緩和

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2022.01.27 13:28
韓国FSC、店頭デリバティブ取引規制を緩和

update 2022.01.27 13:28

最低預入金引き下げなどを通じた市場活性化を模索

韓国の規制当局である金融委員会(Financial Services Commission)【以下、FSCと称す】は、長きに亘り低迷する同国のデリバティブ市場の活性化を図るべく、店頭デリバティブ取引に関連した規制緩和策の導入を発表した。[1]

今回FSCは、韓国の個人投資家にとってデリバティブ取引を手掛ける際に最も高いハードルになっていた最低預入金を、先物やオプションの購入時には従来の3,000万韓国ウォン(25,300ドル)から1,000万ウォン(8,500ドル)へと減額する緩和措置を講じた。減額された最低預入金は、2018年にデジタル資産へと投じられた平均投資金額である6,000ドルをやや上回る水準である。一方で、先物やオプションの売却時には購入時の倍に当たる2,000万ウォン(17,000ドル)の最低預入金が必要になるという。また今回のデリバティブ規制緩和策は機関投資家にとってもメリットがあり、2019年第3四半期より、クレジットリミット(与信限度額の上限)超過金額分の満額預け入れや、信用リスク限度額の10%に当たる追証を差し入れる必要がなくなる見通しだ。

更にFSCでは、2019年第3四半期初頭に複数のマーケットメイキング(値付け)業務に関連した規制を更新すると共に、流動性が低い商品を取り扱うマーケットメイカーへのインセンティブを強化する意向である。また、2019年第4四半期には新たなデリバティブ商品の開発及び上場を促すべく、証券会社の裁量を高めていく方針でもあり、これらの一連の緩和策を講じることで、伝統的な金融資産の取引が行いやすい環境を整備する見通しだ。

今回FSCが規制緩和策を導入した背景として、店頭デリバティブ取引高の低迷が挙げられる。デリバティブ取引高は2011年にピークをつけたものの、投機的取引を縮小させ長期投資を手掛ける健全なデリバティブ市場の形成を図るべく導入された厳格な規制策の影響を受け、取引量が急激に落ち込む結果になっていた。そして、FSCも高額な最低預入金が個人投資家にとって取引を手掛ける際の足かせになると共に、厳格な必要証拠金規制が機関投資家の市場参加を妨げる要因になったとの認識を示しており、低迷が続くデリバティブ市場の活性化を図るべく今回の規制緩和策の導入に繋がったとみられる。

なお、外国人投資家のデリバティブ市場占有率は、2011年の25.7%から2018年には50.4%まで拡大している。一方で、同期間における機関投資家が占める割合は48.7%から36.1%へ、個人投資家に至っては25.6%から13.5%へ半減したことを勘案するに、FSCが採用した厳格な規制策が如何に韓国の投資家に大きな影響を及ぼしたか伺い知れるであろう。

他方で、韓国はビットコイン(Bitcoin)を始めとした仮想通貨取引が盛んな市場の一つでもあるものの、取引がピークに達した2017年第1四半期には、韓国政府が投機的な仮想通貨取引は教育上大きな問題を引き起こしているとの懸念を示していた。またFSCの委員長を務めるChoi Jong-ku氏は、韓国の金融機関にフィンテック企業との協業を積極的に推し進めることを期待しており、仮想通貨取引分野においても多くの課題が残されている状況といえよう。

今回、FSCが伝統的な金融資産を取引する際の参入障壁を低くしたことで、個人投資家の取引意欲が大きく改善すると見込まれており、規制緩和に乗じてブローカー各社が如何なる画期的なサービス展開を図るか注目される。

release date 2019.06.04

出典元:

ニュースコメント

規制緩和による取引高挽回への期待

韓国のデリバティブ市場は1996年に国内主要企業で構成されるKOSPI200先物が現在の韓国取引所【以下、KRXと称す】に上場したことが起源となっている。1998年には外国人による投資規制が完全に撤廃され、先進的なオンライン証券システムが普及したことにより、KRXは2010年の世界デリバティブ取引高ランキングにおいて第一位となるなど、比較的後発な市場であったにも関わらず、飛躍的な拡大を遂げてきた。順調に取引高を拡大してきたKRXではあるが、個人投資家保護の観点から2011年に株価指数オプションの取引単位が引き上げられた結果、取引高が減少し、2014年の世界デリバティブ取引高ランキングでは12位となるなど、現在は取引高の低迷が続く状況となっている。デリバティブ取引高は各国の国際金融センターとしての評価に密接に関連していることから、近年では香港やシンガポールの取引所がこぞってデリバティブ事業の強化を図るため様々な取り組みを講じている中、KRXとしても規制強化により減少した取引高を取り戻すことを意識した政策へと動き出した模様だ。今回の規制緩和の発表により市場が活性化され、ブローカー、トレーダー双方にとって明るい展望となることに期待したい。


Date

作成日

2019.06.04

Update

最終更新

2022.01.27

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

海外FXに仮想通貨で入出金する方法は?規制強化で仮想通貨送金が最適解か

海外FXの入出金ルート封鎖が加速しており、SNS上では「銀行口座が凍結された」といった投稿も見られます。そんな中、注目を集めているのが仮想通貨での入出金です。この記事では、海外FXに仮想通貨で入出金する方法や、仮想通貨送金時の注意点などを解説します。
update2025.07.15 19:00

XMTradingの入出金で銀行口座凍結?海外FX禁止の銀行に注意

SNS上では「XMTradingの出金で銀行口座が凍結された」とする投稿が一部で見受けられます。銀行によっては海外FXとの取引を禁止しているため注意が必要です。本記事では凍結リスクが高い銀行や仮想通貨送金の注意点を説明します。
update2025.09.03 19:00

Peska(ペスカ)は本当に安全?評判は悪くないが入出金リスクに注意

PeskaはFX業者とのコラボキャンペーンなどをきっかけに、急速にユーザーを増やしているオンラインウォレットです。しかし、新興サービスのため利用すべきか迷うという人も少なくありません。この記事ではPeskaの安全性や評判、オンラインウォレット業界が抱えるリスクなどを説明します。
update2025.09.29 19:30

【要注意】Axi口座から不正出金被害、セキュリティ対策に不安の声

海外FX業者のAxiで、不正出金の被害が海外フォーラムなどで報告されています。国内で同様の被害は確認されていませんが、日本人ユーザーも無関係ではありません。この記事では、報告されている不正出金の事例やセキュリティの問題点のほか、現状でユーザーがとれる対策を説明します。
update2025.09.29 19:00

Exnessがスプレッドを最大30%OFF!仮想通貨・株価指数で大幅縮小

海外FX業者のExnessが主要銘柄のスプレッドを縮小しています。BTCUSDは16%、ETHUSDでは23%の縮小が確認されています。本記事では縮小後のExnessスプレッドを主要なブローカーと比較しました。
update2025.10.02 19:00

海外FXへの仮想通貨送金にはBybitがおすすめ!FXトレーダーに最適なBybitの使い方

海外FXの入出金によく使われる国内銀行送金が以前より使いにくくなっていることを受け、仮想通貨での入出金が注目を集めています。本記事では、仮想通貨送金をするならBybitがおすすめの理由や、海外FXユーザーに最適なBybitの使い方を紹介します。
update2025.08.29 20:00

【当サイト限定】FXONの口座開設でボーナス15,000円をプレゼント!既存ユーザーも対象

2025年8月1日より、FXONでの口座開設で15,000円のボーナスを獲得できる、当サイトMyforex限定のキャンペーンがスタートしました。この記事では、ボーナスの受け取り方法や注意点などを説明します。
update2025.08.01 19:30

【独自】海外FX利用で銀行口座が凍結・解約された一部始終!「自分には関係ない」は危険かも

みんなの銀行の口座を実際に凍結・解約されたトレーダーから当サイトに寄せられた情報をもとに、解約までの流れを一部始終紹介します。海外FXユーザーにとって、銀行口座凍結は決して他人事ではありません。海外FX利用時に注意すべき送金パターンも説明します。
update2025.08.12 19:00

Wiseでの海外FX入出金をおすすめできない理由とは?アカウント閉鎖の可能性も

海外FXユーザーの間で、Wiseを利用した送金が話題になっています。しかし、Wiseでの入出金はリスクが高いためおすすめできません。この記事ではその理由を説明します。
update2025.09.08 19:00

話題のDCJPYとJPYCの違い|海外FXの入出金に使えるのは?

DCJPYというデジタル通貨が話題となっています。一方で、海外FXユーザーの間ではJPYCへの期待も高まっています。本記事では、DCJPYとJPYCの特徴や違いを比較し、海外FXトレーダーにとってどちらが送金手段の選択肢となるのかを解説します。
update2025.09.26 19:30

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル